喫煙専用室とは?設置基準や助成金受給の条件などを解説
2020年4月1日に改正健康増進法が全面施行されたことで、望まない受動喫煙を防ぐための取り組みがマナーからルールへと変わりました。それにともない、各施設で受動喫煙防止対策が求められています。
受動喫煙防止対策の一つが「喫煙専用室」の設置ですが、目的や設置基準がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、喫煙室が認められる技術的な基準や喫煙が可能な4つのタイプの特徴、施設種別や助成金受給の条件について解説します。また、分煙対策におすすめの製品も紹介するので、ぜひご一読ください。
喫煙室に必要な技術的基準
厚生労働省によると、喫煙室を屋内に設置する際には、以下のような「屋内喫煙室」の技術的基準を満たす必要があります。
【屋内喫煙室の技術的基準】
1. 出入口において、室外から室内へ流入する空気の気流が0.2m毎秒以上であること
2. たばこの煙(蒸気を含む)が室外へ漏れ出ないよう、壁・天井などによって区画されていること
3. たばこの煙が屋外または外部に排気されていること
出典:改正法のポイント|なくそう!望まない受動喫煙。
なお、屋外に喫煙ブースを設置する場合、以下のような「屋外喫煙所」の技術的基準に変わります。
【屋外喫煙所の技術的基準】
1. 喫煙する場所が区画されていること
2. 「屋外喫煙所」と認識できる標識が掲示されていること
3. 喫煙者以外の施設利用者が立ち入らない(受動喫煙が発生しない)場所に設置されていること
喫煙室を設置するにあたって、これらの技術的基準はしっかり押さえておきましょう。
喫煙可能な4タイプの空間
屋内喫煙室は目的や設置基準の違いにより、以下の4タイプに分類されます。
● 喫煙専用室
● 加熱式たばこ専用喫煙室
● 喫煙目的室
● 喫煙可能室
なお、これらの喫煙室はタイプを問わず、20歳未満の方は従業員であっても原則立入禁止です。4タイプの詳細についてそれぞれ解説します。
◇喫煙専用室
飲食店やホテル、オフィスといった一般的な事業者が施設の一部に設置できます。「たばこを吸うためのスペース」であり、たばこの種類を問わず喫煙可能ですが、飲食など喫煙以外のサービスを提供することはできません。
◇加熱式たばこ専用喫煙室
「加熱式たばこ(指定たばこ)を吸うためのスペース」です。経過措置として一般的な事業者が運営する施設の一部に設置できますが、紙巻たばこの喫煙は認められていないため、広告などで伝える際には「加熱式たばこ専用」ということを明確にする必要があります。
なお、加熱式たばこ専用喫煙室は喫煙専用室と違い、飲食など喫煙以外のサービスも提供できます。
◇喫煙目的室
喫煙者に喫煙場所を提供することをおもな目的とする「喫煙目的施設」では、喫煙目的室の設置ができます。喫煙目的室も基本的には喫煙専用室と同じ技術的基準を満たす必要があります。飲食などのサービスを提供できますが、喫煙以外のサービスが主目的となる場合、喫煙目的施設には該当しなくなるため注意が必要です。また、主食(米・パン・麺類など)を提供しているバー・スナックなどは対象外となります。
◇喫煙可能室
既存の小規模な飲食店「既存特定飲食提供施設」に設置できる喫煙室です。経過措置になりますが、以下の要件をすべて満たしていれば、施設の一部または全部に設置できます。
● 2020年4月1日時点で営業している飲食店である
● 中小企業基本法における定義などから資本金が5,000万円以下
● 客席面積が100㎡以下
出典:改正法のポイント|なくそう!望まない受動喫煙。
喫煙可能室でも、飲食などのサービスを提供することが認められています。
喫煙専用室を設置できるのは「第二種施設」
喫煙専用室について検討している場合、以下のような施設種別も把握しておく必要があります。
● 第一種施設
● 第二種施設
● 喫煙目的施設
喫煙専用室は「第二種施設」に設置できますが、他の施設種別との違いも踏まえて解説します。
◇第一種施設は敷地内禁煙
第一種施設とは、受動喫煙により健康を損なうおそれの高い、未成年者・患者・妊婦などが利用する施設です。おもに以下のような施設のことを指します。
● 学校
● 児童福祉施設
● 病院
● 少年院・少年鑑別所
これらの第一種施設は原則として「敷地内禁煙」ですが、例外として屋外にある特定の喫煙場所でのみ喫煙が認められる施設もあります。ただし、例外に当てはまる施設でも、条例によって屋外の喫煙場所を設置できないケースもあるため注意が必要です。
◇第二種施設は、喫煙専用室のみ喫煙可
第二種施設とは、第一種施設以外で不特定多数が利用する施設です。おもに以下のような施設のことを指します。
● 飲食店
● ホテル・旅館
