空気環境について

2021年8月26日

次亜塩素酸とは?空気清浄機や加湿器に使用する際の注意点を解説

2019年末から流行し始めた新型コロナウイルス感染症は、2021年現在もなお、猛威を振るい続けています。日本でも繰り返し緊急事態宣言が発令されるなど、まだまだ予断を許さない状況です。感染症対策への関心が高まるなか、インターネットなどのメディアで「次亜塩素酸(じあえんそさん)」というキーワードを目にすることもあるのではないでしょうか。

この記事では、次亜塩素酸の概要に触れつつ、適切な次亜塩素酸水を選ぶためのポイント、空気清浄機や加湿器で使うときの注意点などを解説します。

次亜塩素酸とは

「次亜塩素酸」は塩素のオキソ酸の一種であり、除菌、消毒、脱臭などの効果を持つ物質です。分子式で表すと「HClO」で、これは水素原子(H)と塩素原子(Cl)が酸素原子(O)に結合していることを示しています。

次亜塩素酸について詳しく説明できるという方はあまり多くないかもしれませんが、次亜塩素酸そのものは身近な物質です。新型コロナウイルスに効果があると注目されている「次亜塩素酸水」はもちろん、漂白剤や消毒剤の成分としても利用されています。

また、人間が塩分を摂取すると、白血球の一種である好中球(こうちゅうきゅう)によって次亜塩素酸が生成・放出されます。これがウイルスや細菌などの病原体から身体を守っているのです。

◇次亜塩素酸の効果と役割
次亜塩素酸は、ウイルスや細菌に対して強力な除菌効果を発揮することから、おもに物体や空間などの除菌・消毒を行なう際に利用されます。

これは、次亜塩素酸が不安定で壊れやすい性質を持っており、他の物質とすぐにくっついて酸化し、安定化しようとするためです。くっつく対象には、ウイルスや細菌といった有機物も含まれます。

つまり、次亜塩素酸が不安定な状態を解消しようと酸化反応を起こすことで、病原体となる有機物を破壊できるのです。

また、次亜塩素酸の分子は細胞膜を通り抜けられるので、細菌を内部から破壊することもできます。さらに、ニオイや汚れの成分も素早く分解するため、脱臭や清掃にも非常に有効です。

有機物に対する酸化反応が終わったら、ごく普通の水に戻るので、人体への影響は少ないと考えられています。
◇次亜塩素酸の活用分野
次亜塩素酸がどのような分野で活用されているのか、いくつか事例をまとめました。

・感染対策
先述のとおり、新型コロナウイルス感染症対策の一環として「次亜塩素酸水」が注目を集めています。独立行政法人である製品評価技術基盤機構によって、一定の濃度以上であれば除菌効果が期待できること、および人体に安全なことが明らかにされているため、安心して活用できるでしょう。

・水道水の消毒処理
普段から使っている水道水の成分にも、わずかな量ですが次亜塩素酸が含まれています。水道水のベースとなる河川や湖の水を消毒する過程で、塩素を使った処理が行なわれるためです。もちろん、人体への悪影響はありません。

・食材の洗浄・殺菌
次亜塩素酸水で食材を洗っても、栄養成分を損なうことなく洗浄・殺菌できることは、これまでの研究ですでに明らかとなっています。さらに、調理器具やキッチンまわりの除菌にも使えるため、食品業界などで広く活用されています。

・プールの除菌
プールの水の除菌にも、次亜塩素酸が用いられることがあります。そのほか、プールに入る前に浸かる腰洗い槽(消毒槽)や、公衆浴場などでも使われています。

・拭き掃除
次亜塩素酸水を霧吹きなどで床やテーブルに吹きかけ、清潔な布で拭き取れば、除菌はもちろん、しつこい汚れを落とすこともできます。脱臭効果も期待できるため、ペットが粗相をしたときの処理などにも有効です。
次亜塩素酸水の安全な選び方

次亜塩素酸が感染対策として役立つことが判明した現在、多くの企業が次亜塩素酸水に関する製品を販売しています。しかし、市場に流通している製品のなかには、適切な製法によって生成されていないものも存在するのが実情です。

間違った製法で作られた次亜塩素酸水を使うと、除菌効果がきちんと発揮されないどころか、健康に悪影響が出てしまう可能性もあります。

本章では、次亜塩素酸水を選ぶときのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

◇濃度・製法を見る
次亜塩素酸水の除菌効果は、濃度によって変動します。必要値以上の濃度がないと十分な効果を発揮できないため、必ずチェックしましょう。

厚生労働省の発表によると、新型コロナウイルスへの対策に用いる場合、流水でかけ流すなら有効塩素濃度は35ppm以上、拭き掃除なら80ppm以上が必要だとされています(※1)。

