改正健康増進法をわかりやすく解説!喫煙室を設置する条件とは?
近年、改正健康増進法の施行により、さまざまな場所において禁煙が進められています。
改正健康増進法は、店舗やレストランなどの施設を原則禁煙としたり、設置できる喫煙室の種類を制限したりすることで、「望まない受動喫煙」を防止しようとする法律です。
この記事では、喫煙室を設置するための条件など、改正健康増進法についてわかりやすく解説します。
改正健康増進法とは?
改正健康増進法は、もともと2002年に公布された健康増進法の、一部が改正されたものです。
改正健康増進法は2018年7月に成立し、2019年7月1日から、学校や病院などにおいて敷地内の原則禁煙が実施されました。その後、2020年4月1日からは、飲食店や職場などの屋内における原則禁煙が実施されています。
◇改正健康増進法の目的
改正健康増進法のおもな目的は、望まない受動喫煙(他人のタバコの煙を吸ってしまうこと)を防止することです。受動喫煙が他人に与える健康への影響を踏まえて、屋内において受動喫煙にさらされる機会をなくそうとするものです。
世界的に見て、タバコの被害への日本の対策は最低水準にあるといわれることから、改善策としての効果も期待されます。
◇改正の大きなポイント4点
改正健康増進法は、従来の健康増進法を改正した法律です。
おもな改正のポイントは、以下の4点です。
・原則、屋内は禁煙に
ここでいう屋内とは、「外気の流入が妨げられる場所として屋根がある建物であり、かつ、側壁がおおむね半分以上覆われているものの内部」を指します。
一般的な建物における店舗やレストランなど、屋内に該当する場所については、原則として禁煙です。
・喫煙室の設置
店舗やレストランなどの屋内は原則禁煙ではありますが、所定の要件に適合すれば、各種禁煙室の設置が認められます。
どのような喫煙室を設置できるか(喫煙専用室、加熱式タバコ専用喫煙室など)は、施設の種類によって異なります。また、喫煙室を分煙キャビンで代用することも可能で、新築ビルでは「屋外排気+分煙キャビン」といった対応になるケースもあるでしょう。
・20歳未満は、喫煙エリアへの立入り禁止
20歳未満の方は、喫煙可能エリアへの立入りが禁止されます。店舗の従業員であっても、20歳未満の場合は立入り禁止です。
20歳未満の方を喫煙可能エリアに立入らせてしまうと、施設の管理権原者が行政による指導の対象になります。
・喫煙室への標識掲示義務付け
喫煙室を設置した場合、喫煙室の種類に応じて、指定された標識を提示しなければなりません。例えば、喫煙専用室であれば喫煙専用室用の標識、喫煙目的室であれば喫煙目的室用の標識が必要です。
適正な標識とは異なる紛らわしい標識を掲示したり、標識を汚損したりした場合は、罰則の対象となる可能性もあります。
また、喫煙室の風速について約3ヵ月ごとに風速計測を行う、計測結果のレポートを約3年間保管する、といった受動喫煙防止のためのさまざまな措置をとることが求められます。
改正健康増進法を踏まえて、喫煙所を設置するには
改正健康増進法に基づいて喫煙所を設置する場合、施設のタイプによって設置できる喫煙所の種類・基準が異なります。
ここからは、改正健康増進法を踏まえたうえで、喫煙所を設置できる基準について見ていきましょう。
◇学校や病院、行政にかかわる施設は敷地内禁煙
店舗やレストランなど一般的な建物については、屋内は禁煙にしなければいけませんが、屋外については改正健康増進法の規制対象ではありません。
しかし、以下の施設については建物の内部が禁煙となるだけでなく、施設の敷地内全体を禁煙にしなければなりません。
・学校
・病院
・児童施設等
・行政機関(役所など)
・旅客運送事業自動車(タクシーなど)
・航空機
ただし、上記の施設の屋外においては、必要な措置がとられた場所に限り喫煙場所を設置することが可能です。
◇大きな飲食店や新規店の場合
大きな飲食店や新規店などの一般的な事業者(※)については、以下の2点(分煙キャビンを含む)の設置が可能です。
・喫煙専用室(喫煙は可能だが、飲食は不可)
・加熱式タバコ専用喫煙室(加熱式タバコ限定で、喫煙・飲食が可能。ただしあくまで経過措置とする)
施設の一部を加熱式タバコ専用喫煙フロアにする、逆に喫煙室を設置せずに完全禁煙にする、といった対応も可能です。
(※)以下の条件を一つでも満たす場合は、原則として、一般的な事業者に該当します。(喫煙目的施設を除く。)
・2020年4月1日以降の新規店であること
・資本金が5,000万円超であること
・客席面積が100平方メートル超であること
◇小さな飲食店や既存店の場合
小さな飲食店や既存店など、一定の要件を満たす施設(既存特定飲食提供施設)においては、経過措置として喫煙可能室の設置が認められています。
喫煙可能室とは、喫煙と飲食の両方が可能な部屋のことです。施設の全部または一部に設置可能なので、施設全体を喫煙可能室にして全席喫煙にすることも、施設の一部を喫煙可能室にしてエリア分煙にすることもできます。
喫煙可能室を設置できる既存特定飲食提供施設に該当するのは、以下3つの要件をすべて満たす施設です。
・2020年4月1日の時点で現存する店舗であること
・資本金が5,000万円以下であること
・客席面積が100平方メートル以下であること
◇喫煙することが目的の施設(主食提供なし、タバコ販売店資格あり)の場合
喫煙目的施設においては、喫煙目的室を設置することが認められています。
