リスクアセスメントの意味や必要性とは?進め方を簡単に解説
日本では労働災害による死傷者が多く発生しています。特に1960年代前後の高度経済成長期には被害が多く、死亡者が6,000人以上におよぶ年もありました。その後、労働災害による死亡者は減少傾向にあるものの、現在でも年間約54万人もの労働者が被災しています。
労働災害のほとんどは、中小規模の職場や同規模からなる鋳物製造業界などで発生しており、厚生労働省は事故から労働者を守る目的で労働災害防止対策「リスクアセスメント」を講じました。
この記事では、リスクアセスメントの必要性や、計画的に実施するための一連の流れや手順について解説します。
リスクアセスメントの意味は?
リスクアセスメントとは、職場のなかで労働災害につながる可能性がある危険性や有害性を見積もり、それらを可能な限り低減していく安全確認方法のことです。事業者が自主的に職場のリスクに対する安全対策を行ない、その結果を記録します。
労働者の安全や健康の確保を推進するために労働安全衛生法が改正され、1943年4月1日より事業者によるリスクアセスメントの実施が努力義務化されました。
リスクアセスメントの必要性
従来の労働災害防止策は発生した労働災害に対する再発防止に重きが置かれ、まだ災害が発生していない職場の潜在的なリスクについては放置されていました。
さらに近年の技術の進歩によって、生産現場ではさまざまな機械や化学物質が導入されるようになり、職場に潜むリスクも多様化しています。職場に潜む危険性を積極的に特定し、事前に対策を講じるために、これからの安全衛生対策ではリスクアセスメントの実施が必要不可欠です。
以下では、具体的にリスクアセスメントの必要性を解説します。
◇労働者を守る
リスクアセスメントを実施する目的は、災害や危険から労働者の命を守ることです。したがって職場に潜むリスクのほかにも、地震などの自然災害や新型コロナウイルスのような感染症への対策も考慮し、災害に強い企業づくりを目指す必要があるでしょう。
リスクアセスメントには労働者も積極的に参加し、事業者のリーダーシップのもと、全員が一丸となって職場の安全衛生管理へと継続的に取り組む姿勢も大切です。
◇人材の確保
労働災害が発生すると企業の信用度が低下し、労働者が離職したり優秀な人材が離れたりするおそれがあります。そのため特に労働災害が発生しやすい職場では、リスクアセスメントを実施して労働者に安心感を与えることが大切です。
安全な職場環境づくりに努めることで企業に対する信頼度が高まり、労働者の定着率の向上が期待できます。新たに人材を採用する際にも、リスクアセスメントを公開することで企業の安全性を示せるでしょう。
◇企業の信用度を高める
普段から組織全体でリスク管理ができている企業は、事業継続の可能性を証明できるため、外部からの信用を得やすくなります。金融機関などから融資を受ける際にも、リスクアセスメントを実施しているか否かは評価のポイントとなるようです。
リスクアセスメントの進め方
リスクアセスメントは計画的に実施する必要があります。次のようなステップごとに進めていきましょう。
◇危険性や有害性の特定
まず、職場内に潜む危険性や有害性の特定をします。機械や設備、原材料をはじめ、作業行動や環境(長時間労働など)から、労働者に危険をもたらしかねないもの、または状況を特定しましょう。
◇リスクの見積もり
特定した危険性や有害性ごとに「重篤度」や「発生する可能性の度合い」を数値化するなどして、リスクの大きさの見積もりを行ないます。
◇リスク低減措置の検討
見積もったリスクのなかで優先順位の高いものから対策内容を検討します。職場内だけで対策を考えることが難しい場合には、さまざまな事例に対応した経験のある専門家に適切な対策方法についての助言を求めるのも一つの手段です。
◇リスク低減措置の実施と経過観察
優先度の高い順に安全対策の検討を行なったら、次の順番でリスク低減措置を実施していきます。
1.法定事項を遵守する
特定した危険性や有害性について、労働安全衛生法や関係する法令に定められた事項に該当する場合には、それを遵守する必要があります。
2.危険な作業の廃止・変更を行なう
労働者に危険をおよぼすおそれのある作業を廃止または変更します。例えば、有害性のある材料を使用している場合は、危険性の低い材料へ代替することが望ましいといえます。
従来の方法から新たな方法へ変更する際には相応の投資が必要となる場合が多いため、事業者の積極的な判断が望まれます。
3.インターロック、局所排気装置の設置等の対策を行なう
2の段階で除去することができなかったリスクについて対策を行ないます。例えば、万が一の際に被害が発生しないようガード(防護柵)やインターロック、安全装置などを設置します。
