マスク着用ルールが緩和。これからの感染症予防における「換気」の重要性とは

2024.8.21 空気環境

マスク着用ルールが緩和。これからの感染症予防における「換気」の重要性とは

2020年初頭から流行が開始した「新型コロナウイルス感染症」。これまで3年以上、世界中で人々の社会活動に大きな影響を及ぼしてきましたが、2023年になってから、マスクの着用は個人の選択が尊重されようになりました。

感染症対策が緩和された背景には「ウイルスの変異により、致死率が低下した」「ワクチン接種済の方が多くなった」といった事情がありますが、重症化リスクが高い方(基礎疾患がある方や高齢者、妊婦など)は不安を感じているかもしれません。

各種施設(オフィスなど)を管理する立場にある方は、不安を感じる方に寄り添った対策を講じる必要があります。この記事では、マスク着用ルールの緩和に伴って、エアロゾル感染対策としての「換気」が重要になることについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

これまでの日常生活における感染症予防

これまでの日常生活では、政府の呼びかけにより、以下に示す感染症予防対策が実施されてきました。

● マスクを着用する
● 手指を洗浄・消毒する
● 検温を実施する
● 他者と2mの距離を保つ
● パーティションを設置する
● 密を避ける
● 施設(オフィスなど)で換気を実施する
● リモートワークを推進する

パンデミック開始後、しばらくの間は世界中で上記対策が講じられていましたが、次第に緩和する国が多くなり、2022年12月になってからは厳格なゼロコロナ政策を続けてきた中国も方向転換を余儀なくされています。

世界各国で緩和が進んだ理由としては、オミクロン株に変異してから感染力が増し、従来の対策だけでは感染を防止しきれなくなったことや、致死率が低下したこと、ワクチンを接種した方が多くなったこと、経済への打撃などが挙げられるでしょう。

しかし、持病(呼吸器疾患や心臓疾患、免疫疾患など)がある方や高齢者、妊娠中の方にとっては、依然として新型コロナウイルス感染症は脅威となります。重症化リスクが高い方が「マスクを着用する」「手指を消毒する」「他者との距離を保つ」といった対策を自力で講じたとしても、周囲の方がマスクを着用していない状況では、ウイルスを含むエアロゾルに曝露されるかもしれません。

規制が緩和されてからは、これまで以上に「エアロゾル対策」に重点を置く必要があります。

これからは「エアロゾル感染」の対策がキーとなる

2023年3月13日から、原則として、マスクの着用が「個人の判断」に委ねられることになりました。さらに、2023年5月8日からは感染症法上の位置付けが「2類」から「5類」に引き下げられました。そのため、社会全体で新型コロナウイルス感染症に対する予防意識が低下するかもしれません。

接触・飛沫による感染への対策は、個々人がその場その場で判断して行うことも可能でしょう(「消毒する」「距離を保つ」「マスクを着用する」など)。しかし、目に見えない微小な「エアロゾル」に関しては、個々人では対応が困難です。

オフィスや商業施設などにおいて、急に「マスクを着用しなくても良い」というルールに変わると、「空気中のウイルス濃度が上昇するのではないか」と不安を感じる従業員・顧客もいるでしょう。施設管理者は、そのような方をケアするために、「換気」を重視した対策を講じる必要があります。

感染症予防における「換気」の重要性と取り入れ方

新型コロナウイルス感染症に限らず、一般的に呼吸器感染症を予防するためには、充分に「換気」を実施することが重要です。重症化リスクが高い方を守るために、空気中からウイルスを含むエアロゾルを除去しましょう。

●換気により空気中のウイルスを除去できる可能性が高い

空気中のウイルスを除去したいのであれば、窓を開けて自然に空気が入れ替わるのを待つことが有効です。

ちなみに、一般社団法人日本環境感染学会の「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第2版改訂版(ver.2.1)」によると、1時間に6回以上の換気を実施することが望ましいとされています。

また、アメリカのCDCの「保健医療関連施設における結核感染予防ガイドライン」では、換気回数が「1時間に6回以上」と定められているほか、さらに「HEPAフィルター付きの空気浄化設備」などを利用して換気回数を「1時間に12回」に上昇させることが推奨されています。

