職場で起こりやすいハラスメントとは?引き起こす影響や対策などについて解説

ハラスメントとは相手に不快感を与える行為であり、職場においてもパワーハラスメント(パワハラ)やセクハラなど様々なハラスメントが存在しています。
時代の変化とともに新たなハラスメントが認知されるケースも増えており、近年では、職場のスモークハラスメント(スモハラ)も問題視されるようになっています。
職場で発生する各種ハラスメントを予防するには、事業者や担当者の方がハラスメントの概要を理解し対策に努めることが重要です。
本記事では、ハラスメントの定義や、職場で起きがちな3大ハラスメントの内容、ハラスメントを放置することで生じる悪影響や対策などについて、詳しく解説します。
また、スモークハラスメント対策に役立つ喫煙ブースも紹介するので、ぜひご一読ください。
ハラスメントとは
ハラスメントとは、harass(嫌がらせをする、悩ませる)という英単語が由来となった言葉で、嫌がらせやいじめなどの行為を指します。
ハラスメントには、「厚生労働省指針に定義されたもの」と「社会通念上、ハラスメントと認識されるもの」があります。
厚生労働省指針に定義されたもの
● パワーハラスメント(パワハラ)
● セクシュアルハラスメント(セクハラ)
● マタニティハラスメント(マタハラ)
● パタニティハラスメント(パタハラ)
● ケアハラスメント(ケアハラ)など
社会通念上、ハラスメントと認識されるもの
● モラルハラスメント(モラハラ)
● アルコールハラスメント(アルハラ)など
近年では、人権意識の高まりもありさまざまな言動がハラスメントと受け取られてしまう可能性があります。「自分には関係ない」などと考えずに、相手を不快にさせる行為・言動を慎むよう、日頃から意識することが大切です。
職場で発生しやすい3大ハラスメント
数あるハラスメントのうち、特に職場で発生しやすいのは、以下の3つです。
● パワーハラスメント(パワハラ)
● セクシュアルハラスメント(セクハラ)
● マタニティハラスメント(マタハラ)
2020年の厚生労働省委託事業の調べによると、過去3年間でハラスメントの相談があったと回答した企業の割合は、パワハラ48.2%、セクハラ29.8%、マタハラ5.2%となっており、ハラスメントが職場内の深刻な問題の一つであることがわかります。
以下で、3大ハラスメントの内容を詳しく解説します。
◇パワーハラスメント(パワハラ)
パワーハラスメント(パワハラ)とは、同じ職場で働く部下、後輩、同僚、上司などに対して、嫌がらせ行為などをすることを指します。
厚生労働省では、職場におけるパワハラを以下のとおり定義しています。
(1)優越的な関係を背景とした言動であって、
(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
(3)労働者の就業環境が害されるものであり、
上記(1)から(3)までの3つの要素をすべて満たすもの
なお、「優越的な関係を背景とした言動」とは、上司から部下に対するものとは限りません。人間関係や知識・業務経験の優越性などを背景に、同僚や先輩、部下によって行われるものも含まれます。
また「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」に該当するか否かは、当該言動の目的、労働者の問題行動の有無や内容、行われた経緯や状況、業種や業務の内容、行為者の関係性などを総合的に考慮して判断するものとしています。
出典:「ハラスメント基本情報」ハラスメントの定義|あかるい職場応援団(厚生労働省)
職場のパワハラは、代表的な類型として以下6つに分類されます。
1. 身体的な攻撃(暴行・傷害など)
2. 精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言など)
3. 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視など)
4. 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
5. 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
6. 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
出典:NOパワハラ なくそう、職場のパワーハラスメント|政府広報オンライン
2019年に改正された労働施策総合推進法では、職場のパワハラを防止する措置を講じることを、事業主に義務付けています。
◇セクシュアルハラスメント(セクハラ)
セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、性的な事柄に関する言動により、相手に身体的・精神的苦痛を与えることを指します。