● 百貨店
● 体育館
● 劇場
● オフィス
● 鉄道駅
これらの第二種施設は2020年4月から「原則屋内禁煙」です。ただし、一定の技術的基準や設置基準を満たしていれば、喫煙専用室ならびに加熱式たばこ専用喫煙室を設置できるようになります。施設管理者の責務として、喫煙器具・設備の撤去や喫煙者への喫煙中止要求(努力義務)などが求められることも覚えておきましょう。
◇喫煙目的施設
喫煙目的施設(特定事業目的施設)とは、喫煙場所の提供やたばこの対面販売といったサービスを主目的とする施設です。以下に挙げている3つの施設のことを指します。
● シガーバー(スナック)
● 店内で喫煙可能なたばこ販売店
● 公衆喫煙所
なお、屋内に喫煙室を設置する場合、喫煙目的室の要件を満たす必要があります。
◇経過措置について
令和2年4月1日に既に存在している建築物等で、喫煙室を設置する際、管理者の責めに帰することのできない事由(建物の構造上、ダクトを通すことが困難な場合など)により、先述しました屋内喫煙室の技術的基準③を満たすことが困難である場合は、経過措置が適用されます。経過措置の基準については、以下のとおりです。
建物の構造上の問題等で、屋外に排気できない場合は、屋内喫煙室の技術的基準①②に加え、以下に記載する要件を満たす機能を有した脱煙機能付き喫煙ブースを設置し、たばこの煙を十分に浄化 して喫煙室外に排気してください。
・総揮発性有機化合物の除去率が95%以上であること
・当該装置により浄化され、喫煙室外に排気される空気における浮遊粉じんの量が0.015mg/立方メートル以下であること
クリーンエア・スカンジナビアの分煙機(キャビンソリューション)
喫煙専用室設置には助成金がある
喫煙専用室を設置するにあたって、以下の助成金を利用できる可能性があります。
◇受動喫煙防止対策助成金制度
受動喫煙防止対策助成金制度とは、中小企業事業主が実施する受動喫煙を防ぐための施設設備の整備に対し、費用の一部を助成する制度です。国(厚生労働省)の施策で、事業場の受動喫煙防止対策を推進することを目的としています。
助成対象は、労災保険適用かつ第二種施設に区分される中小企業事業主です。喫煙室の設置工事にかかった工事費や設備費、機械装置費などが助成されます。
助成率は3分の2、上限金額は100万円ですが、助成対象となるのは飲食店となります。
◇生衛業受動喫煙防止対策事業助成金
生衛業受動喫煙防止対策事業助成金とは、生活衛生関係営業(生衛業)を営む個人事業主の受動喫煙防止対策に関する取り組みを支援するものです。過去に厚生労働省の管轄にあった公益財団法人「全国生活衛生営業指導センター」が実施しています。
助成内容については先述の受動喫煙防止対策助成金とおおむね同じですが、助成対象が労災保険が適用されない生衛業の個人事業主である点が大きな違いです。
喫煙室の設置・改修にかかる工事費・設備費・備品費・機械装置費などの一部が助成され、助成率は3分の2、上限金額は100万円です。
喫煙専用室の設置なら 技術的法的要件を満たすクリーンエア・スカンジナビア
喫煙専用室を設置したくても、状況によっては空き部屋を用意するのが難しいケースもあるでしょう。また、喫煙専用室の要件を満たすための工事には初期費用がかかるほか、快適な環境を維持するための金銭的・人的コストも決して小さくありません。また、法的要件を満たしている旨を記載した、レポート作成も必要となります。
クリーンエア・スカンジナビアの「分煙キャビン」は、屋内で100V電源に接続できれば設置スペースは自由自在です。大規模な設備工事も不要で、費用や手間がかかりません。
導入後は、専門スタッフによる定期メンテナンスサービスも提供しているため、常に快適な空気環境を保つことができます。
分煙キャビンは厚生労働省が定める「脱煙機能付き喫煙ブース」の技術的基準を満たしているうえ、カウンセリングにより法的要件をクリアしているか専用機器で計測、データ化し、レポート作成についても代行しています。
分煙キャビンの詳細については、以下のページでご確認ください。
分煙機(キャビンソリューション)
まとめ
改正健康増進法が全面施行されたことにより、多くの施設で屋内全面禁煙のルールが適用されました。しかし、一定の要件を満たせば、喫煙専用室などを設置できるため、必要に応じて検討したいところです。
また、設置工事の費用を助成金で賄える可能性もあるので、忘れずにチェックしましょう。
設置場所や工事費用に関して不安がある場合には、ぜひクリーンエア・スカンジナビアの「分煙キャビン」をご検討ください。
分煙機(キャビンソリューション)
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