さらに、危険な物質や薬品を使用している場所には局所排気装置などを設置して、安全な環境を維持しなければなりません。局所排気装置の追加工事が難しい場合には空気清浄機を導入するという選択肢もあります。
4.マニュアルの整備等の管理的対策を行なう
2と3の措置で除去しきれなかったリスクに対しては「マニュアルの整備」「立入禁止措置」「ばく露管理」「安全教育や訓練」などを実施し、労働災害の発生を防ぐための管理を徹底します。
5.個人用保護具を使用する
4までの措置を実施したうえでもリスクの除去や低減ができなかった場合には、最終的に呼吸用保護具や保護衣、安全靴など個人用保護具の着用を義務付けます。
しかしリスクアセスメントを実施する目的は、あくまで個人用保護具を使わなくても良い方法を実現することにあります。
【業種別】確認すべきリスクアセスメント
労働災害が発生するおそれがある業種はさまざまありますが、業種によってリスクの内容は異なります。業種別に、リスクアセスメントを実施する際のポイントをお伝えします。
◇建設業
建設業では、墜落・激突・転落・転倒などの事故による死亡災害が多く発生しています。こういった事故が多発する背景には、重層請負構造(元方事業者が請け負った仕事の一部またはすべてを下請けに出す構造のこと)という建設業界の特性が関係しているようです。
そのため労働安全衛生法では、このような特性を考慮して元方事業者が統括管理を行ない、安全衛生対策を講じる旨が規定されています。元方事業者の管理のもと、関係事業者は作業の計画段階から設備、配置上の問題解決に慎重に取り組むことが求められています。
◇製造業
製造業は建設業と同様に、労働災害が特に発生しやすい業種です。工場内では危険がともなう大型機械を使用することもあり、はさまれや巻き込まれ、転落や転倒といった事故の発生が少なくありません。特に、高齢に近い労働者や経験の浅い労働者が労働災害に被災しやすい傾向にあります。
事故から労働者を守るためには、次のような安全対策の実施が求められます。
・重大な事故につながる作業をなくす、あるいは別の作業に置き換える
・労災グッズやルール整備など、作業環境の改善を行なう
・安全カバー、非常停止センサー、防火装置などを取り付ける
・ITを活用し、労働者の位置情報を知らせるシステムを導入する など
◇医療業
医療業界は「飛沫や接触によるウイルス感染」や「人体に有害な化学物質」といった特有のリスクにさらされています。また、不規則な勤務形態によって生活リズムが崩れやすく、心身の健康が損なわれやすい傾向にあります。
そのため医療業界では化学物質や病原体などの有害なリスクへの対処だけでなく、メンタルヘルスケアへの対策も必要です。
職場環境の向上にクリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機
クリーンエア・スカンジナビアは、有害な粒子や気体から人々を守るために、室内の空気環境を改善するさまざまな製品・サービスを提供しています。
クリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機には高性能フィルターが搭載されており、有害な粉塵や臭いをほぼ完全に捕集することができます。
なかでも「QleanAir FS 70」は、工場や物流倉庫のような大容量の空気浄化が必要な事業所向けに開発された空気清浄機です。集塵機では完全に取り除けない微細な浮遊粉塵も捕らえ、汚染物質を効果的に除去してクリーンな空気を保ちます。可動式ですので、通常の電源がある場所であればどこでも簡単に設置が可能です。
職場環境向上のために、ぜひクリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機の導入をご検討ください。
QleanAir FS 70
まとめ
労働災害につながるリスクを取り除き、安全な職場づくりを行なううえで、リスクアセスメントの実施はとても大切です。
業種ごとに潜在的な危険性や有害性は異なりますが、リスクに応じて必要な安全対策を講じることで、起こり得る可能性のある労働災害を未然に防げます。また換気が不十分な場所には空気清浄機などを設置すると、有害物質による健康被害を防げるでしょう。
快適な空気環境を維持して労働者の安全と健康を守るために、ぜひクリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機をご活用ください。
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