空気が健康に関係する?ウイルスや汚染物質から体を守る
「なんとなく空気が汚れている」と感じる空間に、長時間いたいと思う人はまずいないでしょう。そのことを単なる感覚の問題と考えてしまいがちですが、空気の質は人の健康にも大きくかかわっています。
この記事では、空気の汚れと健康の関係性を解説するとともに、健康に影響のある空気中の物質やそれらを吸い込まないための具体的な対策についてご紹介します。
空気と健康の関係性
私たちが日常的に吸っている空気ですが、どのように私たちの健康と関連しているのでしょうか。ここでは空気と人の健康との関係についてご紹介します。
・一日に吸い込む空気の量
人は一日あたり重量にして20キログラム前後、嵩(かさ)にして2万リットル前後の空気を吸い込んでいます。人が一日に摂取すべき水分量の目安が2リットル、2キログラムと言われていることを考えると、いかに多くの空気を取り込んでいるかが分かります。吸った空気の品質如何で健康に何らかの影響があったとしても不思議ではない量の空気を、人は日々体内に取り込んでいるのです。
・汚れた空気が健康に及ぼす悪影響
先に述べた通り、人は大量の空気をつねに吸い込み続けています。もし汚染された空気を吸い続けていれば、人の健康にも実際に影響があります。粉じんや化学物質などで汚れた空気が体内に入ることで、呼吸器や循環器などの内臓に負担がかかることが分かっています。
空気に含まれる物質と健康への悪影響
ここでは、空気に含まれるさまざまな物質と、それらが人の健康に及ぼす影響について解説します。
・PM2.5
PM2.5とは、空気に混入している物質のうち2.5μm以下の微小粒子状物質を指します。これより大きいサイズの粒子は鼻などでキャッチされ肺に入ることはありませんが、2.5μm以下まで小さいと肺の奥まで入ることもあり、炎症の原因になります。咳や痰が増える呼吸器症状のほか、目のかゆみや鼻水などが引き起こされます。呼吸器・循環器の持病がある方や子ども・高齢者は特に注意が必要です。
・花粉
スギ・ヒノキなどアレルギー症状の原因となる花粉を吸い込むことで、くしゃみや鼻水・目のかゆみなどの症状=いわゆる花粉症を引き起こします。日本では4人に1人が花粉症の症状に悩んでいると言われ、症状が重い場合は頭痛やだるさなどがあらわれることもあります。
・ハウスダスト
ハウスダストとは、家庭内の塵・ホコリのなかでも1ミリを下回る細かなものを指す呼び名です。細かい繊維やペットの毛のかけら、ダニの死骸や糞などが含まれています。細かく軽いため室内で舞い上がる機会が多く、人が吸い込むことでアレルギー症状や喘息などの原因となる場合があります。
・ウイルス
空気中の物質のなかには、近年世界中で大きな問題となっているウイルスも含まれます。生物の細胞よりもはるかに小さなサイズのウイルスは、1つひとつこそ弱いものの生き物に感染すると大量に増える性質を持っています。このため、病原性ウイルスに感染した場合は発熱や倦怠感など風邪に似た症状を引き起こします。
・菌
菌には、風邪や結核などの原因となる細菌とカビなどの真菌があり、空気中に混入しやすいものはおもに人の咳やくしゃみで排出された飛沫に含まれ、感染すると風邪や結核など呼吸器系の疾患を引き起こす細菌です。
・排気ガス
車や工場からの排気ガスにも、人体に有害な物質が含まれています。代表的なものは一酸化炭素や二酸化硫黄などですが、先に紹介したPM2.5も排気ガスに含まれます。吸い込むことによる呼吸器系疾患の原因となるだけでなく、物質によって接触による皮膚刺激やアレルギー症状を起こす場合もあります。また大量の排気によって光化学スモッグが発生すると、目眩や頭痛が起こることもあります。
空気清浄機を健康のために活用
普段吸っている空気は意外に汚れやすいことが分かりましたが、空気の汚染から健康を守るためにはどのような対策があるのでしょうか。もっとも現実的な手段としては、空気清浄機を用いて室内の空気を浄化し、健康への意識を高める方法があります。
・空気清浄機を活用するメリット
昨今のウイルス感染症問題などを受けて、空気清浄機の導入を考えている方も多いでしょう。そこで以下に、空気清浄機を活用するメリットについてご紹介します。
1.ウイルスや菌、花粉、有害物質などを除去
花粉やハウスダストなど比較的粒子の大きい物質であれば、空気清浄機によって除去することが可能です。また、細菌やウイルスなどよりサイズの小さな有害物質を除去できるとされる空気清浄機も選ぶことができます。ただしそれらの除去率など実際の効果は製品の性能次第になるため、空気清浄機を選ぶときは目的に応じて機能・性能を確かめることが大切です。
2.汚れた空気による不快感の解消
空気がきれいになることにより、悪臭などによる不快感・ストレスが解消され暮らしが快適になります。くしゃみや鼻詰まりなどの軽微なアレルギー症状でお悩みだった方も、空気をきれいにすることにより室内で過ごすことを快適にできる場合があります。
3.換気不足の解消
現代の住宅は高気密化が図られ快適性が増している反面、換気不足を起こしやすいという特徴もあります。換気の励行は昨今の状況を踏まえても大切ですが、窓やドアを開放するだけでは外気の有害物質が入ってくることを防げません。きれいな空気を保って十分に換気を図るには、空気の流れが一定になる換気扇による換気をしながら、空気清浄機を稼働させる方法がもっとも有効と言われています。
・空気清浄機をより効率よく稼働させるために
せっかく空気清浄機を導入しても、その機能・性能を生かせなければ効果も半減してしまいます。ここでは、空気清浄機をより効率よく稼働させるための方法をご紹介します。
1.フィルターをこまめに掃除、交換する
空気清浄機のなかでも特に重要な部品が、汚れを吸着し除去するフィルターです。フィルターを汚れたまま放置してしまうと、空気清浄機本来の性能を発揮できません。定期的な清掃が必要なフィルターは、取扱説明書の記載に沿ってこまめに掃除を行いましょう。またフィルターは消耗品でもあるため、交換時期の目安がやってきたら早めに新しいものに取り替えることも大切です。
2.部屋の掃除をする
ハウスダストのように、室内で排出されたゴミやホコリに由来する有害物質もあります。これらをできるだけ空気中に混入させないためには、まめに部屋を掃除し、室内のホコリなどを除去することも重要です。
3.窓を開ける
定期的に窓を開けて換気を行うことは、新鮮な空気を取り入れることにもつながります。人が暮らしているだけで室内の二酸化炭素濃度が高くなりますから、窓を開けるほか換気扇を活用するなどして空気の入れ替えを行いましょう。
まとめ
この記事では、空気中の物質による健康への影響や、空気清浄機を健康のために活用するポイントをご紹介しました。私たちが空気の汚れを根本から解消することは難しいため、室内の空気をきれいに保つなど対策としての取り組みで汚れた空気から健康を守ることが必要になります。
空気清浄機にもさまざまな機能・性能を備えたものがあるため、導入する目的や置く場所などに合わせて適したものを選ぶことが重要です。「花粉やハウスダストだけでなくウイルス除去も期待できる性能がほしい」「匂いを効率よく取り除く機能が必要」など、求めている効果を明確にして空気清浄機の選定に生かすと良いでしょう。
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