電気集塵機の原理は?使用用途や種類を解説
調理場や作業場で発生する塵や煙、ニオイに悩んでいる方も数多くいらっしゃいます。そうした問題の解決方法の一つとして挙げられるのが、電気集塵(じん)機の導入です。この記事では、電気集塵機の原理や使用用途、種類などについて詳しく解説します。
電気集塵機の原理は?
まずは、電気集塵機とはどのようなものか、どのような原理によって空気中の塵を捕集するのか、詳しく解説します。
◇電気集塵機とは
空気中の粉塵を除去するために効果的な方法の一つが、集塵機の導入です。集塵機にはバグフィルター、スクラバー、サイクロン集塵機、電気集塵機の4種類があります。このうち電気集塵機は、直流電界中での運動を利用することで空気中から粉塵や微粒子を取り除くための装置です。おもに、飲食店や工場、建設現場などで使用されます。
電気集塵機の特徴としてまず挙げられるのは、その高い集塵効率です。電気集塵機は0.01μm以下の微粒子まで捕集可能なため、多種多様な粉塵を捕集できます。比較的捕集限界粒子が多いとされているバグフィルターよりもさらに多くの粉塵を捕集可能です。
◇原理
電気集塵機は、高電圧と静電気引力によって空気中の粉塵や微粒子を捕集する装置です。
電気集塵機の内部には、マイナスの性質を持つ放電極と、プラスの性質を持つ集塵極と呼ばれる2つの電極が設置されています。これらの電極の間で高電圧をかけると、電極周辺の強い電界によってコロナ放電(※)と呼ばれる電気放電が発生するのです。
※コロナ放電とは、電極の近くに不均一な電界が発生して起こる放電現象のこと
コロナ放電が起こると、マイナスの電荷を持つイオンが発生します。このマイナスの電荷を持つイオンが空気中の塵と結合すると、粉塵はマイナスの負荷を持つようになり、プラスの負荷を持つ集塵極に引き寄せられる、という仕組みです。
集塵極に集められた粉塵は、スプレーフラッシングや槌打、ブラシ搔落しなどの方法によって備え付けられたホッパー内に排出されます。
電気集塵機はどのようなところで使われている?
ここからは、電気集塵機が活用されている場所や、それらの場所で電気集塵機が活用されている理由について詳しく解説します。
◇飲食店
電気集塵機は、レストランや居酒屋のような飲食店において、厨房から出る煙やニオイを効果的に除去する装置として、近年導入が急速に増えています。なかでも、焼き鳥屋やうなぎ屋など、煙が多く出る店舗が多いです。
これらの店舗で電気集塵機が導入されている理由としてまず挙げられるのは、快適な空間づくりにつながることです。電気集塵機が厨房から発生する煙やニオイを効率良く除去することで、飲食店では客席の空気環境を大幅に改善できます。快適な客席空間をつくることは、顧客満足度の向上やリピーター獲得を実現するための重要なポイントです。
また、電気集塵機を厨房に設置すれば、厨房内の空気環境改善に寄与します。従業員の健康に配慮できるだけでなく、換気扇の掃除頻度が減ることで厨房全体の清潔さを保ちやすくなります。特に、油煙は火災の原因となることも多いため、厨房内の油煙捕集は火災リスクの低減につながるでしょう。
さらに、飲食店から発生する煙やニオイは、店舗の近隣住民にとって大きな迷惑となることがあることを忘れてはなりません。電気集塵機を導入すれば、外部に排出される煙やニオイを大幅に削減できます。そうすれば、煙やニオイが原因の近隣トラブルも予防できるでしょう。
◇鉱山現場
鉱山現場では、おもに2つの理由から電気集塵機が活用されています。まず挙げられるのは、鉱山処理施設で発生する大量の粉塵の除去です。鉱山処理施設では、鉱石の粉砕や選鉱、精錬などの処理を行なう過程で大量の粉塵が発生します。
これらの粉塵は、作業員の健康被害や周辺の環境汚染を引き起こす可能性があります。そのため、これらの粉塵を効率良く除去し、安全かつクリーンな作業環境を実現するためには電気集塵機が欠かせない、というわけです。