また、製法によっても効果が変動します。次亜塩素酸水の製法は「電解型」と「非電解型」の2種類で、基本的にそれ以外は存在しません。製法がまったく書かれていない製品はもちろん、上記以外の製法名が記載されている製品には注意しましょう。
◇保存期間を見る
製品や保管方法にもよりますが、次亜塩素酸水は保存期間が総じて短めです。長くても1年程度、短ければ1ヵ月程度しか保存できないといわれています。

保存期間や製造年月日、正しい保管方法について書かれていない場合、その製品は避けたほうが無難です。

また、次亜塩素酸水は日光にあたると効果が落ちるので、遮光性の高い保存容器かどうかも確認しておきましょう。
◇成分表示を見る
適切な次亜塩素酸水を選ぶためには、成分表示を確認することも重要です。成分表示がしっかり記載されているか、「次亜塩素酸」と書かれているかどうかをチェックしましょう。

似たような名称の「次亜塩素酸ナトリウム」という成分もありますが、これは塩素系漂白剤などに含まれる成分で、まったくの別物です。次亜塩素酸水の主成分ではないので、間違わないよう注意しましょう。

ここでは、次亜塩素酸水の作り方、および使い方について解説します。

◇次亜塩素酸水の作り方
次亜塩素酸水は塩化ナトリウム水溶液を電気分解する、もしくは特定の物質を水に溶かすことで生成可能です。専用の機械や粉末などを使えば、ご家庭でも作ることができます。

インターネットなどのメディアでは「塩素系漂白剤を水で薄める」という手順がよく紹介されていますが、これは次亜塩素酸水ではなく「次亜塩素酸ナトリウム液」の製法です。

次亜塩素酸ナトリウム液も、ドアノブや調理器具などの消毒に使えますが、次亜塩素酸水とは成分や用途が大きく異なるので、混同しないよう注意しましょう。
◇次亜塩素酸水の使い方
次亜塩素酸水で除菌する場合には、以下のような使い方が基本となります。

・霧吹きなどで噴霧して20秒以上待ってから、清潔な布で拭き取る
・除菌したいものに20秒以上かけ流して、清潔な布で拭き取る

なお、水に弱い機械類や、水による染みができやすい衣類には使用できません。
空気清浄機や加湿器に次亜塩素酸水を入れるときの注意点

空気清浄機や加湿器の種類によっては、次亜塩素酸水を入れて広範囲を除菌できます。この方法を実行するときは、以下のような点に注意しましょう。

・次亜塩素酸水の使用を想定していない空気清浄機や加湿器には入れない
・塩素のニオイで具合が悪くなったら換気を行なうか、噴霧を止める
・加熱式の空気清浄機や加湿器に入れない(次亜塩素酸が熱で分解されてしまうため)
・あらかじめ取扱説明書をよく読む

なお、有効塩素濃度については、広い部屋や人が多く集まる部屋なら50ppm以下、狭い部屋や人の少ない部屋なら20ppm以上、50ppm以下が適切とされています。

まとめ

次亜塩素酸水は、新型コロナウイルスを含めて除菌・消毒効果が期待できるうえ、人体への悪影響もないため、感染症対策として非常に有効です。ただし、間違った製法で作られた製品を選んだり使い方を誤ったりすると、逆に健康が損なわれるおそれがあるので、十分に注意しなければなりません。

なお、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症対策」の中で、次亜塩素酸などの消毒殺菌効果をうたう商品を、周りに人がいる中で空間噴霧することはお勧めしておりませんのでご注意ください(※2)。

空間のウイルス対策は定期的な換気を推奨しております。

クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機については、こちらのページをご確認ください。

(※1)出典:厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html#h2_free3
(※2)出典:厚生労働省「消毒や除菌効果をうたう商品は、目的に合ったものを、正しく選びましょう。」
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_system_20200626_01.pdf

<監修者>

大塚 真紀(おおつか まき)

経歴:
医師、医学博士。博士号は、マウスを用いた急性腎障害に関する研究で取得。専門は、腎臓内科、透析。
都内の大学病院勤務を経て、現在はアメリカ在住。2歳と4歳の娘たちの育児のかたわら、医療関連の記事の執筆や監修、動画監修などを幅広く行なっています。

保有資格:
●医学博士
●総合内科専門医
●腎臓内科専門医
●透析専門医

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