ナノプラスチックとは?人体への影響と、体内へ取り込まないためにできること

2024.6.20 空気環境

ナノプラスチックとは?人体への影響と、体内へ取り込まないためにできること

近年、マイクロプラスチックよりもさらに小さい、ナノプラスチックが生態系におよぼす悪影響が懸念されるようになりました。ナノプラスチックは有害物質を含んでおり、魚や食品包装資材(ペットボトルなど)、空気などを通じて人体に取り込まれることがわかっています。

この記事では、ナノプラスチックに関する研究や人体への影響、体内に取り込まないためにできる対策を解説します。ぜひ参考にしてください。

ナノプラスチックとは

ナノプラスチックとは、微細なプラスチック粒子とされるマイクロプラスチックよりさらに小さいプラスチック粒子のことです。プラスチック製品が劣化により断片化し、マイクロプラスチックが生成される過程で生成されます。

マイクロプラスチックの粒径は1µm(マイクロメートル)~5mmです。ナノプラスチックは粒径1~100nm(ナノメートル)、粒径1nm~1µmの粒子など複数の考え方がありますが、物質の性質から粒径1µmのプラスチック粒子として扱うことが多くなっています。ナノプラスチックは、肉眼でとらえることはできないサイズです。

※1µm(マイクロメートル)は1mmの1,000分の1の長さ
※1nm(ナノメートル)は1mmの100万分の1の長さ

近年、マイクロプラスチックが環境や生物に大きな悪影響をおよぼすことが問題視されていますが、さらに微小なナノプラスチックは、マイクロプラスチック以上に深刻な影響があるのではないかと考えられています。

ペットボトル飲料にも含まれる?ナノプラスチックに関する研究



マイクロプラスチックやナノプラスチックは、近年の研究でペットボトル飲料水に含まれるほか、海洋中や空気中にも存在していることがわかり、環境リスクが指摘されています。
ここでは、ナノプラスチックに関する研究について解説します。


◇ペットボトル飲料水に含まれていたナノプラスチック
ナノプラスチック粒子は、ペットボトル入り飲料水の中に1リットル当たり平均約24万個含まれています。

アメリカのコロンビア大学の研究チームが、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した研究結果によると、米国で人気のある3種類のペットボトル飲料水(ブランド名非開示)において、1リットル当たり11万~37万個のプラスチック粒子が検出されました。検出された粒子の90%がナノプラスチック、残りがマイクロプラスチックです。

ペットボトル飲料水にナノプラスチックが生じる原因には、保管や輸送中での包装材からの放出が考えられます。しかし、包装材以外のプラスチック粒子も見つかっていることから、飲料水の製造前または製造中の混入が示唆されています。


◇海洋中にも含まれるナノプラスチックの問題
不法に投棄されたプラスチックごみは、最終的に海に流れ着くため、ナノプラスチックやマイクロプラスチックは海洋中にも含まれています。

海洋中のナノプラスチック・マイクロプラスチックは、海水中の有害物質を吸着しやすいうえ、表面積の割合が高く吸着量が多くなる点が問題です。

微小なナノプラスチックは、プランクトンによって摂取されたあと、食物連鎖の過程で有害物質の濃縮を引き起こします。人は魚を食べるため、濃縮された状態で体内に取り込むことになるのです。


◇空気中にも漂うナノプラスチック
ナノプラスチックの粒子は小さいため、空気中にも漂っており、呼吸により肺から肺胞壁を通過して、毛細血管に取り込まれることがわかっています。形状によっては、肺組織に刺さって長期に留まるという説も出ています。

空気中にナノプラスチックが放出される要因として、以下が考えられます。

● プラスチック製品を扱う工場での浮遊
● 海上の波飛沫による拡散
● タイヤの粉塵
● 衣服繊維からの放出
● 肥料や農薬としての放出

ナノプラスチックによる人体への影響

マイクロプラスチックは消化系から排出が可能ですが、ナノプラスチックは粒子が小さく、血液や細胞・組織に侵入可能です。加えて、物質との反応性も良いため、人体に対する影響はマイクロプラスチックよりもさらに大きくなるのではないかと考えられています。

東京農工大の高田秀重教授らのグループによる分析では、複数人の血液中に、ナノプラスチック粒子が含まれていることがわかりました。さらに、血液や腎臓・肝臓などからプラスチックに添加する紫外線吸収剤やポリ塩化ビフェニール(PCB)が見つかり、ナノプラスチックによる有害物質の蓄積が示されています。

「高田教授は「プラスチックの微粒子が有害化学物質を体内に運び込んでいる」と指摘。検出量はわずかで直ちに影響が出るレベルではないとしつつ「摂取量が増えたり長期間蓄積したりすれば、生殖作用などに影響を与えることが懸念される」とした。」
引用:人の血液からプラスチック微粒子 有害添加剤を国内初検出、農工大|一般社団法人共同通信社

また、学術誌「Toxicological Sciences」には、ニューメキシコ大学のマシュー・キャンペン博士が率いる健康科学部グループによって、マイクロプラスチックが人の胎盤すべてから検出されたと報告されています。

「マシュー・キャンペン博士は、「これほどの濃度を引き起こす要因は分かっておらず、またその濃度が胎盤や胎児の成長および発達、また他の母体の健康への悪影響に寄与しているかどうかも現時点では明らかではありません」とした上で、「しかし、胎盤は母体の血液から多くの栄養を取り込むため、より強い影響を受ける可能性があります」と警告しています。」
引用:人の血液内に直径千分の1ミリ以下の「ナノプラスチック」見つかる 国内初検出|東京報道新聞

その他、ナノプラスチックには次のような人体への影響の可能性が指摘されています。

● 心臓病
● 脳卒中
● 代謝障害
● 胃腸機能障害
● 神経障害・神経変性疾患
● 死亡率の増加 など

ただし、現時点では、自然環境のなかにどの程度のナノプラスチックが流出しているのかを正確に計測できていません。また、どの程度の蓄積量で問題が生じるのかも判明しておらず、リスクの高さは正確にはわかっていない状況です。

しかし、ナノプラスチックは、添加剤として化学物質を含んでいるだけでなく、すでに使用が禁止されている有害物質を吸着している可能性があります。それらが体内に取り込まれるリスクは大きいと考えてよいでしょう。

ナノプラスチックを体内に取り込まないためにできること



ナノプラスチックは、目や口、鼻などから、摂取や吸入、接触によって体内に入ります。過剰な心配は必要ないともいわれていますが、体内で血液や組織に入り込み、蓄積することで人体に影響をおよぼす可能性があるため、できるだけ体内に取り込まないことが大切です。

ナノプラスチックを取り込まないためには、接触の機会をできるだけ減らしましょう。次のような対策が有効です。

● プラスチックで包装された飲食物の摂取を避ける
● 調理器具は木製や金属製を使用する
● 安全性が確認できない質の悪いプラスチック製品を温めなど調理に使用しない
● 使い捨てのプラスチックカトラリーを使用しない

空気中にもナノプラスチックが含まれています。呼吸による取り込みを防ぐために、空気清浄機で空気中に浮遊する物質を除去するのもよいでしょう。

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まとめ

プラスチックの分解過程で生成されるナノプラスチックは、海洋上だけでなく大気中やペットボトル飲料など、あらゆるところに存在しています。摂取や吸入などによって人体に取り込まれますが、体内に分解の仕組みがないため、蓄積による影響が懸念されています。

体内に取り込まないようにするためには、調理器具や包装・容器にプラスチック製品の使用を避けましょう。また、ナノプラスチックは空気中にも浮遊しているため、微小物質を除去できる空気清浄機を導入するのも有効です。

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