ところで、施設や部屋の構造によっては、「窓がない」あるいは「窓があるけれども小さい」というケースがあるかもしれません。その場合は、「空気清浄機」を利用して、感染リスクを低減させましょう。

例えば、クリーンエア・スカンジナビア株式会社の空気清浄機「QleanAir FS 30」なら、わずか10分で、25立方メートルの室内に浮遊するウイルス粒子の95%以上を、静音性を保ちながら除去できます。すなわち、1時間に6回換気を実施したのと同程度の効果を得ることが可能です。

ISOに準拠したフフィルターによって、空気中に浮遊しているウイルスなどを効果的に捕集できるので、ぜひ導入をご検討ください。

●効果的な換気の流れをつくる方法

充分な換気量を確保することが、感染対策の基本です。オフィスにおいては、常時換気を実施してください。空気清浄機などの機械設備が設置されていない場合は、窓を開けて換気をしましょう。

必要な換気量が確保できているかどうかをチェックするためには、二酸化炭素濃度を測定することが有効です。おおむね1,000ppm以下に維持することを目標にしましょう。じゅうぶんに換気ができていない場合は、ISOに準拠したフィルターを搭載している空気清浄機(「QleanAir FS 30」など)をご利用ください。

学校や幼稚園では、「学校環境衛生基準」などに基づいて対応を行いましょう。教室だけではなく、更衣室や廊下、移動用の車両、学生寮など、一時的に多数の生徒が集まる場所においては二酸化炭素濃度を測定したうえで、人数を制限することも検討しましょう。

高齢者施設において感染者が発生した場合は、ゾーニングを適切に実施したうえで、ファンを上手に活用してください。「エアロゾルを発生させうる人物」→「ファン(サーキュレータ・扇風機)」→「排気口(窓)」という空気の流れを作り、その経路に立ち入らないことが重要です。

商業施設や飲食店については、施設の構造によって適切な換気方法が異なります。専門家(日本建築士会連合会の講習を受けた建築士など)の助言を受けながら、「エアロゾルの浮遊リスクが低い空間(混雑していない場所)」から「浮遊リスクの高い空間(混雑している場所)」に向けて気流を作りましょう。

飲食店では、機械的な換気の有無にかかわらず、2方向の窓開けよる換気を実施したうえで、座席の間隔を充分に確保してください。パーティションはは「飛沫感染対策として有効であったと考えられ」る※とのことですが、肝心の換気を妨げないように配置しなければなりません。

なお、通常のビルでは1時間に2回以上の外気との換気が、医療施設(感染症隔離病棟など)では1時間に6回以上の換気が推奨されます。クリーンエア・スカンジナビア株式会社の空気清浄機「QleanAir FS 30」を導入すれば1時間あたり6回換気するのと同等の効果を得ることが可能になり、従業員や顧客に対して目に見える形で安心・安全を提供できるでしょう。

※出典:「第119回(令和5年3月23日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 岡部先生提出資料

まとめ

2023年3月13日から、原則、「マスクの着用」が個人の判断に委ねられるようになりました。さらに、5月8日からは、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類」になりました。その結果、「社会全体で感染対策に取り組もう」という雰囲気が失われていくかもしれません。

致死率が低下し、ワクチンを接種した方が多くなっているものの、依然として持病をお持ちの方や高齢者、妊娠中の方などにとって、新型コロナウイルス感染症は脅威です。マスクを外す方が増える状況においては、「エアロゾル感染」のリスクを低減するために、「換気」を実施することが重要になります。

施設を管理する立場にある方は、重症化リスクが高い方をケアするために、「窓を開ける」「空気清浄機を導入する」などの対策を講じましょう。なお、おすすめの空気清浄機は、クリーンエア・スカンジナビア株式会社の「QleanAir FS 30」です。室内のウイルスを効果的に減少させるために、ぜひ導入をご検討ください。

■監修者情報

名前:入谷栄一
プロフィール:
いりたに内科クリニック院長
総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー内科専門医、がん治療認定医。地域密着型でエビデンスに基づいた治療を続ける一方、わかりやすい説明が好評でさまざまなメディアでも活躍。近年、運転業務に関わる企業に対して睡眠時無呼吸症候群健診に力を入れている。
https://www.iritani.jp/