喫煙所設置に対する東京都の助成金制度について知りたい!支援金はいくらまでもらえる?
人々が望まない受動喫煙を防止できるよう、東京都では分煙・禁煙に関するさまざまな取り組みが実施されています。都内はただでさえ人口密度が高いうえ、飲食店や宿泊施設の数も多いため、受動喫煙への対策は必要不可欠です。
しかし、「喫煙スペースを作りたくても予算が足りない」「助成金を受け取るための条件がよくわからない」などと、頭を悩ませている事業者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、喫煙所設置に対する東京都の助成金制度について解説します。
飲食事業者向け経営基盤強化支援事業とは?
飲食事業者向け経営基盤強化支援事業とは、公益財団法人「東京都中小企業振興公社」が実施している取り組みです。新型コロナウイルス感染症の影響で、厳しい経営状況に陥っている都内の飲食事業者(個人事業主も含む)に対し、さまざまなサポートを提供します。
この支援事業には「受動喫煙防止対策支援」も含まれており、一定の条件を満たせばサポートを受けることが可能です。
◇支援事業の目的
飲食事業者向け経営基盤強化支援事業では、都内の中小飲食事業者などがきちんと集客できるよう、喫煙室設置をはじめとする受動喫煙防止対策をサポートします。
近年、東京都のみならず、日本全国で受動喫煙を防ぐための取り組みが実施されている状況です。特に飲食店では、2020年4月1日施行の改正健康増進法によって「原則屋内禁煙」が制度化されたため、肩身の狭い思いをしている喫煙者の方も多いでしょう。
たしかに、施設を完全禁煙にするのが最も手っ取り早い対策方法ですが、飲食事業者の観点から考えると、喫煙者の客足が遠のいてしまうデメリットもあります。実際に、禁煙と書かれた店頭掲示を見て、入店を諦めてしまう喫煙者の方も少なくありません。
そのため、禁煙ではなく「分煙」の取り組みを進める店舗が増えてきています。具体的には、施設内に「喫煙専用室」や「指定たばこ専用喫煙室」を設置して、喫煙者と非喫煙者のスペースを区分するというものです。
分煙なら非喫煙者の受動喫煙を防ぎつつ、喫煙者はたばこを気兼ねなく楽しめるので、双方にとってメリットがあります。
受動喫煙防止対策支援は、経営的な側面も踏まえて分煙による対策を推進しているため、飲食事業者にとって心強い味方といえるでしょう。
◇支援事業の特徴
受動喫煙防止対策支援の特徴としては、下記の2種類のサポートが挙げられます。
・助成金支援
・専門家派遣支援
助成金支援の詳細は後述しますが、喫煙室設置などにかかる費用を補助してもらう制度です。助成金を受け取るためには、一定の要件を満たす必要があります。
一方、専門家派遣支援は、飲食店などの経営ノウハウを熟知した中小企業診断士・税理士・公認会計士などの専門家を派遣してもらう制度です。喫煙室設置や全面禁煙の要否を踏まえつつ、経営アドバイスや課題解決に向けたコンサルティングを無料で受けることができます。
専門家派遣支援についても要件が定められており、支援対象者は「都内の飲食店および宿泊施設(個人経営・中小企業のみ」」です。また、派遣回数も「1企業につき8回まで」と規定されているので、あらかじめ注意しましょう。
なお、専門家派遣支援を受けるかどうかは任意です。助成金の交付審査にも影響しないので、必要に応じて利用しましょう。
【飲食事業者向け経営基盤強化支援事業】助成金はどれくらい受け取れる?
