空気環境について

2021年12月27日

溶接ヒュームに関する法改正の具体的な内容は?取るべき措置も解説

アーク溶接は製造業における重要な作業です。その作業時に発生する溶接ヒュームと呼ばれる金属の細かい粒子は、人体に有害な影響をおよぼす可能性が高いといわれています。

溶接ヒュームは従来、法令による規制の対象ではありませんでしたが、危険性が判明したことから法改正され、各種規制が設けられるようになりました。

そこで今回は、溶接ヒュームの法改正の具体的な内容と、取るべき措置について解説します。

溶接ヒュームとは

溶接ヒュームとは、アークの熱によって溶解した金属が蒸気となったあと、その蒸気が空気中に冷却されて凝固することで、細かい金属の粒子になったものを指します。

溶接ヒュームに含まれる化学物質として塩基性酸化マンガンがありますが、かつては特定化学物質として指定されていなかったため規制の対象からは除外されていました。

ところが、塩基性酸化マンガンの有害性が明らかになったことから、法改正が実施され、特定化学物質として法令の規制対象になったのです。

特定化学物質とは、労働者に健康被害を発生させる可能性がある物質のことで、指定された場合法令による規制の対象になります。

溶接ヒュームの危険性

国際がん研究機関(IARC)において、溶接ヒュームは人に対する発がん性を有する物質グループ1に分類されました。

実際に、溶接ヒューム自体のばく露(物質にさらされること)による肺がんリスクの上昇が報告されています。

溶接ヒュームに含まれる塩基性酸化マンガンは、ばく露によって神経機能障害や呼吸器系障害を引き起こす性質があるとされています。

溶接ヒュームに関する法改正

溶接ヒュームに含まれる塩基性酸化マンガンは、以前は、特定化学物質の第2類物質において、「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」として規制の対象外でした。

しかし、前章で説明した危険性が判明し、関連する法令である労働安全衛生法施行令や、特定化学物質障害予防規則等が改正されたことにより、「(塩基性酸化マンガンを除く。)」の部分が削除され、規制の対象となったのです。

◇法改正によって変わること
溶接ヒュームに関する法改正によって、以下のような措置が実施されることになりました。

全体換気装置による換気
屋内作業場での金属アーク溶接等作業(金属をアーク溶接したり、アークで金属を溶断したりする作業)において、作業中に発生する溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置(または同等以上の措置)による換気をしなければならない、ということになりました。全体換気装置とは、動力により全体換気を行う装置を指します。

空気中の溶接ヒューム濃度の測定
屋内作業場において金属アーク溶接等作業を継続して行う場合、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定することが決まりました。

濃度を測定する方法として、個人サンプリング法があります。作業者の身体にサンプラーを取り付け、金属アーク溶接等作業に従事する時間を対象として濃度を測定します。

換気装置の風量増加等必要な措置
空気中の溶接ヒューム濃度を測定した結果によって、換気装置の風量を増やすなどの必要な措置を実施することが義務付けられています。

措置を講じた場合はその効果を確認するために、空気中の溶接ヒュームの濃度を再度測定しなければなりません。

呼吸用保護具の使用と選択
作業場所が屋内か屋外かに関わらず、労働者が金属アーク溶接等作業を行う場合は、有効な呼吸用保護具を使用させなければなりません。

法改正以前から、粉じん障害防止規則という法令に基づいて、一定の作業については有効な呼吸用保護具の使用が義務付けられています。

加えて、溶接ヒュームの濃度が基準値を超える場合は、濃度に応じて有効な呼吸用保護具の着用が必要です。

マスクのフィットテストの実施
呼吸用保護具を労働者が適切に使用できるように、保護具の防護係数(呼吸用保護具の防護性能を表す数値)等を適切な方法で定期的に確認(フィットテスト)します。その結果が防護係数を下回らないようにします。

特定化学物質作業主任者の選任
屋外・屋内を問わず、溶接ヒュームを取り扱う作業を行う場合には、特定化学物質作業主任者の選任が必要になりました。

特定化学物質作業主任者は、特定の技能講習を修了した者のなかから選任することができ、以下のような職務に従事します。

・労働者が対象物に汚染されないように、作業方法の決定や指揮を行う
・換気装置などの予防装置を定期的に点検する
・保護具の使用状況を監視する

特殊健康診断の実施等
金属アーク溶接等作業に常時従事する労働者に対しては、以下のような健康診断を実施しなければなりません。

・雇い入れや配置換えの際、およびその後6ヵ月以内ごとに1回、定期に特定の症状の有無の検査や握力測定などを行う(1次健診)
・1次健診の結果から医師が必要と認める場合は、作業条件の調査や特定の検査などを行う(2次健診)
・健康診断の結果を労働者に通知し、結果(個人票)を一定期間保存する
・健康診断の結果報告書(特定化学物質健康診断結果報告書(特化則様式第3号))を労働基準監督署長に提出する
・異常と診断された場合は、医師の意見を勘案しつつ、必要に応じて措置を講じる

その他の必要な措置
金属アーク溶接等作業に関して、以下のような措置を講じることが要求されています。

・雇い入れや作業内容を変更したときなどに、安全衛生教育を行う
・汚染されたウエスや紙くずなどを、特定の容器に保管する
・作業場所の床は、コンクリートや鉄板などの不浸透性のものとする
・関係者以外を立入禁止にし、その旨を表示する
・対象物を運搬・貯蔵する際は、特定の容器を使用し、一定の場所に貯蔵する
・作業場以外の場所に休憩室を設ける
・洗浄設備を設置する
・作業場での喫煙・飲食を禁止し、その旨を表示する
・呼吸用保護具を作業場に備え付ける
クリーンエア・スカンジナビアのFS 70 Standardで快適な空気を

快適な空気環境を整えるために、空気清浄機を設置することもお勧めです。

ここでは、クリーンエア・スカンジナビアのFS 70 Standardをご紹介します。

FS 70 Standardは製造業や物流など、室内空気の品質管理が必要な事業に向けた空気清浄機として開発されました。

複数のフィルターを組み合わせることで、粉じんを効率良く捕集します。浄化された空気は排気口から室内に通常戻りますが、特定のエリアに送ることも可能です。

さらに、フィルター構成だけでなく、ダクトコネクターやベンド管などの付属品をニーズに合わせてカスタマイズできるので、さまざまな現場に対応できる汎用性があります。

FS70 Standardは単相200Vで動作します(100V電源環境で使用できるトランスのご用意もございます。)そのため、作業の必要に応じて設置場所を簡単に変更できるのもメリットです。

まとめ

溶接ヒュームと呼ばれる金属の細かい粒子は、人体に有害な影響をおよぼす可能性が高いことが判明したため、特定化学物質として法規制の対象になりました。

アーク溶接を行う場合、溶接ヒュームを減少させるために換気装置によって換気をしたり、適切な呼吸用保護具を使用したりするなどの措置が法律によって義務付けられています。

快適な空気を保持するためには、空気清浄機の導入も一案です。高性能で便利な空気清浄機をお探しの場合は、クリーンエア・スカンジナビアにご相談ください。

導入事例