東京都受動喫煙防止条例の基本をおさえよう

東京都受動喫煙防止条例の基本をおさえよう

2018年6月27日に東京都の受動喫煙防止条例が都議会で可決、成立しました。この条例は国で成立した改正健康増進法よりも規制が厳しく、東京都における飲食店のうち84%が規制の対象となります。今回は2020年に全面施行を目指すこの条例によって、受動喫煙がどのように規制されるのかを各項目に沿ってご紹介していきます。

東京都受動喫煙防止条例とは

東京都受動喫煙防止条例とは都民の健康増進と、東京オリンピック・パラリンピック(以下「東京五輪」と称する)の受動喫煙防止対策の一環として東京都が定めた条例です。その目的は都民が受動喫煙を避けることのできる環境の整備を進めることで、受動喫煙による健康への被害を防ぐこととされています。条例では施設ごとに受動喫煙防止に必要な措置や、違反者に対する罰則が定められており、同じく受動喫煙防止対策法として改正された国の健康増進法に比べ、子供や従業員を受動喫煙から守ることに重点が置かれているのがこの条例の特徴です。
東京都受動喫煙防止条例は2018年から段階的にスタートし、東京五輪が開催される2020年までに全面的に施行される予定とされています。

条例の概要(吸える場所、吸えない場所)

場所によってどのように条例が適用されるかみてみましょう。

・敷地内禁煙:屋外に喫煙場所設置不可
幼稚園、保育所、小・中・高等学校など
・敷地内禁煙:屋外に喫煙場所設置可
大学、医療機関、児童福祉施設、行政機関など
・原則屋内禁煙:禁煙または喫煙専用室設置・指定たばこ専用喫煙室設置
老人福祉施設、運動施設、ホテル、事務所、船舶、鉄道、従業員がいる飲食店など
・車内禁煙
バス、タクシー、航空機など
・禁煙・喫煙を選択可
従業員※1のいない飲食店
・喫煙可能な場所
公衆喫煙所、一定の条件を満たした喫煙を主目的とする施設(シガーバーやたばこ販売店など)は喫煙が可能。また、ホテルの客室や居宅は規制の対象外となります。
※1 従業員とは「労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)を指します。

いつから施行されるか

条例は2018年から2020年の4月1日までの間に段階的に施行されます。

2018年 東京都は受動喫煙防止のための環境を整備に関する施策を実施
喫煙及び、受動喫煙が健康に与える影響について、正しい知識を普及させ、都民の理解を促進
都民、市区町村、施設の管理者と連携し、受動喫煙防止に必要な施策を促進
2019年 店頭表示ステッカーの義務化
敷地内禁煙(学校や病院、児童福祉施設、行政機関など)の施行開始
2020年 原則屋内禁煙(飲食店やホテルなど)の全面施行開始

国と東京都の違いについて解説

国の改正健康増進法と東京都の受動喫煙防止条例で異なる部分についてもご紹介しましょう。

飲食店

既存の飲食店で、個人または中小企業(資本金5,000万円以下)かつ客席面積100平方メートル以下の飲食店は標識の提示により喫煙可
東京都 従業員を使用している場合は原則屋内禁煙(喫煙専用室内のみ喫煙可)
従業員を使用していない場合にのみ、禁煙・喫煙を選択可能

学校など

大学、短大と同じく、幼稚園、保育所、小・中・高等学校、高等専門学校は敷地内禁煙
ただし屋外喫煙所を設置できる
東京都 大学、短大と同じく、幼稚園、保育所、小・中・高等学校、高等専門学校は敷地内禁煙
幼稚園、保育所、小・中・高等学校、高等専門学校に関しては屋外喫煙所の設置も不可

罰金

禁煙場所に受動喫煙防止のための必要な措置が取られていない場合、施設の管理者に50万円以下の過料
喫煙禁の場所で個人が喫煙した場合は30万円以下の過料
東京都 施設管理者の義務違反、及び個人の禁煙場所での喫煙はどちらも5万円以下の過料

標識の掲示

標識の掲示を義務づけているのは喫煙場所のみ
東京都 店内が禁煙であっても、飲食店ではその旨を掲示しなくてはならない

加熱式(電子)たばこの取扱いについて

東京都の条例では、加熱式たばこは指定たばこ専用喫煙室もしくは喫煙専用室での喫煙が認められています。指定たばことは、発生した煙が他人に健康被害を及ぼすか明らかでないたばことして、知事が指定しているものを指します。指定たばこについては、健康に及ぼす影響が明らかになるまでは行政処分や罰則の対象になりません。

条例の詳細はこちら

さらに詳しい条例の内容については、こちらをご確認ください。

東京都受動喫煙防止条例