働き方改革を進め、社員が安心して働ける環境を。株式会社フォーバルにインタビュー
クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。
持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。この記事では、同様にSDGsの取り組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。
東京都渋谷区に本社を構える株式会社フォーバルは、「次世代経営コンサルタント」として企業経営を支援する集団であり、中小・小規模企業の利益に貢献することを目指した「次世代経営コンサルティング」を展開し、中小・小規模企業のGX化やDX化を推進している企業です。
企業支援の実績を活かし、社内でも革新的な制度を積極的に導入するなど、働き方改革に取り組んでいる同社。環境問題だけでなく、人にも目を向け、社員が安心して働ける環境づくりに邁進しています。今回は株式会社フォーバルの小泉正一さんにお話を伺いました。
中小・小規模企業のGX化やDX化を支援する、株式会社フォーバル
―本日はよろしくお願いします。まずは御社の沿革や事業内容を教えてください。
小泉さん(以下、小泉):弊社は1980年に創業し、情報通信コンサルティング、経営コンサルティング事業を展開しています。現在は、「情報通信」「海外」「環境」「人材・教育」「起業・事業承継」の5分野に特化した次世代経営コンサルティングを推進し、中小・小規模企業のGX化やDX化を支援しています。
社員が働きやすい環境をつくるため、コロナ前からテレワークを推進
―御社がSDGsに着目したきっかけを教えてください。
小泉:SDGsに着目して何か新たな取り組みをはじめたというよりは、経営理念に基づいて進めていた取り組みが結果としてSDGsに合致していたのだと思います。
社員が安心して力を発揮できる環境づくりは、弊社の経営理念のなかでも謳っており、3年ほど前から働き方改革を推進してきました。コロナ禍に関係なく2年ほど前からオフィスも縮小し、テレワークを推奨してきました。
また、自社のDX化にも積極的に取り組んでおり、全社的にデジタルデバイスを配布してペーパーレス化も行っています。
コロナ禍により、働き方の変革が求められた際は多くの企業が戸惑っていたと思います。しかし、当社は働き方改革の素地が整っていたため特に、業務に支障が出ることはありませんでした。現在は、ひと月の事務作業の約70%をテレワークで完結しています。全社的に在宅勤務の割合が大幅に増え、通勤の必要もなく楽になった部分もあり、社員も喜んでいるのではないでしょうか。
ライフイベントを迎えても、女性が長く働ける会社へ
―働き方改革は以前から進められていたとのことですが、テレワークの推奨のほかにも取り組まれていることはありますか。
小泉:フリーワークという制度を作りました。一般的なフレックス制度とは異なり、コアタイムがなく、5時から22時の間で一日8時間働けばいいという制度です。中抜けも認めていて、例えば、朝に少し働いてお昼から映画を見に行き、仕事に戻ることもできます。合算で8時間働けばいいことになっています。
毎日決まった時間に電車に乗って会社に通い、決まった時間に帰るという従来の働き方と比べると、フリーワークでは自分の自由な時間が多くなるため、心の余裕を持って働けるのではないかと思います。
―子育てや介護をされている方も、働きやすそうですね。
小泉:以前から時短制度を導入して、子育てや介護をされている方も働きやすい環境づくりに取り組んできました。ただ、フリーワークを導入して時間に融通が利きやすくなったこともあり、現在は時短勤務を選択する人が少なくなっています。
SDGsでも女性の活躍推進が掲げられていますが、弊社でも各地域の事業所単位で独自に考えた「女性の活躍推進」に取り組んでおり、地域のさまざまな認証を取得している事業所が増えています。管理部門からの積極的な声かけにより、女性の管理職や男性社員の育休取得も増えてきています。
特に20年ほど前は、妊娠や出産が女性の退職の契機になっていたのも事実です。弊社も以前は旧来の営業会社風土があり、男性だけの会社だった時期もありましたが、今では女性も働きやすい環境を整えています。
