オフィスの空気が仕事効率に関係している?快適な環境のためにすべきこと

2020.12.15 空気環境

オフィスの空気が仕事効率に関係している?快適な環境のためにすべきこと

仕事をする場所の環境改善について、真剣に考えたことのある人は少なくないと思います。具体的にはデスクや棚の配置、照明や採光の見直しなどが思い浮かぶかもしれません。しかし「オフィス内の空気をきれいにすること」も、業務効率に好影響を与えることがあるとご存じでしょうか。
この記事では、オフィスの空気の現状と改善の必要性、オフィス内の空気をきれいにするための具体的な手段などについてご紹介します。

オフィスの空気の実態

オフィス内の空気について「なんとなく淀んでいる気がする」と感じることがあるかもしれません。しかし、実際にどのくらいオフィスの空気が汚れているかを知ると「もっと改善できるのでは」と考えられるでしょう。ここではオフィス内の空気が汚れやすい原因や、その実態についてご紹介します。

・換気がされていない
高層階にあるオフィスなどでは、窓を開放できない構造になっていることも少なくないでしょう。こまめな換気が実施されていなければ、多くの人が働くオフィス内の空気は必然的に淀んでしまいます。

・空気中に有害物質が飛散している
ビルを建築する際に使用された、建材などに含まれる有害な化学物質が室内の空気中に含まれている可能性があります。現代においてこそ有害物質に配慮された建築方法が普及していますが、築年次の古い建物は建築時にもそれらの有害性が指摘されておらず、影響を受けやすくなっているかもしれません。

・掃除が不十分
多忙なオフィスでは、日々の掃除が行き届いていない可能性もあるでしょう。清掃が不十分な状態では、「ハウスダスト」と呼ばれる目に見えないホコリやダニなどが溜まりやすくなっている可能性があります。

・花粉やウイルスが持ち込まれる
オフィス内には従業員や取引先、顧客などさまざまな人が出入りします。さまざまな人が立ち入るということは、外部から花粉やウイルス、菌などが持ち込まれていることも想定できます。

オフィスの空気の汚れによる生産性の低下と体調不良

空気が汚れていることは、単に不衛生であることだけにとどまらない悪影響を及ぼす場合もあります。ここでは、空気の汚れによって業務の生産性が落ちたり、従業員の体調不良が生じたりする可能性についてご紹介します。

・空気の汚れによる生産性の低下
仕事の生産性を下げる要因に空気の汚れがあるとひと口で言ってもピンと来ないものですが、研究によって実証された例があります。
米国の研究者が行った共同研究では、20名余りの参加者に所定のオフィスで業務を6日間行ってもらい、その途中で参加者に通知せずオフィス内の空気を通常の状態からきれいな空気に入れ替えました。毎日の業務終了後には、参加者に対し認知機能に関するテストを行っています。これにより、換気をこまめに行って化学物質濃度を低く保ち、二酸化炭素濃度を抑えた環境では、参加者の意思決定に関するパフォーマンスが向上したことが分かっています。

・空気が汚れていることに対して生じる体調不良
換気を正しく行ったきれいな空気の中で働くことで、業務効率の向上が実際に見込めることが分かりました。つまり空気が汚れていると、思うように仕事の効率を上げられなくなることが予測できます。しかしそれにとどまらず、汚れた空気によって体調不良が引き起こされることもあります。

1.頭痛
空気中の二酸化炭素濃度が上がることで、頭痛を引き起こす原因となることが分かっています。具体的には、二酸化炭素濃度が0.1%(1000ppm)を上回ると頭痛やだるさ、耳鳴りなどの症状を自覚する人が多くなるとされています。このため国においても「換気に関する法律」で、室内の二酸化炭素濃度が1000ppm以下に保つため、換気などで空気をきれいにすべきであると定めています。

2.眠気
二酸化炭素濃度の上昇は頭痛だけでなく、眠気も引き起こします。米国の大学による共同研究でも、オフィス内の二酸化炭素濃度上昇が仕事中に眠気が起こることの原因であると解明されています。具体的には、二酸化炭素濃度を2500ppmまで上げる実験で、仕事中のパフォーマンス低下が顕著となったとのことです。

3.アレルギー疾患などの発症
建物の建材・塗料などに含まれる化学物質や、ハウスダストと呼ばれる塵やホコリが空気中に混ざることで、アレルギー症状をはじめとする「シックビルディング症候群」を引き起こします。また頭の重さやイライラ感、疲れの取れにくさなど「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼ばれる症状にも、空気中の化学物質による影響が指摘されています。

3.風邪やウイルスの蔓延
換気が十分に行われず、空気清浄機などで有害物質の除去も行われていないオフィス内では、匂いやホコリだけでなく菌・ウイルスも空気中に蔓延しやすくなります。昨今の新型コロナウイルス感染症で換気の重要性が示唆されたとおりですが、空気を入れ替えたり清浄に保ったりすることはあらゆる感染症の予防にもつながります。

オフィスにおける空気の品質を高めるには

それでは、オフィスの空気環境を改善する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的な手段を以下に解説します。

・空気清浄機の設置
空気清浄機を設置し、オフィス内の汚れた空気から粉じんや有害物質を取り除いてきれいに保つ方法です。菌やウイルスの除去の可否に関しては各空気清浄機の性能によりますが、今後の生活様式を考慮するとより小さな物質を取り除ける性能を備えたものを選んでおくと良いでしょう。

・定期的に換気をする
最近は感染症予防の観点からも、建物や公共交通機関内の換気について呼びかけがなされています。特に高層階のオフィスは窓が開けられない場合もあり、こまめな換気をどう実現するかお悩みの方も多いでしょう。窓を開放できない建物などでは、ドアを開けるなどして外気を取り入れたり、換気扇を活用したりする方法がおすすめです。また換気扇と空気清浄機を併用することで、より清浄で二酸化炭素の少ない空気を保つことを実現できます。

・こまめな掃除
オフィス内の掃除は、おもにハウスダストと呼ばれる粉じんの飛散防止に役立ちます。デスクや棚などにある平らな箇所は、放っておくだけでも塵やホコリが落下して溜まりやすいものです。従業員が各自デスクやその付近をまめに拭き掃除するといった取り組み1つで、ホコリが舞い上がりやすくなることを防げます。

・観葉植物を置く
観葉植物は見た目のリラックス効果にとどまらず、オフィス内の空気を浄化することにも貢献してくれます。植物は光合成で空気中の二酸化炭素を消費してくれますが、オフィスの広さを考えると二酸化炭素濃度の調整には換気のほうが有効です。オフィス内に植物を置くことでは、どちらかというと空気中の化学物質の吸収や細菌・カビの抑制効果などが期待できるとされています。

まとめ

空気の汚れというと菌やウイルス、粉じんや化学物質などが原因というイメージがあります。しかし私たちの呼吸によって排出される二酸化炭素も、仕事中に感じる眠気や頭痛の原因になっているのです。
空気清浄機を活用して粉じんや菌などの対策を行うとともに、換気を適正に行って二酸化炭素濃度を調整することも、オフィス環境の改善には有効です。もしオフィス環境改善のためにレイアウトの見直しや内装の改修などをご検討中であれば、空気清浄機や換気システムの導入なども考えてみてはいかがでしょうか。