加熱式たばこと紙巻たばこの専用喫煙室の違いについて
「たばこ」といえば、刻んだたばこの葉を紙で巻いた「紙巻たばこ」を連想する方が今も大多数かもしれません。しかし、紙巻たばことは方式の異なる「加熱式たばこ」も2010年代に入って急速に普及し、新しいたばこの一大ジャンルとなりつつある現状です。
そのため、平成30年の改正健康増進法に基づいた受動喫煙対策に関する取り組みでは、「加熱式たばこ」についての取り扱いも重点的に行われています。
この記事では、改正健康増進法に基づく「専用喫煙室」の種類について、くわしくご紹介します。専用喫煙室の種類によって喫煙できるたばこの種類が異なるケースもあるため、気をつける必要が出てくるかもしれません。
加熱式たばこと紙巻たばこの違い
最近人気が高まっており、新型たばことも呼ばれる「加熱式たばこ」と、従来の「紙巻たばこ」。同じたばことして扱われてはいますが、たばこの成分を吸引する方法はそれぞれまったく異なっています。ここでは、加熱式たばこと紙巻たばこの違いについてご紹介します。
・加熱式たばこ
加熱式たばこは、以下のとおりさらに2つの種類に分けられます。
1.たばこの葉を燃焼させずに数百度の高温で加熱し、それによって発生するたばこ成分を含んだエアロゾル(霧状の物質)を吸引するもの
2.有機溶剤を低温で加熱して(例:ある製品の加熱温度は約30度とかなり低い)エアロゾルを発生させ、それをたばこの葉に通過させることでたばこの成分を吸引するもの
・紙巻たばこ
従来広く楽しまれてきたたばこで、たばこの葉に火をつけることで煙を発生させ、それに含まれるたばこ成分を吸引するもの
加熱式たばこの、紙巻たばこともっとも異なる点は「火をつけない(燃焼させない)」という特徴にあり、たばこの不始末による火災のリスクを低減できることから人気が高まっています。
なお、上記2種のたばこの他に、液体を直接加熱することで発生するエアロゾルを吸引して楽しむ「電子たばこ」があります。しかし、ニコチンを含む液体を使用する電子たばこは日本国内では薬事法により承認されていないため、国内では流通していません。現在国内で出回っている「電子たばこ」と呼ばれる製品は、液体中にニコチンを含まないものに限定されているため、厳密には「たばこ」とは呼ばないもののみです。
加熱式たばこの専用喫煙室
ここでは、改正健康増進法に基づく各種喫煙室のうち、「加熱式たばこの専用喫煙室」についてご紹介します。
【加熱式たばこ専用喫煙室とは?】
・加熱式たばこに限定した喫煙室を指す
「加熱式たばこ専用喫煙室」は「喫煙専用室」と異なり、加熱式たばこのみの喫煙が認められている喫煙室で、紙巻たばこの喫煙は室内でできません。また、「喫煙専用室」では飲食物などの提供ができませんが、「加熱式たばこ専用喫煙室」内では飲食物などを提供することが可能です。
・経過措置として、一般的な事業者が適合する
「加熱式たばこ専用喫煙室」の設置については「喫煙専用室」と同様に、屋内に喫煙施設が設けられない学校や病院、児童福祉施設などの施設、そして行政機関には設置ができません。それらの施設以外の、オフィスや店舗・飲食店などへの設置が、現状では経過措置として認められています。
加熱式たばこ専用喫煙室の標識
ここでは、「加熱式たばこ専用喫煙室」の標識についてご紹介します。
1.「加熱式たばこ専用喫煙室あり」の標識
上記は、施設内に「加熱式たばこ専用喫煙室」が設置されていることを示すための標識です。
施設の入り口などの見えやすいところに掲示することで、「加熱式たばこ専用喫煙室」が施設内にあることを周知します。グラフィックには加熱式たばこを示す絵に加え、飲食を表すナイフ・フォークの図柄が併記され、室内で飲食物を提供できることも示しています。また、施設内は原則禁煙となるため、「加熱式たばこ専用喫煙室」以外の部屋は禁煙であることを示すグラフィックも取り入れられています。
2.「加熱式たばこ専用喫煙室」の標識
この標識が示す部屋が「加熱式たばこ専用喫煙室」であることを表す標識です。
加熱式たばこ専用喫煙室の入り口など見えやすい部分に掲示し、室内で加熱式たばこに限り喫煙が可能であることを周知できます。また、加熱式たばこを表すグラフィックに加え、ナイフ・フォークの図柄が入り室内で飲食物を提供できることを示しています。それらに加え、喫煙室のため20歳未満の人は立ち入れないことを示すグラフィックも取り入れられています。
【「加熱式たばこ専用喫煙室」標識の注意点】
「加熱式たばこ専用喫煙室」の標識では加熱式たばこを表す図柄が表記されていますが、一見して従来の紙巻たばこを表す図柄と見分けがつきにくくなる可能性があります。そのため「加熱式たばこ専用喫煙室」の標識には、グラフィックを表記するだけでなく「加熱式たばこ専用喫煙室」と文字を記載して示す必要があります。
まとめ
この記事では、従来の紙巻たばこと加熱式たばこの違いや、「加熱式たばこ専用喫煙室」の概要とその標識に関するルールについてご紹介しました。
改正健康増進法は、2020年4月1日から全面施行されることになっています。「加熱式たばこ専用喫煙室」を設ける施設は必ず標識を準備しておき、正しい場所に見やすく掲示しなければなりません。標識を正しくない場所に掲示したり、誤認を招く掲示方法を採ったりした場合には法令違反扱いとなり、罰則が適用される可能性もあるため注意しましょう。
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