HEPAフィルターとは?空気清浄機で生かされている性能を解説
新型コロナウイルスの世界的なまん延により、換気の重要性や空気清浄機に注目が集まっています。ひとくちに空気清浄機といっても性能はさまざまですが、「HEPAフィルター」が使われていることが、高い性能を持つ空気清浄機の指標の一つとなるでしょう。
今回は、空気清浄機に使われるエアフィルター「HEPAフィルター」について、性能などを詳しく紹介します。
HEPAフィルターとは
HEPAフィルターの「HEPA」は、「High Efficiency Particulate Air」という言葉の頭文字を取ったもので、日本語では「高性能なエアフィルター」を意味します。
空気清浄機に用いられるエアフィルターの一種で、現在では、工場のクリーンルーム用換気装置はもちろん、空気清浄機や掃除機などにも使用されており、その性能が高く評価されていることが伺えます。
それでは、HEPAフィルターの規格や定義を詳しく紹介します。
◇HEPAフィルターには世界共通の規格がある
HEPAフィルターは、どのようなものでも名乗れるものではなく、日本や世界で規格が定められています。
日本のJIS(日本産業規格)では、「定格風量で粒径0.3μmの粒子に対し、99.97%以上の粒子捕集率を持つ」という条件を満たせば、HEPAフィルターとして認められます。
海外では、日本よりさらに厳格な規格が設けられています。特に国際規格であるISOや、ヨーロッパの統一規格であるENなどは、最大透過粒子径(MPPS:Most Penetrating Particle Size)(※)である、0.1~0.2μmを基準としています。
このことから、JIS基準よりもISOやEN基準のHEPAフィルターのほうが、厳格な基準に沿って作られているといえるのです。
※最もフィルターをすり抜けやすい粒子径のこと
◇新型コロナウイルス対策の空気清浄機としても、HEPAフィルターは有効の可能性
新型コロナウイルスはいまだ世界規模で猛威を振るっており、収まる気配はありません。そういったなかで、「HEPAフィルターを搭載した空気清浄機はコロナ対策としても有効である」との見解が、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)(※1)から発表されています。
※参考:アメリカ疾病予防管理センター(CDC)「Ventilation in Buildings」
新型コロナウイルスの粒子自体は約0.1μmと非常に小さいものですが、通常、ウイルスは自発的に空中を移動しませんが、人が咳をしたり、話をしたりする際に出る飛沫に閉じ込められた状態で浮遊します。しかし、水分を含んでいるため空気中には長時間漂わずにすぐに落下していきます。
その後、飛沫の水分が乾燥すると、エアロゾル(空気中を浮遊する微小な粒子の総称で、粒子のサイズは0.001μmから100μm)としてウイルスは空気中を浮遊します。
0.1~0.2μmの粒子をも捕集できるEN規格の「HEPA14フィルター」であれば、コロナ対策に有効な可能性があると言えるでしょう。
空気清浄機のHEPAフィルターで除去可能な粒子
空気中には、目に見えないサイズのさまざまな物質が漂っており、種類によっては人体に悪影響をおよぼします。そうした脅威を軽減してくれるアイテムが空気清浄機ですが、HEPAフィルターを搭載した空気清浄機は、どういった物質の粒子を除去できるのでしょうか。
ここからは、人体に悪影響をおよぼす花粉やウイルスなどについて、そのサイズやHEPAフィルター搭載の空気清浄機で除去可能かどうかを解説します。
◇花粉のサイズ
花粉症の原因として代表的なスギ花粉は粒径約30μmと、やや大きめのサイズです。そのため、HEPAフィルターを搭載した空気清浄機であれば、花粉症対策として大きな効果を期待できるでしょう。
◇ダニ
アレルギーの原因として知られるダニの場合、ダニ自体のサイズは約200~300μmで、フィルターの隙間を通れないほどの大きさです。
そして、ダニが排出するフンやダニの死骸は約10~30μmと、生きているダニよりもかなり小さいサイズになります。とはいえ、こちらもHEPAフィルターを通過できないため、問題なく捕集できるでしょう。
◇細菌