厚生労働省では、セクハラを以下のとおり定義しています。
「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されること。
引用:職場におけるセクシュアルハラスメント|厚生労働省
なお、セクハラには同性に対する言動も含まれます。被害を受ける側の性別、性的指向や性自認に関係なく、意に反するそれらの言動により就業環境が害されると、その言動もセクハラに該当します。
以下のような言動はセクハラとされる、もしくはその可能性があるため、留意しましょう。
● 性的関係を強要したり、匂わせたりする
● 身体を必要以上に触る、見る
● 交際関係、結婚生活などについて、しつこく尋ねる
● 「男(女)ならこうあるべき」といった性別の役割分担意識を押し付ける
◇マタニティハラスメント(マタハラ)
マタニティハラスメント(マタハラ)とは、妊娠・出産したことにより、また育児・介護休業等の利用に関する言動により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者が不利益な取扱いを受けたり、就業環境が害されることを指します。
具体的には、以下のような事由を理由とする不利益な取り扱いを行なうことは違法とされているため、注意が必要です。
妊娠中・産後の女性労働者の
・妊娠、出産
・妊婦健診などの母性健康管理措置
・産前・産後休業
・軽易な業務への転換
・つわり、切迫流産などで仕事ができない、労働能率が低下した
・育児時間
・時間外労働、休日労働、深夜業をしない
子どもを持つ労働者の
・育児休業
・短時間勤務
・子の看護休暇
・時間外労働、深夜業をしない
なお「不利益な取り扱い」の例としては以下のようなものが挙げられます。
・解雇
・雇止め
・契約更新回数の引き下げ
・退職や、正社員を非正規社員とするような契約内容の変更の強要
・降格
・減給
・賞与等における不利益な算定
・不利益な配置変更
・不利益な自宅待機命令
・昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行なう
・仕事をさせない、もっぱら雑務をさせるなど就業環境を害する行為をする
出典:「妊娠したから解雇」「育休取得者はとりあえず降格」は違法です|厚生労働省
男女雇用機会均等法に基づき、不利益な取り扱いを行なった事業者に対しては、行政指導や事業主名の公表がされる場合があります。さらには裁判の結果、解決金や損害賠償金、慰謝料の支払わなければならなくなる可能性もあるため、注意しましょう。
近年問題視されている「スモークハラスメント」にも要注意
職場で発生しやすい3大ハラスメントのほか、スモークハラスメント(スモハラ)にも注意が必要です。
スモハラとは、喫煙者が非喫煙者に対し、その意思に反して喫煙を無理強いしたり、顔などへ煙を吹きつけたりする行為を指します。また、意図せずに煙を吸わせる行為も同様です。
具体的には、以下の行為が職場内のスモハラとみなされる可能性があります。
● 指定の喫煙場所以外で喫煙する
● 部屋や衣服、体に付着したタバコの臭いで、周囲を不快にさせる
● 非喫煙者に喫煙を強要する
● 非喫煙者であることを理由に、不利益な取り扱いをする
2020年4月1日より、健康増進法の一部を改正する法律が全面施行され、望まない受動喫煙を防止するための取り組みは、「マナー」から「ルール」へと変わりました。
これに伴い、受動喫煙対策は企業が果たすべき責務の一つとなったため、3大ハラスメントと併せて、積極的にスモハラ対策を講じる必要があるといえるでしょう。
職場のハラスメントがもたらす悪影響
職場でのハラスメントを放置すれば、従業員の心身の健康を損なうことに加え、職場の雰囲気や生産性を悪化させたり、人材の流出などの重大な問題を招いたりするおそれがあります。
さらに、不法行為や安全配慮義務違反を問われることにより損害賠償金の支払責任が生じたり、企業イメージの著しい低下につながったりするケースもあります。
そのため、すべての事業者が問題意識をもって、ハラスメント防止対策に取り組むことが重要です。
◇スモークハラスメントによる悪影響
スモハラは、パワハラやセクハラと異なり、故意ではないケースも少なくありません。しかし、たとえ悪気がなくても、周囲に害や不快感を与えれば、その行為はハラスメントとみなされる可能性があります。
職場におけるスモハラは、おもに以下のような悪影響をもたらす可能性があります。
● 周囲の従業員の健康を害する
タバコの煙には、喫煙者が吸い込む「主流煙」と、本体の先端から出る「副流煙」がありますが、副流煙に含まれる有害物質の量は、主流煙の約2倍~4倍多く含まれているといわれています。
職場で副流煙にさらされ続けることで、肺がん、心疾患、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、肺炎、低体重児出産、乳幼児突然死症候群(SIDS)など、重篤な健康被害を受ける可能性もあります。