もう1つの理由は、溶解炉における排ガスの粉塵除去です。鉱石を溶解炉に投入すると、溶解炉からは鉱石由来の粉塵が含まれたガスが大量に発生します。この粉塵が含まれたガスをそのまま排出すると、定められた環境基準を満たすことができません。大気汚染を引き起こしてしまう可能性もあります。そこで、排ガスから粉塵を捕集し、煤煙濃度を排出基準値以下に低減するために、電気集塵機が活用されているのです。
◇火力発電所
火力発電所では、石炭や石油などの化石燃料を燃焼させることで発電を行ないます。その際に発生するボイラー排ガスに大量に含まれているのが、煤(ばい)煙です。煤煙には、PM2.5と呼ばれる微小粒子状物質が含まれています。従業員がPM2.5を吸いすぎると呼吸器系に悪影響をおよぼし、喘息や肺がんなどの健康被害を引き起こす可能性があるのです。
電気集塵機は、これらボイラー排ガス中の煤煙を効率良く除去し、排ガスの混ざった空気を清浄化できます。そのため、従業員の健康を守るだけでなく、環境への負荷の抑制や、周辺住民の健康被害を防ぐ役割も担っています。
電気集塵機は湿式と乾式の2種
先述したとおり、集塵極に付着、堆積した粉塵は、湿式方式であるスプレーフラッシングによる洗浄か、乾式方式である槌打やブラシ搔落しによって、粉塵を溜め込むホッパー内に排出されます。ここからは、湿式と乾式それぞれの特徴を詳しく解説します。
◇湿式
湿式電気集塵機の特徴は、水による洗浄(スプレーフラッシング)を行なうことです。湿式電気集塵機では水を使って粉塵を洗い流すため、集塵極板を自動洗浄できます。この自動洗浄機能によってメンテナンスの手間が軽減され、安定した集塵性能を維持できる、というわけです。
ただし、湿式電気集塵機は水を使用するため、乾式電気集塵機よりもランニングコストが高くなります。また、水を使用するため部品が錆びてしまう可能性があることもデメリットです。
◇乾式
乾式電気集塵機は、槌打装置やブラシを使用して放電極と集塵極板に振動を与えることで、付着した粉塵などをふるい落とすものです。
乾式電気集塵機は産業現場や工場などで広く使用されており、電気集塵効果を発揮するために必要な電力消費が比較的低く、省エネルギーでの運転が可能です。
一方、乾式電気集塵機にはいくつかデメリットもあります。例えば、払い落とした粉塵が再飛散する可能性があることです。また、可燃性粉塵を扱う場合は爆発の危険性があるため、防爆対策が必要です。
クリーンエア・スカンジナビアのQleanAir ESP
電気集塵機の導入を検討している飲食店経営者の方におすすめなのは、クリーンエア・スカンジナビアが提供しているQleanAir ESPシリーズです。イギリスで開発されたこのシリーズは、0.01ミクロンの微粒子を最大99%の効率で処理できる性能の高さが魅力です。また、モジュール式のため、煙や塵の発生量に応じて水平や垂直に組み合わせて設置できます。小規模店舗から大規模店舗まで、さまざまなシチュエーションの厨房に対応が可能です。
本製品の詳細は以下のページでご確認ください。
QleanAir ESPシリーズ
まとめ
粉塵にマイナスの性質を帯びさせることで効率良く除去できる電気集塵機は、作業場や客室、厨房、近隣などにおける煙やニオイ対策の手段として、さまざまな場面で活用されています。電気集塵機には湿式と乾式の2種類があり、どちらにもメリットとデメリットがあります。導入の際は、自社に合ったほうを選ぶことが大切です。高性能の電気集塵機をお探しの方には、クリーンエア・スカンジナビアのQleanAir ESPシリーズがおすすめです。
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