電力分野のノウハウ・独自製品で「脱炭素」を支援。株式会社電巧社にインタビュー

電力分野のノウハウ・独自製品で「脱炭素」を支援。株式会社電巧社にインタビュー

クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。

持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。

この記事では、同様にSDGsの取り組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。

株式会社電巧社は電気機械の販売・保守・整備、省エネルギーに関する提案・補助金申請の代行、再生可能エネルギーに関する製品の企画・開発など、電気に関するさまざまな事業を展開する企業です。

またオウンドメディア「脱炭素経営ドットコム」では、経営視点で厳選した「脱炭素」に関するコンテンツを多数発信しています。

今回は株式会社電巧社執行役員の梅田正幸さん、環境ソリューション部部長の石原敦夫さん、SI事業部の間野喜之さんにお話を伺いました。

「電気のコンシェルジュ®」として最適なソリューションを提供



―本日はよろしくお願いします。御社の事業内容について教えてください。

石原さん(以下、石原):当社は電気に関わるあらゆる製品やサービスを展開している、今年(2023年)で創業95年目の企業です。

事業領域としては電気商社部門、配電盤メーカー部門、工事部門、SI部門の4つの部門があります。

商社部門では、主にオフィスビルで使われる電気機械、 照明、空調などをメーカーから購入し、ゼネコン・サブコンに納めるトレーディングを手がけていますが、受変電盤という製品は自社製造しています。トレーディングは主に東芝の代理店として東芝製品を中心に行っています。

当社は「電気のコンシェルジュ」という行動指針を標榜し、お客様の電気の課題に最適なソリューションを提供するために部門の枠を超えて連携しています。


―ありがとうございます。本日は環境ビジネスについてお聞かせいただけるそうですね。

石原:環境ビジネスは、商社部門内で企業の脱炭素経営をサポートする取り組みです。

エネルギーの消費量を減らす「省エネ」、太陽光電力などクリーンなエネルギーを自社で創る「創エネ」、そして蓄電池を使って電気を蓄える「蓄エネ」の3つで、お客様に脱炭素ソリューションを提供しています。

当社は「RE Action」という取り組みの会員でもありまして、本社や工場の電力は太陽光電力などの再生可能エネルギー100%で運用しています。

省エネ製品や補助金申請で企業をサポート



―省エネの推進について、どのようなサポートをされていますか?

石原:中心としているのは省エネ製品の販売です。日本はこれまで世界に先駆けて省エネに取り組んできており、省エネでない製品はないといっても過言ではありません。

具体例としては、オフィスビルや工場全体の照明を一斉にLED照明に取り替える工事などが挙げられます。

また、省エネ施策の補助金申請サポートも行っています。省エネは企業にとって直接的な利益を生む活動ではないため、資金力が限られる企業では後回しになる場合が多いのが実情です。

国や自治体が省エネ機器の導入などを後押しする仕組みとして補助金制度がありますが、申請書類の種類や記載内容など、なかなか複雑です。

そのため、当社ではお客様名義の補助金申請をお手伝いしています。主に経産省関連の補助金と環境省関連の補助金を中心に申請手続きのサポートを行っています。

そのほか、EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入支援も行っています。これは空調設備・冷蔵冷凍設備・照明設備等にセンサーを取り付け、電力エネルギー使用量をリアルタイムに計測し、監視・制御するシステムです。快適な環境を残しながらも不要なエネルギーを自動でカットします。

自社でつくり、自社で使う。「創エネ」推進にも注力



―クリーンなエネルギーを生み出す「創エネ」推進についてもお聞かせください。

石原:当社の創エネ事業は、太陽光発電モジュール「フレキシブルソーラーG+™」の提供と遠隔地型自家消費モデル「HOMEMADE ENERGY(ホームメイド・エナジー)」の導入が2本柱となっています。

