大阪府受動喫煙防止条例は2025年4月 から!飲食店事業者がすべきことは
改正健康増進法(健康増進法の一部を改正する法律)の施行にともない、さまざまな施設で受動喫煙防止対策が求められるようになりました。大阪府の場合、2025年4月から「大阪府受動喫煙防止条例」もスタートしますが、これは飲食店が対象です。
大阪府の飲食店事業者であれば、条例の施行にあたって何をすべきか把握しておきたいところです。
そこで今回は、大阪府受動喫煙防止条例の背景を踏まえつつ、条例の内容や活用できる補助金制度の概要、大阪市内全域路上喫煙禁止のルールについて解説します。また、受動喫煙防止対策に役立つ機器も紹介するので、ぜひお読みください。
大阪府受動喫煙防止条例が施行される経緯
2025年4月から大阪府内で営業する飲食店などを対象に、ほかの都道府県より厳しい喫煙ルールを定めた「大阪府受動喫煙防止条例」が施行されます。
この条例は2025年に開催される大阪・関西万博を見据えて、いち早く先駆的な受動喫煙防止対策を講じるために制定されたものです。府民の健康を守るため、政令指定都市・中核都市も含む府内全域において「望まない受動喫煙」を生じさせないよう、環境整備や気運醸成に取り組みます。
大阪府受動喫煙防止条例の内容は?
大阪府受動喫煙防止条例がスタートすると、飲食店事業者によっては事業展開や売上に大きな影響が生じる可能性もあります。そのため、現状の喫煙ルールを踏まえつつ、新たな条例の内容や従来との違いも押さえておきましょう。
◇現状、飲食店の喫煙ルールはどうなっている?
大阪府の飲食店に対して現状適用されている喫煙ルールは、2020年4月1日施行の改正健康増進法に基づいて定められています。飲食店はホテル・事務所・工場・鉄道などと同じ「第二種施設」に該当し、原則屋内禁煙です。
ただし、一定の条件を満たす飲食店(既存特定飲食提供施設)の場合、経過措置によって喫煙・禁煙の可否を選べる、あるいは施設の一部・全部に「喫煙専門室」を設置できます。経過措置の適用条件は、以下のとおりです。
1. 2020年4月1日以前から継続的に営業している
2. 個人経営もしくは資本金が5,000万円以下
3. 客席面積が100平方メートル以下
なお、大阪府における受動喫煙防止対策は段階的に進んでおり、2020年4月に上記ルール、2022年4月に「従業員を雇⽤する飲⾷店は、客席⾯積にかかわらず原則屋内禁煙に努める」という努力義務が施行されています。
◇大阪府受動喫煙防止条例でなにが変わる?
大阪府受動喫煙防止条例が施行されると、先述の改正健康増進法で定められている経過措置の条件がより厳しくなります。2025年4月以降に適用される条件は、以下のとおりです。
1. 2020年4月1日以前から継続的に営業している
2. 個人経営もしくは資本金が5,000万円以下
3. 客席面積が30平方メートル以上
1と2の条件は従来と同じですが、3の条件にある「100平方メートル以下」の部分は「30平方メートル以上」と大幅に変わっています。つまり、現状で客席面積が30平方メートルを超える場合、その飲食店は2025年4月から原則屋内禁煙です。
大阪府受動喫煙防止条例の違反者には、罰則として5万円以下の過料が設定されています。
補助金の活用も検討を
大阪府受動喫煙防止条例に沿って店内を禁煙化する場合、補助金制度を活用できる可能性もあります。さまざまな条件を満たす必要はあるものの、数百万円単位の補助金がもらえるため、事前に検討したいところです。
補助金制度の詳細についても解説するので、きちんと押さえておきましょう。
◇対象者
大阪府受動喫煙防止対策補助金の対象者は、以下の条件がすべて当てはまる事業者です。
1. 大阪府内で2020年4月1日以前から継続的に営業している飲食店である
2. 個人経営もしくは中小企業経営(資本金等5,000万円以下)である
3. 補助対象の飲食店における客席面積が100平方メートル以下である
(従業員を雇用しない客席面積が30平方メートル以下の飲食店は除外)
なお、補助対象となる事業は「喫煙専用室等設置事業」「全面禁煙化事業」の2種類です。前者は国の助成金制度を利用している事業者に対し、大阪府が補助金を上乗せで交付します。一方、後者は大阪府が独自に扱っている補助金制度です。