喫煙目的室とは、喫煙と主食以外の飲食が可能な部屋のことで、全席喫煙にしたり、エリア分煙にしたりすることが可能です。
喫煙目的施設とは、公衆喫煙所(施設の全部について、主として喫煙のための場所とするもの)や、喫煙を主目的とするバー、スナックなどです。
「喫煙を主目的とするバー、スナックなど」とは、主食を提供しておらず、かつタバコ販売店の資格を有する施設を指します。
◇オフィスや商業施設の場合
オフィスや商業施設は一般的な事業者に該当するので、屋内においては喫煙専用室(分煙キャビンを含む)や、加熱式タバコ専用喫煙室(経過措置)の設置が可能です。
また、屋外に喫煙所を設置することもできます。
◇宿泊施設の場合
宿泊施設も一般的な事業者と同様に、屋内においては喫煙専用室(分煙キャビンを含む)や、加熱式タバコ専用喫煙室(経過措置)の設置が可能です。
なお、客室については原則として改正健康増進法の規制の対象外なので、喫煙が認められます。
ただし、喫煙室の風速を約3ヵ月ごとに計測したり、計測結果のレポートを約3年間保管したりするなど、十分な受動喫煙防止策をとっておくことをおすすめします。3ヵ月以上放置すると、喫煙室の汚れが原因で受動喫煙の防止に必要な風速が不足するおそれもあります。
また、機器の故障で膨大な修理コストがかかったり、改正健康増進法の要件変更によって再度工事が必要になったりするリスクも考えられます。定期的な計測やレポート保管を実施すれば、上記のようなトラブルに備えやすくなるでしょう。
義務違反するとどうなる?
改正健康増進法が規定する義務に違反した場合、指導や罰金などの対象になるため注意しましょう。
義務違反が発覚すると、まずは是正を促すための指導が行政によって実施されます。指導に従わない悪質なケースにおいては、是正措置をとるように勧告されます。
勧告にも従わない場合は、都道府県知事によって企業名が公表されます。それでも必要な措置をとらなかった場合には、命令が行われます。
上記の指導、勧告、公表、命令を無視してしまうと、最終的に50万円以下の罰金が課されるおそれもあるため、速やかな対応を心がけましょう。
受動喫煙防止にはクリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンを
受動喫煙を防止するには、クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンがおすすめです。
喫煙用の小スペースである分煙キャビンは、タバコの粒子を捕獲することで煙や臭いを効果的に除去し、快適な空気環境を提供します。
100V電源のある屋内であれば、基本的にどこでも設置できるため、喫煙室を別途用意する必要がありません。限られたスペースを有効活用でき、設備費用がかからない点は大きな魅力です。
さらに、厚生労働省が定める「脱煙機能付き喫煙ブース」(分煙キャビン)における技術的基準を満たしているため、別途基準を満たすための手続きなどが不要です。
「脱煙機能付き喫煙ブース」(分煙キャビン)の技術的基準
・総揮発性有機化合物の除去率が95%以上であること。
・当該装置によって浄化され、室外に排気される空気における浮遊粉じんの量が0.015mg/m3以下であること。
・出入口において、室外から室内に流入する空気の気流が0.2m毎秒以上※であること。
また、分煙キャビンを導入することで、喫煙者と非喫煙者が同じ空間で活動しやすくなり、社内コミュニケーションが活性化しやすいのもメリットでしょう。
専門スタッフによる定期メンテナンスや、計測の実施・レポート作成の代行にも対応しているため、導入後の保守・運用についてお任せいただける点もクリーンエア・スカンジナビアならではのサービスです。
※条件によって追加パーツ等が必要になる場合がございます。
詳しくはこちら
まとめ
改正健康増進法は、店舗やレストランなどの施設を原則禁煙とし、設置できる喫煙室の種類を制限することで、望まない受動喫煙を防止する法律です。どのような喫煙室を設置できるかは、施設の種類によって異なる点に注意しましょう。
分煙キャビンは100V電源のある屋内であれば、基本的にどこでも設置できるので、さまざまな施設において受動喫煙防止に役立ちます。
分煙キャビンには、設備費用がかからない、限られたスペースを有効活用できる、社内コミュニケーションを活性化できる、といったさまざまなメリットがあります。
社内や事業所内で受動喫煙対策を考えている場合は、ぜひ分煙キャビンの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
関連記事
-
法律、ニュース関連
脱炭素は社会の新たな基本。技術系シンクタンク・株式会社テクノバにインタビュー
-
法律、ニュース関連
労働衛生コンサルタントとは?主な役割と事業場で活用するメリット
-
法律、ニュース関連
心地よい眠りと、地球のために。循環する寝具づくりを担う株式会社イワタにインタビュー
-
法律、ニュース関連
居酒屋を喫煙可にするには?必要な条件や活用できる助成金などを解説
-
法律、ニュース関連
喫煙室のタイプや設置基準を解説。バーやレストランで喫煙はできる?
-
法律、ニュース関連
製造業こそSDGsの推進は必要。グリーンアルミを製造する加藤軽金属工業株式会社にインタビュー
-
法律、ニュース関連
「理解する」から「情報発信」まで。SDGs実装を支援する加山興業株式会社にインタビュー
-
法律、ニュース関連
日本の衣類を、日本で再循環。豊島株式会社にインタビュー