まず「フレキシブルソーラーG+」は、耐荷重の問題で太陽光パネルが導入できなかった屋根にも設置でき、オンサイト型太陽光発電の可能性を大きく高める製品です。

日本には、日当たりは良いものの、建物が老朽化しているために太陽光パネルが載せられない建物がたくさんあります。

しかし当社が中国から輸入するフレキシブルソーラーG+は、従来のパネルよりも重さが3分の1から4分の1という軽さです。また、軽いうえに柔軟に曲がりますので、屋根の形状に合わせたデザインが可能なのもメリットです。

また、製品名の「G」は「Guarantee(保証)」を示しており、メンテナンスまで当社が一貫して保証する「包括20年保証」を付けています。

2つ目の「HOMEMADE ENERGY」は、再生可能エネルギーを自社で所有する発電所で発電し、自社事業のために使うことを推進するためのモデルです。需要場所から離れた土地の太陽光発電所で発電した電気を、ブロックチェーン技術の活用によって、自家消費できる仕組みを確立しました。

発電所構築に必要な土地、設備、申請、設置工事など必要なことをすべてサポートします。当社も実際、自社用の発電所を2つ持っており、発電した電力を本社や工場で使っています。

脱炭素経営に有益な情報や社員レポートを発信



―御社メディア「脱炭素経営ドットコム」も運営されているそうですね。

梅田さん(以下、梅田):さまざまな企業において、脱炭素経営が大きな経営課題となっています。

企業の皆さまから「どうしたら脱炭素経営が実現できるのか」「補助金の申請について相談したい」といったお問い合わせをよくいただきますので、有益な情報や当社が持つノウハウ、製品・サービスを発信するために「脱炭素経営ドットコム」を開設しました。

最近はエネルギー価格の高騰に関するページや省エネ法に関する時事問題コンテンツがよく読まれています。


―脱炭素経営ドットコムに掲載されている「DEレポート」はどのようなものでしょうか。

梅田:「サスティナブルレポート(DEレポート)」は、環境やSDGsに関わる社会問題を取り上げ、原因・背景から解決へ向けた施策事例や展望を調査してまとめたコンパクトな報告書です。「DE」は社名の英語表記「DENKOSHA」から取りました。

SDGsの17の目標から、それぞれの社員がとくに関心を持っているテーマで作成しています。

これまでに10記事以上を公開しており、全社員が本レポートを作成する予定で取り組んでいます。事務局メンバーが社員をサポートしており、出典の明記なども徹底しています。


―社員の方が作成されるレポートなのですね。具体例もご紹介ください。

間野さん(以下、間野):私はDEレポート第3弾として「唐揚げから考えるSDGs」を作成しました。

私の好物である唐揚げとSDGsは一見関連がなさそうですが、唐揚げの衣に使われる小麦は、天候不良やコロナ禍などさまざまな理由により、価格が高騰しています。

そこで輸入小麦に焦点を当て、日本の食料自給率や農林水産省の施策、食料自給率が高い食材へ切り替えた「サスティナブル唐揚げ」の事例などを調査して紹介しました。

このように社員が興味のあることを題材にして、社会的な課題とそれに対する展望・自身の主張をまとめています。


―好きな食べ物からSDGsを考えるのはユニークで、読者も身近に感じられそうです。

梅田:社員全員が地球環境に対する意識を持ち、成長していくことがDEレポートの狙いです。外部のメディアで海洋酸性化に関するDEレポートが取り上げられたこともありました。

脱炭素へのさらなる貢献、「電巧社」のブランド化をめざして



―脱炭素経営を支える御社の事業について、今後の展望をお聞かせください。

梅田:当社は、脱炭素経営に関して悩まれているお客様に最善の方法をご提案すべく、製品やサービスを展開し、情報発信をしております。

創エネ分野をはじめとして、自社独自のソリューションやノウハウを提供できるよう、今後も認知向上に取り組んでいく予定です。

石原:将来的に「電巧社」という社名自体が、脱炭素分野の会社としてブランドになることも目指してまいります。


―SDGsへの貢献や脱炭素経営に関心がある方へメッセージをお願いします。

梅田:当社は電力分野で活動をしていますが、企業ごとに関わりやすい分野が必ずあると思います。また、大企業だけでなく中小企業経営者の皆さまにも、ぜひご関心を持っていただけますと幸いです。


―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。