特定屋外喫煙場所の『基準』について知ろう!
改正健康増進法においては、第一種施設(学校・病院・官公庁など)の屋内・敷地内は原則として禁煙とされています。ただし、例外的な対応策として、それら第一種施設の構内かつ屋外の場所に「特定屋外喫煙場所」を設置することが、厚生労働省令に基づく条件を満たすことで認められています。
この記事では、第一種施設の「特定屋外喫煙場所」の概要についてご説明しながら、特定屋外喫煙場所の設置を検討する場合に把握しておきたいポイントについてもご紹介します。
特定屋外喫煙場所とは
ここでは、特定屋外喫煙場所とはどのような場所が当てはまるのかについてご紹介します。
・第一種施設の屋外の一部のうち、受動喫煙防止のために必要な措置がとられた場所
ここでいう「第一種施設」には、行政機関及び学校・病院・児童福祉施設などが含まれます。これらの敷地内は原則として禁煙となりますが、厚生労働省令で定められた必要措置を実施している屋外の場所は「特定屋外喫煙場所」として喫煙が例外的に認められます。
・厚生労働省令に基づいて必要となる措置
厚生労働省令では、第一種施設の特定屋外喫煙場所の条件を満たすためには、以下のような措置を必要としています。
1.喫煙が可能な場所と喫煙が不可能な場所の区画を明確に定めること
2.喫煙が可能な場所であることを明示するために、それを明記した標識を掲示すること
3.その第一種施設の利用者が通常立ち入らない場所に喫煙場所を設置すること
4.施設外の近隣の建物に隣接するような場所に喫煙場所を設置していないこと
5.喫煙場所の設置はあくまで例外対応とし、基本的には第一種施設の敷地内は禁煙とすること
まず前提として、第一種施設への喫煙場所の設置は、基本的には望ましいものではないことを把握しておきましょう。あくまでやむを得ない場合に設置を検討する「例外的な対応」であるという認識が必要です。
特定屋外喫煙場所の知っておきたいポイント
ここでは、第一種施設の「特定屋外喫煙場所」の設置の検討にともなって、知っておきたいポイントについてご紹介します。
・「施設を利用する者が通常立ち入らない」という要件について
厚生労働省令には、当該の第一種施設の利用者が通常立ち入らないような場所に設置するとの要件があります。しかし、基本的に施設の建物からどれだけ離れているかなど、距離に関する具体的な要件は定められていません。
距離に関する要件がないとはいえ、施設のすぐ近くや別の建物に隣接するような箇所には設置しないように配慮する必要があります。もし「施設の利用者が通常立ち入らない場所」が構内に見当たらない場合は、特定屋外喫煙場所の設置はできません。
・「区画」について
厚生労働省令においては、特定屋外喫煙場所の設置の際には喫煙場所と非喫煙場所の明確な区画が必要とされています。区画を定めるには、「パーテーション(仕切り)」などによる区画が一般的です。ただし、地面に線を引いて喫煙場所と非喫煙場所の「区画」を明示することも可能とされています。
・「屋外」について
改正健康増進法における「屋外」とは、「外気の流入が妨げられる場所として、屋根があり、側壁がおおむね半分以上覆われたものの内部に当てはまらない場所」とされています。この「屋外」に該当する場所であって、かつ、施設の利用者が通常立ち入らない場所等の要件を満たしていれば、基本的には特定屋外喫煙場所の設置ができます。また、場所の形状について制限は特にありません。
なお、特定屋外喫煙場所は当該施設の職員以外であっても、当該施設の利用者であれば利用することができます。また厚生労働省令では標識の設置も要件とされていますが、標識は喫煙場所に掲げるだけとし、設置の敷地の出入口に標識を掲示する必要はありません。
・壁や天井で囲われた閉鎖型の喫煙所を設置する場合、その内部が「屋内」となるか
特定屋外喫煙場所を設置する地点は当該施設敷地内の屋外の場所でなければいけませんが、特定屋外喫煙場所そのものの屋根や側壁の有無については不問とされています。そのため、壁や屋根で覆われた閉鎖型の喫煙場所を設置することもできます。
・豪雪地域にて特定屋外喫煙所までの屋根付きの通路を作る場合
豪雪地帯の冬季間などの悪天候時に備え、施設から特定屋外喫煙場所までの屋根付き通路などを設置することに関して、特に規定や規制は設けられていません。区画が行われ、標識が掲示され、施設利用者が通常立ち入らない場所であれば、通路の有無にかかわらず特定屋外喫煙場所を設置できます。
ただし、特定屋外喫煙場所を設置する際に通路を設ける場合には、第一種施設の屋内に煙の流入がないよう適切な配慮を行うことが必要です。
まとめ
この記事では、第一種施設の屋外に例外的な設置が認められている「特定屋外喫煙場所」の概要を説明し、設置を検討する場合の基準についてくわしくご紹介しました。
第一種施設への特定屋外喫煙場所の設置は、認められてはいますが積極的に薦められているものではないことを把握しておく必要があります。また、屋外に喫煙所を設置する場合は煙の流れなどにも注意することが大切になります。それらを考慮した上でやむを得ず設置を考える場合には、望まない受動喫煙を可能な限り避けるように十分配慮し、検討するようにしましょう。
関連記事
-
法律、ニュース関連
脱炭素は社会の新たな基本。技術系シンクタンク・株式会社テクノバにインタビュー
-
法律、ニュース関連
労働衛生コンサルタントとは?主な役割と事業場で活用するメリット
-
法律、ニュース関連
心地よい眠りと、地球のために。循環する寝具づくりを担う株式会社イワタにインタビュー
-
法律、ニュース関連
居酒屋を喫煙可にするには?必要な条件や活用できる助成金などを解説
-
法律、ニュース関連
喫煙室のタイプや設置基準を解説。バーやレストランで喫煙はできる?
-
法律、ニュース関連
製造業こそSDGsの推進は必要。グリーンアルミを製造する加藤軽金属工業株式会社にインタビュー
-
法律、ニュース関連
「理解する」から「情報発信」まで。SDGs実装を支援する加山興業株式会社にインタビュー
-
法律、ニュース関連
日本の衣類を、日本で再循環。豊島株式会社にインタビュー