油煙とは?発生原因や有害性、対策方法を紹介!
工場やキッチンのように油を使用する作業現場では、日常的に煙やミストに悩まされます。空気に油や不純物が混ざった油煙は、周囲の環境を悪化させ、作業効率や生産性の低下を招くため、できる限り飛散させないようにしなくてはなりません。
油煙対策には「汚染物質を排出しにくい油剤を使用する」「換気を良くする」「空気中の不純物を除去する装置を導入する」などの方法があります。なかでも空気清浄機やミストコレクターといった装置の導入は、油煙を素早く吸引・除去するのに効果的です。
この記事では、油煙がもたらす弊害や油煙対策、空気環境の改善に役立つ装置について解説します。
油煙とは
油煙とは一般的にいわれる「煤(すす)」のことで、詳しく説明すると「鉱物油や油脂などが不完全燃焼した際に発生する細かい炭素粉」のことです。
「炭素粉」は、インクや墨汁などの原料になる一方、空気中に飛散すると快適な生活を阻害する要因となります。特に、工場従業員や普段から調理をする機会が多い人は、油煙の害を受けやすいため注意が必要です。
油煙はなぜ発生する?
油煙が発生する原因は、金属加工を行なう工場と、料理を作る食品工場や家庭のキッチンとで異なります。
金属加工の工場で排出される油煙は、切削油が高温の加工熱によって燃焼し、粒子となって空気中に放出されたものです。切削油とは、NC旋盤やマシニングセンタなどを動かす際に使用する金属加工油剤で、潤滑作用や冷却作用があります。
なお工業用潤滑油を使う工場では、機械の操業時にオイルが細分化され、微粒子となって飛散する「オイルミスト」の現象が見られます。このオイルミストと、油や樹脂などの不完全燃焼によって生じる油煙の発生原因は異なりますが、切削加工の現場では双方をまとめてオイルミストと呼ぶようです。
一方、食品工場や家庭内のキッチンにおける油煙とは、揚げ物などの調理で発生する「湯気」を指します。要するに油を含んだ水蒸気で、通常は換気扇を使って空気の入れ換えを行ないます。しかし、油汚れによって換気扇のフィルターが目詰まり状態になっていると十分に機能しません。その場合、屋外に排出しきれなかった油煙が、ほかの居住空間へ流入しやすくなります。特に、リビングやダイニングとの間に壁がない対面型キッチンは、油煙が広がりやすいため配慮が必要でしょう。
油煙の有害性
油煙やオイルミストは単に空気を汚すだけではなく、人体や環境に悪影響を与えるため、何の対策も取らずに放置しておくと、以下のようなリスクが生じます。
◇健康リスク
まず指摘しておきたいのは、健康面への影響です。
金属の切削加工作業ではオイルミストが飛散しますが、これを工場従業員が吸い込むことで、喉や鼻などの呼吸器系に影響が出ることが懸念されます。また、頭痛やめまいの原因となったり、皮膚や目に付着して肌荒れや眼病を引き起こしたりするおそれもあります。
健康被害のリスクにさらされているのは、金属加工の現場で働く人たちだけではありません。家庭内においても「キッチンに立つことの多い女性は、肺がんの発症リスクが2~3倍以上に達する」との調査報告があります。このデータを公表した上海市腫瘍研究所によると、調理中に発生した油煙を長期間吸い続けることで、肺細胞の遺伝子がダメージを受け、がんを発症しやすくなるとのことです。ほかにも同研究所では、慢性気管支炎や肺気腫などのリスクを増大させるとしており、キッチンの油煙にも注意しなくてはなりません。
◇作業面におけるリスク
作業環境におよぼす影響も懸念材料です。工場内に油煙やオイルミストが発生することで、まず視界が悪くなります。また、飛散した油分が天井に付着し、油滴となって落下すると床が滑りやすくなり、転倒事故につながるおそれもあるでしょう。
さらに厄介なのは、工場の設備や備品、製品にまで汚染がおよぶことです。ゴムや樹脂、金属の腐食にともなう部品の劣化や、空調設備のフィルターの目詰まりによる機能低下も問題視されています。
特に、電子機器に油が付着すると、故障や漏電、ショートといった電気事故の要因となります。最悪の場合、火災や爆発といった事故を招きかねません。
◇従業員の離脱
油煙やオイルミストの影響で作業環境が悪く、健康被害のリスクがある職場では、従業員の勤労意欲も低下してしまいます。その結果、職場を離れる人が増えれば、企業にとって大きな損失となるでしょう。