国の助成金制度の対象となる場合、先にそちらで交付決定を受けてから、大阪府の補助金制度を申請しなければなりません。この2種類は重複しても問題ないので、両方に採択された事業者は多くの助成金・補助金を受け取ることができます。
◇補助要件
補助要件は事業の内容によって異なります。
(1)喫煙専用室等設置事業
「喫煙専用室および指定たばこ専用喫煙室の設置・改修」の場合、以下3つの要件を満たす必要があります。
1. 入口の風速が0.2m/秒以上である
2. たばこの煙が室外へと流出しないよう、壁や天井などによって区画されている
3. たばこの煙が屋外に排煙されている
なお、事業者の責に帰すべき事由がなく3の要件を満たせない場合、上記1・2とともに以下2つの要件をクリアしなければなりません。
4. 総揮発性有機化合物の除去率が95%以上である
5. 室外へ排気する空気に含まれる浮遊粉じんの量が0.015mg以下である
「屋外喫煙所(閉鎖系)の設置・改修」の場合、以下2つの要件が規定されています。
1. 喫煙所直近の建物の出入口などで浮遊粉じん濃度が増加しない
2. もっぱら喫煙の目的で使用するための構造や設備を備えている
このように屋内・屋外で要件は変わるため、あらかじめ注意しましょう。
(2)全面禁煙化事業
「全面禁煙化による改修等」が補助対象となります。
◇補助率・補助限度額
補助金の金額は、一定の補助率に基づいて決まります。また、補助限度額も定められているため、事前に把握しておきましょう。
なお、補助金の金額を算出する際、1,000円未満の残りは切り捨てとなります。
(1)喫煙専用室等設置事業
先述した喫煙専用室・指定たばこ専用喫煙室・屋外喫煙所にまつわる工事費や設備費、機械装置費といった経費が補助対象となります。
補助率:経費の3/4から国の助成金を差し引いた金額
補助基準額:300万円
補助額:125万円
(2)全面禁煙化事業
全面禁煙化にまつわる工事費のほか、クリーニング費や備品費といった経費も補助対象です。クリーニング費はたばこの汚れや臭いに対処する場合、備品費は客席で使うものの場合に限ります。
補助率:経費の3/4
補助基準額:100万円
補助額:75万円
◇申請方法と提出先
詳しい募集要項は大阪府のホームページに記載されており、申請様式のダウンロードもできます。提出先は「大阪府受動喫煙防止対策補助金相談窓口」です。
参考:大阪府受動喫煙防止対策補助制度|大阪府
さらに2025年1月からは大阪市内全域路上喫煙禁止
大阪万博の開催に向けて、2025年1月から大阪市内全域にて路上喫煙禁止のルールも施行されます。それにともなう分煙対策として140ヵ所の喫煙所整備が講じられていますが、喫煙者からは「喫煙所の数が不十分では?」という声も上がっている状況です。
飲食店事業者には従業員が路上喫煙しないよう、さらなる指導が求められます。また、助成金や補助金を使って喫煙所の設置することも要検討です。
大阪市としては、民間事業者への助成拡大が必要となっています。
飲食店の受動喫煙防止対策にクリーンエア・スカンジナビア
飲食店の受動喫煙防止対策を講じる場合、クリーンエア・スカンジナビアの分煙機「SFシリーズ」がおすすめです。
SFシリーズは100V電源がある場所なら、屋内のどこにでも設置できます。設置にあたって新しい部屋も大規模工事も不要なので、店内の限られたスペースを有効活用できるでしょう。
また、厚生労働省が特定する「脱煙機能付き喫煙ブース」の技術上の基準に対応しています。分煙性能も優れており、有害なたばこ粒子をほぼ100%捕集できるため、たばこの嫌な煙と臭いをしっかり除去することが可能です。収容人数やサイズのバリエーションも豊富であり、自分の店舗に合わせて選択できます。
詳しくはこちら
まとめ
昨今、日本各地で望まない受動喫煙を回避する取り組みが進められています。大阪府受動喫煙防止条例もその一つですが、施行後は現状たばこを喫煙できる飲食店も原則屋内禁煙になる可能性があるため、早めに対策を講じることが大切です。
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