局所クリーン化とは?メリットや導入前に考えるべきことを紹介
モノづくりの現場では、製品にゴミや異物が混入しないよう、日頃からクリーン化を実践する必要があります。しかし、コストや業務の都合により、なかなかクリーン化が進んでいない現場も多いのではないでしょうか。
そこで、覚えておきたい考え方が「局所クリーン化」です。これは単に汚染を防ぐだけではなく、製品のクオリティや会社の経営にも関連します。
今回の記事では、局所クリーン化の概要を踏まえつつ、おもなメリットや導入前に考えるべきことについて解説します。また、局所クリーン化に役立つ空気清浄機も紹介するので、ぜひご一読ください。
局所クリーン化とは
局所クリーン化とは「必要な場所・スペースだけに絞って清浄度をアップする」という考え方です。「局所的(部分的)にクリーン化を実践する」という意味もあります。
従来、クリーン化は大きな空間を清浄空間として、その空間内で作業するために必要だという考え方でした。これに対して、局所クリーン化は清浄化するスペースを限定することにより、省エネ・効率化・コスト削減などを目的としています。
局所クリーン化を実現するための技術には、さまざまなものがありますが、代表的なものが「クリーンブース」の使用です。クリーンブースとは、クリーンルーム内あるいは一般的な部屋の一角にフレーム(支柱)を建て、周囲をビニールシートなどで囲い、内部の空気をFFU(ファンフィルターユニット)などで浄化したものです。
また、より局所的かつコンパクトな「クリーンベンチ」もあります。クリーンベンチとは、屋根と囲いがついた作業台のようなものです。こちらも小型のFFUなどで空気を浄化するため、小規模ながら高い清浄効果が見込めます。
◇そもそもクリーン化とは
クリーン化とは、モノづくりの現場において、製品不良の原因となるゴミ・異物を除去する取り組みのことです。クリーン化を実践すると、製品のクオリティ向上や原価率の低減といった効果を通じ、会社の経営改善にもつながると期待されています。
クリーン化のルーツは、第2次世界大戦中の1940年頃のアメリカにあります。
当時のアメリカでは、粉塵の多い場所で航空機などの精密部品が製造されており、故障が立て続けに発生していました。その対策として、粉塵の少ない場所を確保し、そのなかで精密部品の製造を行なうことが一般化しました。これが「クリーンルーム」のルーツであるとされています。
終戦後も、クリーンルームの技術は半導体産業をメインに発展してきましたが、現在は自動車、食品、医薬品、化粧品など、さまざまな産業に欠かせない技術として取り入れられています。
◇クリーン化4原則
クリーンルームの清浄度を維持するための考え方として、以下のようなクリーン化4原則が提唱されています。
1. 持ち込まない:ゴミやその発生源をクリーンルーム内に持ち込まない
2. 発生させない:ゴミを発生させるような行為はしない
3. 堆積させない:ゴミが堆積しないよう対策する
4. 除去(排除)する:ゴミが発生したら速やかにクリーンルーム外へ除去する
局所クリーン化にも当てはまる原則であるため、しっかりと押さえておきましょう。
局所クリーン化のメリット
局所クリーン化を実践することで、企業は、「経費削減」「製品のクオリティ向上」という2つのメリットを享受できます。
◇経費削減
局所クリーン化技術を用いたクリーンブースやクリーンベンチは、導入および維持管理のコストを抑えられるため、経費削減につながるメリットがあります。
クリーンルームは一つの部屋を丸ごとクリーン化する関係上、どうしてもイニシャルコストが高くなってしまいます。電気代などのランニングコストも高くなりやすいため、経費負担は大きくなりがちです。
一方、クリーンブースやクリーンベンチは必要な部分だけクリーン化するので、イニシャルコストを削減できます。空調などのエネルギー消費量も抑えられるため、ランニングコストの削減も可能です。
製造部門で経費削減を実現できれば、競合他社に対して優位なポジションを確立できる可能性も高まるでしょう。
◇製品のクオリティ向上
局所クリーン化によって作業現場の汚染を軽減できるため、製品のクオリティ向上につながることもメリットです。
モノづくりの現場では、さまざまなゴミや異物が発生します。粉塵、ホコリ、毛髪、虫の死骸などが製品に混入してしまえば、製品のクオリティが低下するだけではなく、クレームや損害賠償といった問題に発展しかねません。問題を解決できたとしても、会社の信用に対する悪影響は避けられないでしょう。
局所クリーン化を実践すれば、製品のクオリティ向上により、歩留まりの改善や原価率の低減といった効果が見込めるほか、企業の競争力を強化することも可能です。
局所クリーン化導入前に考えるべきこと
局所クリーン化技術を導入する場合は、以下の2点を意識する必要があります。
● クリーンルーム全体の省エネを意識する
● クリーンルームの置き場所を考える
◇クリーンルーム全体の省エネを意識する
さらなる省エネのために、クリーンルーム全体を見たうえで、不要なスペースがないかを確認しましょう。不要なスペースがあった場合には、維持管理のコストが増えるだけではなく、そこから汚染が生じる可能性もあります。
省エネ効果を高めるためには、高効率の空調機器を設置する、高断熱・高気密パネルを貼るといった対策が有効です。
◇クリーンルームの置き場所を考える
局所クリーン化の効果を高めるには、清浄度の高いゾーンと低いゾーンを切り離すように配置することが大切です。特に、組立作業、塗装作業、調合作業などを行なう現場は、ゴミや異物が発生しやすい梱包作業などの現場から分離する必要があります。
また、清浄度の低いゾーンから高いゾーンに向けて汚染された空気が流れないよう、空調管理に配慮することも大切です。清浄度の高いゾーンの気圧を高く、低いゾーンの気圧を低くすることが基本です。
作業現場の空気質向上にクリーンエア・スカンジナビアの空気清浄機
作業現場の局所クリーン化を実践するなら、空気清浄機の導入を検討するとよいでしょう。一口に空気清浄機といっても種類はさまざまですが、機能性や汎用性を重視するなら、クリーンエア・スカンジナビアの「QleanAir FS 70」がおすすめです。
QleanAir FS 70は製造業や物流業など、室内空気の品質管理が求められる業種向けに開発された空気清浄機です。以下のような特長があるため、局所クリーン化にも大いに役立ちます。
● 微細な粉塵までしっかり捕集
吸い込んだ空気を階層式フィルターにかけることで、有害な粉塵や汚染物質をキャッチします。通常は捕集が困難とされる0.1~0.2μmの微細な粒子も捕集するため、清浄度向上に効果的です。
● 特定のエリアを浄化できる
機体上部にある排気口に特別なコネクターを接続すれば、浄化されたクリーンな空気を特定のエリアに送り込むことができます。
● 設置場所は自由
本製品は、通常の電源があればどこでも設置可能です。周囲の換気装置とは独立して動作します。
QleanAir FS 70の詳細については、以下のページでご確認ください。
QleanAir FS 70
まとめ
局所クリーン化は必要な場所・スペースのみの清浄度を上げるため、従来のクリーン化より低コストで実践できます。経費削減はもちろん、製品のクオリティ向上や会社の経営改善といった効果も期待できるため、有益なアプローチだといえるでしょう。
省エネ効果やゾーンの配置などを考慮しつつ、局所クリーン化を実践してみてください。
QleanAir FS 70
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