太陽光発電と蓄電池の活用で脱炭素社会に貢献。株式会社アークにインタビュー

太陽光発電と蓄電池の活用で脱炭素社会に貢献。株式会社アークにインタビュー

クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。

持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。この記事では、同様にSDGsの取り組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。

株式会社アークは、北海道札幌市に本社を置き、太陽光発電に関する事業を行っている会社です。

太陽光発電事業に従事するなかで、会社として、脱炭素社会の実現に貢献する意義を強く感じたという同社。自社で発電所の運営をすることで自然エネルギーの発電・供給を行うなど、地球環境のための事業を幅広く展開されています。

今回は同社の代表取締役社長 渡邊さんと、常務 佐藤さんにお話を伺いました。

自然の脅威に負けない、脱炭素社会の実現を目指す



―本日はよろしくお願いします。まずは御社の沿革や主な事業内容を教えてください。

渡邊さん(以下、渡邊):当社は、2004年に北海道札幌市で設立し、来年で20周年を迎える会社です。主に、太陽光発電の施工・販売といったEPC業務と発電所の運営を行っています。

創業当時は水処理装置である浄水器や整水器に関する事業を展開していたので、太陽光発電に関する事業には15年ほど携わってきました。


―太陽光発電の事業を開始された背景や経緯について教えてください。

渡邊:「今後、多くの方に必要とされる事業になるだろう」と感じたことが、太陽光発電の事業を始めるきっかけとなりました。

この事業に取り組むなかで、私たちが生活する環境が地球温暖化の影響を受けていると強く実感しました。また地震によって北海道の電気がブラックアウトしたこともあり、自然の脅威に負けない脱炭素社会を目指して、会社としても貢献することが当然の意義だと感じています。

太陽光発電の普及に貢献するだけでなく、自社の発電所を構えることで、なんとかこの環境を変えていきたいですね。

太陽光発電の導入で電気料金を削減できる



―太陽光発電を法人や個人で導入することで、どのような効果があるのでしょうか。

渡邊:太陽光発電の導入による最大のポイントは、日常的に使っている電気料金の削減効果だと思います。現在、世界の情勢によって原料価格が上がっているのが大きな要因となり、全国各地で電気料金が高騰していますよね。

数年前までは電力会社から買う電気のほうが安いと言われている時期もありましたが、以前と比べて、現在は太陽光発電の導入によるお客様の金銭的なメリットは大きくなっています。


―太陽光発電を導入するにあたって注意する点はありますか?

渡邊:太陽光発電を導入すると脱炭素に貢献することができたり、コストパフォーマンスが高かったりとメリットは多くありますが、デメリットはほとんどありません。ただ、日照条件や適切なシステム容量の設計、地域特性を考慮した施工能力については、しっかりと確認すべきポイントです。

また古い建物や各種法令など、太陽光発電が設置できない場合もあるため、そこには注意していただきたいですね。

災害対策も併せて取り組める蓄電池の活用



―蓄電池を導入するメリットについて教えてください。

佐藤さん(以下、佐藤):住宅に太陽光発電を設置してから10年間は、電力会社が一定の金額で電気を買い取る「FIT」という制度により、余った電気を高額で買い取ってもらうことができます。しかし、その後は安い金額でしか買い取ってもらえなくなってしまいます。

このような状況であれば、蓄電池を導入することで、余った電気をためて夜の時間に活用したり、自然災害の発生などに備えて電気をためておいたりと、ご自身の生活スタイルに合わせた活用ができるようになります。


―発電した電気の使い方が広がりますね。

佐藤:そうですね。太陽光で発電した電気を電気料金が高い時間帯に使用し、それだけでは電気が足りない場合には、あらかじめ電気料金が安い夜の時間帯に、電力会社から購入している電気を蓄電池にためておくこともできます。

夜の時間帯にためた電気で、電気料金の高い昼の時間を過ごすことができるので、通常よりも料金を抑えることができるでしょう。

ただ、このような利用方法の場合は、もしも災害が発生し、電気が停止したタイミングの電池残量が少なければ、ごくわずかな量しか使うことができません。

「災害時に電気が止まっても一定期間は電気を使えるようにしたい」など、災害対策として考えているお客様の場合には、常に50%の電池残量を残して、残りの50%を活用する設定にすることもできます。


―細かな設定ができるのですね。どのメーカーの蓄電池でもできるのでしょうか?

佐藤:蓄電池を開発しているメーカーによって多少性能は異なりますが、どのメーカーであってもこのような使い方はできるようになっています。

現在は、「蓄電池に電気をどのくらいためておくのか」という設定を、スマートフォンのアプリで変えられる商品もあり、より簡単に操作できるようになりました。

また「時間帯別の電気の使用状況を、グラフで確認することができる機能」がある商品もあるので、有効な節電対策をとることができたり、節電の意識が高まったりすることで、電気の使用量自体が減っていくお客様も多くいらっしゃいますね。

北海道の広い土地を活かして電気の「道産国消」を広げる



―今後の計画や注力される取り組みがありましたら、教えてください。

渡邊:太陽光発電の業界は、経済産業省が定めたFITという制度によって大きく成長してきました。FITは「一般家庭であれば10年間」「法人であれば20年間」、発電した電力を電力会社が固定の金額で買い取るという制度ですが、この制度のおかげで民間企業からの投資が増え、ここまで世の中に広がりました。

今後は当社のような、「太陽光発電所を運営している会社が発電した電気を全国に送る」という運用方法が広がっていくと思います。

当社のある北海道は土地が広く、エネルギーをたくさん作ることができるので、使用する電気を自然エネルギーに変えたいという企業の方に向けて、北海道で電気を発電し、国全体で消費する「道産国消」を広げていきたいと思います。

現在日本では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けてさまざまな取り組みが行われており、「エネルギー供給強靱化法」や「GX脱炭素電源法」という法律が制定されているほど重要な目標です。

風力発電、地熱発電、バイオマス発電などさまざまな発電方法がありますが、太陽光発電は再エネ電力のなかでメインの発電方法なので、環境に貢献できるよう今後も注力して取り組んでいきます。


―SDGsや自然エネルギーの発電に興味のある読者の方に向けて、メッセージをお願いします。

渡邊:当社は、性別や国籍に問わず雇用を行い、教育することで、技術の伝達だけでは得られない新たな発見が生まれました。今後も、このように会社が好循環していく取り組みに注力して取り組んでいきます。

また我々の目標は、自然エネルギーだけで生活することができる究極のエコシティである「スマートシティ」の実現です。まずは自分たちの会社を持続可能にしていくために、弊社では自社所有で太陽光発電所の運営を行っています。

「自然エネルギーを通して、社会に貢献するには何ができるのか」について、今後も追求を続け、自然エネルギー事業を大きくすることで、大手企業と肩を並べるような会社を目指していきたいと考えております。


―本日はお話いただき、ありがとうございました。