特に、鹿児島、佐賀、北九州にあるコールセンターは地元の若い人材を採用しており、比較的女性社員も多くなっています。テレワークでできる仕事をつくることで、出産を理由に退職する必要がなくなりました。出産による休職からの復帰率は、100%に近い数字になってきています。女性にとって働きやすい会社になってきたと自負しています。
―会社として体制を大きく変えることに、混乱や反発はなかったのでしょうか。
小泉:それはないですね。人口の半分は女性ですし、女性の人材を活用しないと会社は大きくなりません。特にコールセンターは比較的女性の比率が高い部門なので、女性を大量に採用して活躍してもらえる組織をつくりました。女性が働きやすい環境をつくることは、自然の流れだったと思います。
併せて、働き方改革により在宅勤務ができるようになったため、仕事への早期復帰も実現できるようになりました。以前は、子どもを保育園に預けることができず、やむなく休職期間が切れて会社を辞めざるを得ない方もいらっしゃいました。ですから、昨年開設した北九州のコールセンターには、託児施設を併設しています。
先駆けとなりSDGsに取り組み、経験を活かして中小・小規模企業に貢献したい
―企業がSDGsを推進するメリットを教えてください。
小泉:弊社の場合、自社の改革を通して中小・小規模企業に貢献したいというのが根幹にあります。今は大企業に対して求められている女性管理職の増加や給与水準の均一化などは、おそらく数年後には中小・小規模企業にも求められる時期が来ると思います。SDGsに限らず新しい試みを先駆けて実施することで実践型のアドバイスも行えるようになり、中小・小規模企業の支援につながることがSDGsに取り組むメリットだと考えています。
―SDGsの推進を通して社内の変化や反響はありましたか?
小泉:若手社員の意識の芽生えは感じています。カンボジアにCIESFという団体をつくり、幼稚園や小学校への支援活動を完全ボランティアで行っているのですが、このような活動をしませんかと声をかけると、手を挙げる方の多くが若手社員です。ほかにも、若い社員達が中心になって取り組みを進めていて、月に一度ほど情報共有も行っています。
若い社員が積極的に取り組みを進めてくれるのは非常に良いことですし、この文化が途切れることなく続いていくことを望んでいます。上から働きかけるのではなく「こういった活動があるよ」と紹介するに止めて、社員同士で取り組みを進めてもらえることが理想ですね。
環境だけでなく、人的資本の課題にも向き合う必要がある
―今後SDGsの取り組みで注力したいことや新たに始めたいことについて、計画や目標があれば教えてください。
小泉:環境の次は人的資本に焦点を当てて、経営をしなければいけないと考えています。女性の活躍推進も進めていますが、こういった取り組みを経営施策の中心に据えて、強化していく必要があります。
そして、その次に大切に考えているのは生物多様性の確保です。海や木、動物などが気候変動の影響を受けており、これらを保護する活動が必要だと考えています。人的資本や生物多様性の確保に向けて、どのように取り組むべきか調査を進めているところです。
会社としてできることは提案しますが、社員が自発的に取り組みを進めてくれることを期待しています。
―SDGsに関心のある読者へのメッセージをお願いします。
小泉:環境は非常に注目されている分野であり、グループ全体としても推進していますが、次は人にも目を向けることが重要だと考えています。多くの企業が口にしていることではありますが、どれだけ人を資本として捉えて有効に活用していくかが大事です。
現在プライム企業に対して要請がきている人的資本の問題は、おそらく10年程すれば中小企業にも要請がくるはずです。しかし、我々のお客様である中小・小規模企業様を見ていると、労働時間や残業、有給の問題に対応できている企業は多くありません。
日本政府が要請している賃金の引き上げなどにも取り組んでいかないと、おそらく会社は回らなくなると思います。ですから、中小・小規模企業には早く人にも目を向けていただき、働きやすい会社づくりを進めていただけたらと思います。取り組みを進めることで、SDGsにもつながると思います。
―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
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