● 不快感によってモチベーションや生産性が低下する
タバコの煙や臭いは、多くの場合、非喫煙者にとって不快なものです。そのため、スモハラを放置することで、従業員のモチベーションやエンゲージメント、生産性の低下、優秀な人材の離職などの経営上の問題につながるリスクも否定できません。
● 法的リスクが生じる
前述のとおり、2020年4月1日に健康増進法の一部を改正する法律が全面施行され、望まない受動喫煙を予防するための取り組みは、事業者の責務となりました。
事業者が受動喫煙対策を怠った場合、行政指導や罰則を受ける可能性のほか、労働者等が健康被害を被った場合には損害賠償請求を受ける可能性もあります。
職場のハラスメントへの対策
パワハラやセクハラ、マタハラを防止する取り組みは、事業者の義務です。以下の対策を講じることにより、従業員をハラスメントから守る体制を構築しておきましょう。
● 全社としての方針を明確化し、その内容を周知・啓発する
● ハラスメント相談を理由とする不利益な取り扱いの禁止を徹底する
● ハラスメント相談に適切に対処するための体制を整備する
● ハラスメントが起きた際に迅速に対処する仕組みを構築する
● ハラスメント被害者のプライバシーを保護し、二次的な被害を予防する
個人の心がけのみで、職場のハラスメントを予防することは困難です。まずは、「ハラスメントを許さない」という意識のもと、全社が一丸となって対策を進める方向性を周知することから始めましょう。
◇スモークハラスメント対策には、まずは分煙化を徹底することが大切
職場のスモハラ対策では、分煙化を徹底することが重要です。
ハラスメントの専用相談窓口を設置し、気軽に悩みを相談できる環境を整備することも大切ですが、まずは喫煙所を設けるなどして社内の分煙化を進めることが、最初の1歩として適した施策といえるでしょう。
技術的基準をクリアした喫煙室や喫煙場所を設けて、喫煙可能な場所と禁煙の場所を明確に区別すれば、望まない受動喫煙を防止することができます。また、喫煙者と非喫煙者、双方にとっての労働環境の改善へとつながります。
職場ハラスメントの対策に喫煙ブースを設置するなら、クリーンエア・スカンジナビア
職場のハラスメント対策を進めるには、改正健康増進法に準拠したクリーンエア・スカンジナビアの喫煙ブース「分煙キャビン」がおすすめです。
クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンは、屋内で100V電源があれば、場所を選ばず設置できます。高性能フィルターを搭載しており、有害なタバコ粒子とガス状成分の両方をほぼ100%捕集・除去できるため、受動喫煙の予防に大きく役立ちます。
導入後は専門スタッフによる定期メンテナンスサービスがあるため、日々の手入れの手間がなく、常に快適な空気環境を維持できます。
また、以下のような法律要件の計測やレポート対応もすべて任せられるため、時間と費用を大きく節約できます。
● 総揮発性有機化合物の除去率が95%以上であること
● 当該装置によって浄化され、室外に排気される空気における浮遊粉じんの量が0.015mg/m3以下であること
「受動喫煙防止のために、機能性・利便性に優れた喫煙ブースを設置したい」とお考えの企業担当者の方は、法令基準を満たしたクリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンをご検討ください。
職場のスモハラ対策にお悩みのご担当者様は、ぜひクリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンをご検討ください。
まとめ
パワハラやセクハラ、マタハラのほか、従業員の健康を直接に害する恐れのあるスモハラを防止するための取組を早急に行うことが、企業の安全衛生上の責務といえます。
スモハラを防止し、望まない受動喫煙を防ぐためにも、まずは喫煙ブースを導入して、分煙化を徹底するのがおすすめです。
ぜひクリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンを設置して、職場の快適な空気環境を維持しましょう。
■監修者情報
藥井 遥(やくい はるか)
社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・1級FP技能士
千葉県八千代市にて、従業員数名~百名以上規模の企業の顧問社労士として、雇用のルール整備や労使トラブル対応、勤怠や労務のペーパーレス化支援、給与計算・労務手続・助成金申請等の実務に携わる。「ハラスメント対策」や「介護や育児との両立支援」などをテーマとした講師実績も多数。
HP:https://www.yakui-sr.com
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