引用:東京都中小企業振興公社
続いて、飲食事業者向け経営基盤強化支援事業における補助事業や補助上限額について、詳しく解説します。
◇補助対象となる事業者
助成金支援の対象となる事業者は、下記のとおりです。
・都内の飲食店(個人または中小企業が経営しており、大企業が実質的に経営に参加していない店舗)
・都内の宿泊施設
なお、上記の要件を満たしていても、交付対象にならない可能性もあります。
◇補助事業と補助上限額
助成金支援における補助事業は、下記の2種類です。
1. 「喫煙専用室」または「指定たばこ(加熱式たばこ)専用喫煙室」の設置
2. 東京都が2015年度から2017年度に実施した「外国人旅行者の受入れに向けた宿泊・飲食施設の分煙環境整備補助」事業で整備した分煙設備の撤去など
また、助成金支援は一部補助なので、設置工事などにかかる費用をすべて負担してもらえるわけではありません。補助上限額もそれぞれ規定されており、1は最大400万円、2は最大150万円です。
◇補助率
助成金支援は補助率(支出した費用について助成金が占める割合)が定められており、事業によって変動することも特徴です。
先述した事業1の場合には、補助率は原則3分の2ですが、「客席面積100平方メートル以下の中小飲食店」に該当する場合には、補助率は10分の9となります。
一方、事業2の補助率は一律3分の2であり、例外は規定されていません。
◇助成金交付までの流れ
助成金を受け取りたい場合、まず事業者は交付申請書一式を作成して、期限までに支援事業の担当に提出する必要があります。交付申請書の様式は、東京都中小企業振興公社のホームページからダウンロード可能です。
交付申請書が受理されると、現地調査および書類審査を通じて交付の可否判断が下されます。交付決定となった場合でも、すぐ助成金が交付されるわけではありません。喫煙室設置など事業に応じて契約・発注・施工を行ったあと、公社が測定・検査を実施します。
その後、実績報告書を提出して受理されると助成金額が確定しますが、交付前に助成金請求書も提出しなければなりません。
上記のように、助成金を受け取るためにはさまざまな手続きを踏む必要があります。交付申請書の提出から実際に助成金が交付されるまで、少なくとも3ヵ月程度はかかるので、きちんとスケジュールを管理しておきましょう。
公衆喫煙所設置に対する助成金
東京都23区のうち、下記の12区では「公衆喫煙所設置」に関する費用の一部を補助する制度が設けられています。
・大田区
・世田谷区
・渋谷区
・中央区
・杉並区
・新宿区
・北区
・台東区
・港区
・千代田区
・文京区
・豊島区
細かい要件は区によって異なりますが、おもに各区内の建築物・土地を所有している、あるいは使用している方が対象となります。
補助事業や補助上限額もそれぞれ異なりますが、渋谷区を例に挙げると、下記のとおりです。
【補助事業】
1. 屋内喫煙所・屋外喫煙所の新規設置費用
2. 新規設置喫煙所の維持管理費用
3. 既存喫煙所の維持管理費用
【補助金上限(補助率)】
1. 最大300万円(10分の10)
2. 最大10万円/月(10分の10)
3. 最大5万円/月(10分の10)
「公衆喫煙所を新しく設置したい」「今ある喫煙所を公衆向けに開放したい」と考えている場合は、各区のホームページで詳細をご確認ください。
喫煙専用室の他に対処法はある?
喫煙専用室を設置すること以外での対策としては、分煙機、分煙キャビンの設置が挙げられます。分煙キャビンは喫煙専用室と比べると以下のようなメリットがあります。
・喫煙室より法律対応が簡単
・喫煙室より分煙効果が高い
・喫煙室よりスペースも無駄がない
◇クリーンエア・スカンジナビアの分煙機の特長
分煙機と一口にいっても多種多様ですが、分煙効果と設置のしやすさを求めるなら、クリーンエア・スカンジナビアが提供している「分煙キャビン」がおすすめです。
・たばこ粒子をほぼ100%捕集する粒子フィルターで、煙、臭い、有害物質を徹底浄化
・100V電源さえあれば屋内どこでも設置できるので、大規模な工事は不要
・専門スタッフによる定期メンテナンスで、快適な空気環境を維持
クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンのより詳しい情報は、こちらのページで紹介しています。
まとめ
東京都内で喫煙所を設置する場合、助成金を受け取れる可能性があります。事業の内容や設置する場所にもよりますが、数百万円もの費用が補助されるケースもあるので、要件を満たしているなら申請しない手はありません。
喫煙者・非喫煙者を問わず、飲食店や宿泊施設には多くの人々が来訪します。望まない受動喫煙を防止することはもちろん、喫煙者が過ごしやすい環境を提供することも踏まえて、分煙対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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