細菌は種類によって大きさが異なりますが、サイズは約1~10μmです。そのため、こちらもHEPAフィルターで問題なく大部分を捕集できます。
◇PM2.5
ぜんそくや気管支炎など、さまざまな身体のトラブルを引き起こす要因の一つとして挙げられるPM2.5は、空気中を漂うごく小さな微粒子です。自動車の排気ガスや黄砂など、多くの物質が原因となっています。
PM2.5のサイズは約2.5μmと、かなり小さめです。とはいえ、こちらの物質もHEPAフィルターを通過できないため、多くを捕集できるでしょう。
◇ウイルス
ウイルスは種類によって大きさが異なりますが、上述した新型コロナウイルスや、冬に流行するインフルエンザの原因であるインフルエンザウイルスなどは、約0.1μmです。
EN規格の「HEPA14フィルター」であれば、0.1-0.2µmの粒子を99.995%以上捕集するので、飛沫やエアロゾルとして浮遊しているウイルスの捕集も可能となります。
◇たばこの煙
空気清浄機以外では、分煙機にもHEPAフィルターが搭載されていることがあります。
クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンは、HEPA14フィルターを搭載しているため、捕集が困難とされているタバコ粒子を多く除去します。
HEPAフィルターの寿命
HEPAフィルターは優れた集塵能力を持っていますが、汚れや経年劣化など、さまざまな要因によって効果が落ちることもあります。
ここからは、HEPAフィルターの寿命について解説します。
◇交換時期の目安は?
家庭用空気清浄機メーカーが多く加盟している、「一般社団法人 日本電機工業会」では、フィルターの適正交換時期を初期性能の50%ダウン(※)と定めています。
オフィスや医療現場などで処理能力が半分になってしまうと、リスクを2倍にしてしまう事になります。交換時期を見極めることは難しい場合は、風速や揮発性ガス濃度の知識を持った専門家にお願いすることをお勧めします。
※一般社団法人 日本電機工業会「空気清浄機 Q&A(よくある質問)」
HEPAフィルターの交換時期はメーカーや使用頻度、使用する環境によって大きく変わります。したがって、HEPAフィルター交換時期は使用環境も十分に考慮して判断するようにしましょう。
◇除去能力が落ちたと感じたら、交換するのがおすすめ
基本的には、上述した交換目安時期や使用環境を参考に、交換時期を判断して問題ありません。ただし、想定していた交換目安時期よりも早く除去能力が落ちたと感じたら、交換時期に限らず、早めにHEPAフィルターを交換しましょう。
クリーンエア・スカンジナビアのQleanAir FS 30 HEPAで快適な空気に
クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機「QleanAir FS 30 HEPA」には、0.1~0.2μmの粒子をも捕集できるEN規格の「HEPA14フィルター」を採用しており、医療施設などのデリケートな環境でも利用されています。空気中に漂うウイルスや大気汚染物質対策として効果的です。
処理風量は最大毎時740立方メートルとパワフルであるにもかかわらず、稼働音は最大音量45デシベルという静音設計で、置く場所を選びません。
まとめ
HEPAフィルターは、空気清浄機などに用いられるエアフィルターの一種です。JIS規格やEN規格に準拠した高い捕集性能で、空気中を漂う花粉やダニ、細菌、ウイルスなどをしっかり捕集します。新型コロナウイルス対策としても有効だとWHOなどが公表しており、性能は折り紙付きといえるでしょう。
新型コロナウイルスが終息したとしても、空気中にはPM2.5やインフルエンザウイルスなど、人体に悪影響をおよぼす物質が多く漂っています。そうした環境のなかで、HEPAフィルターを搭載した空気清浄機は活躍するでしょう。これから空気清浄機の導入を検討する際には、HEPAフィルターが搭載されているかを、ぜひ確認してみてください。
クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機に関する情報は、こちらからご確認ください。
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