脱炭素経営はできることから、継続的に。株式会社グローバル・パートナーズ・テクノロジーにインタビュー

脱炭素経営はできることから、継続的に。株式会社グローバル・パートナーズ・テクノロジーにインタビュー

クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。

持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。この記事では、同様にSDGsの取り組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。

株式会社グローバル・パートナーズ・テクノロジーは東京都千代田区に本社を構え、クライアントと一体になってプロジェクトを推進し、経営戦略をベースにしたIT戦略の立案・実行をサポートする会社です。

昨年より、中堅以下の企業様向けの「脱炭素経営支援事業」を立ち上げられ、「サステナビリティ経営を進めたいが、何から始めたら良いかわからない」という企業に向けて、コンサルティングサービスを提供しています。

今回は、同社で脱炭素経営支援事業を立ち上げた岡村知暁さんに、脱炭素経営の進め方や企業がSDGsに取り組むメリットについてお話を伺いました。

企業のパートナーとして伴走する姿勢を大切にしている



―本日はよろしくお願いします。御社の沿革や主な事業内容について教えてください。

岡村さん(以下、岡村):当社は2010年に創業し、CIOアウトソーシング事業(経営戦略としての情報システム活用全体に責任を持つ)を展開している会社です。弊社代表の坂本は20年以上IT業界に身を置いており、現在は農林水産省のITテクニカルアドバイザーとしても活動しています。

当社ではITシステム導入のお手伝いだけでなく、お客様がITシステムスキル・経験を増やしていくことを重視し、サービスを提供しております。

パートナーとして伴走する姿勢を大切にしているため、システム開発企業との間に利害関係を持っておらず、自社でシステムの開発は行っていません。ユーザーの方と同じ立場で支援するのが特徴です。


―脱炭素社会に向けた事業を展開されたきっかけを教えてください。

岡村:この伴走型支援をサステナビリティ領域にも応用していくことが有効だと考え、昨年サービスを立ち上げました。

これまでサステナビリティにあまり馴染みがなかった企業が、サステナビリティ経営を独立して進めていくのは難易度が高いと考えています。そのため、「企業が進めていくことの必要性」「どのように実践していくのか」などを一緒に考えながら、企業のスキルや経験を増やし、着実に進んでいけるような支援を行っています。

脱炭素経営における指針を見つける

―脱炭素経営支援サービスとは具体的にどのようなサービスなのでしょうか?

岡村:まずTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)等が要求している開示項目や基準等をもとに弊社で作成したチェックシートを使って、ヒアリングを行いながら企業の現状を見える化し、「今後どのようなアクションをとるべきなのか」「どのようなアクションをとれるか」を一緒に考えていきます。

チェックシートには、「サステナビリティを推進していく計画・戦略があるか」「指標目標が定義されているのか」「リスクを管理できる仕組みがあるか」「開示と対話に対する準備ができているか」などの質問を用意しています。

このサービスでは、まずは手の届くところに目標を定めて1~3年ほどの期間で向上させていくことを目指します。そのため、最初からチェックシートが100点になるような取り組みを行うのは難しいですが、現状から一歩進み、サステナビリティ経営の大きな指針を見つけていただけるので、何から始めたら良いかわからない企業様の力になるのではないかと考えています。

指針を定め、取り組みを実践する際にも継続してモニタリングを行い、実効性のあるサステナビリティ経営の推進をサポートいたします。

脱炭素経営から自社の強みを再認識できる



―企業が脱炭素化を進めるメリットにはどのようなことが挙げられますか?

岡村:企業価値と脱炭素経営との因果関係は解明途中ですが、現状では、少なくとも相関関係はあるのではないかと言われています。例えば、お客様への商品訴求力の向上、採用力の向上、資金調達力の向上などを通して企業価値向上が挙げられるでしょう。

また個人的には、脱炭素の観点から自社の事業・取り組み、提供価値を見直す機会となり、「自社の強み」を再認識できることもメリットの一つとして挙げられると考えています。この再認識活動を通じ、従業員の会社に対するロイヤリティの向上が見込めたり、自分の仕事の意味や価値を見つめ直す機会となったりするのではないでしょうか。


―大企業と中小企業で脱炭素経営の進め方・考え方の違いはありますか?

岡村:どのレベルの取り組みを目指すかによって、進め方に違いが出てくると思います。例えばグローバル化が進んでいる企業では、高いレベルのサステナビリティ対応をスピーディーに求められる傾向があるので、短いサイクルで高度化を進めていく必要があります。

またサステナビリティには脱炭素だけでなく、生物多様性や資源循環、自然資本・人的資本の保護などがあり、グローバル企業は、幅広いテーマにも対応していくことが必要でしょう。

一方、中小企業には、多様なサステナビリティテーマを高いレベルで対応していくことを、いきなり求められることは少ないと考えています。そのため、まずは社会の期待とのギャップを認識した上で、自社でできるところから取り組んでいってほしいですね。

現在は「価値共創」が求められる時代のため、サステナビリティに関する取り組みを社内外に開示することは、大企業・中小企業問わず重要になってくると思います。

自分のできることから始める



―中小企業では脱炭素社会に向けてどのようなことから取り組んでいくべきでしょうか?

岡村:脱炭素をはじめとするサステナビリティ領域は、取り扱うテーマが多いため、どこから手をつけるべきなのかわかりにくいと思います。そのため、できるところから取り組み始め、継続していくなかで改善できるところを見つけ、レベルを上げていくことが大切です。

また取り組みの内容を外部に開示し、発信することでその反応をもとにPDCAサイクルをまわすことも有効です。

やるべきことはたくさん出てくると思いますが、小さい活動の輪を徐々に広げるように、一つずつ着実に進んでいってほしいと思います。


―今後、注力されることやご計画を教えてください。

岡村:今後は脱炭素だけでなく、TNFD(生物多様性)をはじめとする幅広いサステナビリティテーマに対応していく必要があるため、当社でもこれらのテーマにも対応できるよう準備を進めていきたいと考えています。

また、サステナビリティ活動の改善や情報開示を進めていくためには、様々なデータを効率的に管理・加工していくことが求められますので、そういった社会や企業のニーズにも対応できるようにしていきたいですね。

さらに、日本では地域活性化の問題が深刻化してくると予想されます。そのため、地域活性化につながる事業やサービスを新しく展開できればいいなと考えています。とはいえ、当社だけではできる領域・範囲は限られていますので、様々な企業や自治体とも連携を取りながら、社会のサステナビリティ活動を広げていきたいです。


―SDGsに関心のある読者の方に向けてメッセージをお願いします。

岡村:SDGsという言葉を聞くと、17の目標や169のターゲットといった各指標などに意識がいく方も多いと思います。しかし、「社会と企業がサステナブルな社会を目指しましょう」ということがSDGsの考え方の起点だと思いますので、難しく考えず、周囲の人や地域社会・環境のために自分のできることをやっていくことが大切ではないでしょうか。

また、そのほかの人・社会のための活動を継続的に行っていくこともSDGsにつながっていくので、皆さんも小さなことから始めていただきたいですね。


―本日はお話しいただき、ありがとうございました。