オイルミストの許容濃度に関する法的な規制はないものの、事業主としては有効な対策を講じて、従業員が安心して働ける環境を整備する必要があります。
工場やキッチンにおける油煙対策
油煙やオイルミストは、工場従業員の定着率を低下させるだけではなく、それを屋外に排出することでCO2を増加させ、周囲の環境を悪化させます。環境への負荷の問題や、地域住民とのトラブル回避の視点からも、工場での油煙対策は欠かせません。
また「油煙で床面が滑りやすくなる」「室内が汚れる」といった問題は、個人宅でも起こりうるため対策が必要です。ここでは、工場とキッチンにおいて有効な油煙対策を紹介します。
◇工場ではミストコレクターを導入
工作機械に切削油を使用している工場には、ミストコレクターの設置がおすすめです。加工作業で細分化され、飛散する有害なオイルミストを吸引、除去します。
ミストコレクターは、粒子を捕集する方法によって、次の3種類に分類されます。
(1)フィルター式
空気中の油煙やミストを吸引し、内蔵ファンから送られてきた風をフィルターに通過させて捕集します。
(2)遠心分離式
内蔵のディスクを高速回転させ、遠心力でオイルミストの油分を分離させます。弾き飛ばされた油分を装置内部の壁に衝突させる仕組みです。
(3)電気集塵式
オイルミストの粒子を帯電させたうえ、電極の静電力で吸着する方式です。粒子を帯電させるのに、高電圧で発生させたコロナ放電を使うのが特徴です。
◇キッチンでは換気を徹底
飲食店における調理の過程で発生する油煙の屋外排気は、悪臭苦情につながる可能性があります。また、油煙が原因となる火災発生リスクもあるため十分な注意が必要です。
まず、キッチンで発生する油煙を軽減するためには、換気を徹底することが大切です。調理をする際は窓を開け、換気扇やレンジフードを作動させましょう。こうすることで空気の流れが良くなり、効率的に換気を行なえます。
調理作業を終えたあとも、キッチンの周囲には油煙が漂っているため、しばらくの間は空気の入れ換えを続けてください。すぐに換気を止めてしまうと、屋内に油煙が残ってしまいます。
そして、油煙の発生を軽減する対策も必要ですが、発生してしまった油煙を除去するためにも油煙除去装置の設置も検討すると良いでしょう。
作業環境の改善にクリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機
切削加工の工場では、油煙やオイルミストだけではなく、有害な粉塵も多く飛び交います。こうした職場では、優れた空気清浄能力をもつクリーンエア・スカンジナビア社の製品が威力を発揮します。
空気清浄機のQleanAir FS 70は、一般には捕集が難しいとされる0.87~0.11μmの微細な粒子さえも99.99966%の割合で捕集可能です。内蔵のフィルターや付属品は状況に応じてカスタマイズでき、粉塵や汚染物質を含んだ空気も効率的に浄化できます。
詳細は、以下のページをご参照ください。
QleanAir FS 70
食品工場やキッチンの油煙対策には、厨房用として開発されたQleanAir ESPシリーズがおすすめです。0.01μmの微細な粒子も最大で99%除去する性能を備えており、調理中に出る煙や臭いの問題を解消します。
ESPシリーズは現場の排気量に応じてユニットを編成できるモジュール式となっており、設置スペースと予算を効率的に活用した換気対策が可能です。
本製品の詳細は、こちらのページで確認できます。
QleanAir ESPシリーズ
まとめ
嗜好品であるたばこの煙とは違い、油煙やオイルミストは、工場での加工作業や調理などにともなって発生します。空気清浄機やミストクリーナーの導入は、こうした暮らしに欠かせない活動を継続しながら、有害な汚染物質を遠ざけるのに有効な手段です。
空気環境改善業務に取り組む企業、クリーンエア・スカンジナビアでは、お客様の課題解決につながる製品をカスタマイズして提供しています。導入後も定期点検を実施するなど、きめ細かなサポートを展開しており、長く安心してご利用いただけます。
油煙の発生しやすい場所でも常に空気が清浄であれば、快適な作業空間や生活空間を実現でき、仕事も家事もはかどるでしょう。特に工場の場合、適切な油煙対策を講じることで、労災や事故の防止、離職率の改善、生産効率の向上につながります。
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