リユースできるLED照明でGXに取り組む、株式会社アップルツリーにインタビュー

リユースできるLED照明でGXに取り組む、株式会社アップルツリーにインタビュー

クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。

持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。この記事では、同様にSDGsの取り組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。

東京都大田区に本社を構える株式会社アップルツリーは、地球環境を守るために脱炭素社会の実現を目指す会社です。カーボンフリーでリユース可能なLED照明の展開やGX推進事業を通して、環境問題の解決へ積極的に取り組んでいます。

今回は株式会社アップルツリー代表取締役 南谷幸男さんに環境事業についてお話を伺いました。

脱炭素社会の実現を目指す、株式会社アップルツリー



―本日はよろしくお願いします。まずは御社の沿革や事業内容を教えてください。

南谷さん(以下、南谷):当社は、「地球環境を守る為、環境支援活動において『新しいあたりまえ』を創出し全てのステークホルダーと共に、脱炭素社会の実現を目指す」を企業理念に掲げている会社です。従業員は約100名で、3つの事業をメインに展開しています。

1つ目がライティング事業です。福島県喜多方市に工場を設けて、メイドインジャパンの良質なLED照明を製造販売しています。2つ目が、スマートグリッドの商材販売事業です。全国に1,000以上の販売パートナーを持ち、スマートグリッド関連商品の販売支援を行っています。3つ目は、親会社である株式会社フォーバルと連携しながら、GX(グリーントランスフォーメーション)事業を展開しています。今後、大企業だけでなく中小企業も環境対策に取り組んでいく必要があるなかで、中小企業が何をすべきかを模索しながらツールの開発や環境コンサルティング事業を進めています。


―環境分野に特化した事業を立ち上げた理由をお聞かせください。

南谷:当社は太陽光パネルやエコキュートの卸売から事業をスタートし、家庭向けのエコキュート販売を中心に行なっていました。そこから、2011年に発生した東日本大震災を機に、再生可能エネルギーを普及させるためにFIT(フィット)法が制定され、太陽光パネルの普及が加速したこともあり、太陽光パネルを含むスマートグリッド商材の販売に力を入れるようになりました。


―GX事業とは、どのような事業なのか概要を教えてください。

南谷:GXとは、カーボンニュートラルの実現を目指し、CO2排出源である化石燃料や電力の使用を再生可能エネルギーや脱炭素ガスに転換する取り組みのことを指します。

TCFDやCDPなどさまざまな規格がある中で、大企業は自社のCO2排出量の可視化とサプライチェーンのCO2削減の取り組みを可視化しなければいけない状況にあります。大企業から見たサプライチェーンとは中小企業です。

現在、大企業から中小企業に対して、「CO2をどれだけ排出しているか」「CO2削減のためにどんな取り組みをしているか」について情報開示を求められているケースも増えてきておりますが、多くの中小企業はCO2の可視化ができていません。

そこで、ツールを活用してCO2の排出量を可視化し、その後にどのように削減を進めるか、環境コンサルティングとして支援させていただいています。まずはフォーバルのユーザーからスタートしており、今後さらに展開していく予定です。

カーボンフリーで84%の部品がリユース可能なLED「RE Shine(リシャイン)」を展開



―LED照明「RE Shine」を展開されていますが、どのような製品なのですか?

南谷: 当社のLED製品「REShine」には2つの特徴があります。1つ目は、製造過程においての実質的にCO2排出ゼロを実現している点です。福島県喜多方市に工場があるのですが、2023年6月より再エネ電気の調達が可能になりました。電気に関しては100%再エネ電気を使って稼働しています。また、再エネ電気で置き換えられない部分に関しては、J-クレジット制度を活用してカーボンオフセットをしています。

そして、2つ目に「REShine」はリユースできるLED照明ということも大きな特徴です。10年ほど使用した後に、当社でLED照明を回収して清掃や検品作業を行い、電源だけ交換させていただければ、製品の84%の部品をそのまま活用できます。リユース、リデュース、リサイクルに関しては今後さらに関心が高まっていくと思いますので、先駆けてLEDのリユース販売をスタートしました。


―「REShine」の製造過程でJ-クレジット制度を活用されているとのことですが、どのような制度なのでしょうか?

南谷:省エネ由来や再エネ由来などいろいろあるのですが、設備の導入などにより省エネできた分がクレジットして国に認証されます。このクレジットを企業が購入して、自社事業のカーボンオフセットや温対法や省エネ法の報告に活用できる制度です。

例えば、企業や地方自治体が太陽光発電の設備を導入、CO2削減に貢献した分のクレジットを、別の企業が買い取り、自社が実際に発電したものと同等にみなすというような制度です。


―LEDのリユースも進められているとのことでしたが、LEDはそもそも長く使えるようなイメージがあります。リユースすることでさらに長期間使用できるようになったということですか?

南谷:LEDチップは、6万時間使えると言われています。しかし、電源が消耗することによって、全て廃棄して新しい製品を導入するのが一般的です。当社もメーカーですので、新しい製品を導入した方が利益は出るのですが、地球環境に配慮してリユース製品の展開を推進しています。


―LEDのリユース製品は、法人向けに展開されているのですか?

南谷:当社は元々法人やオフィス、工場向けにLEDを製造しているため、法人に特化して販売しています。また、大手企業はLED照明の周りの器具もまるまる交換することを推奨していますが、当社では器具は問題がなければそのまま使用できるものだと考えており、ランプのみの交換を推奨しています。

そうすることで、余計な廃棄物を出さずに済み、環境対策にもつながります。

除菌や消臭機能を兼ね備えたLEDも展開



―他にも展開されているLED製品があれば教えてください。

南谷:KIREILU(キレイル)という、除菌機能を備えたLED照明を展開しています。コロナの影響で除菌関連の商材は世の中に溢れていますが、除菌ができるLEDはなかなかないと思います。器具の形状にもよりますが、すでにLED照明になっていれば付け替えるだけで使用できることが多く、4m四方で効力を発揮します。現在は大学やフィットネスジムなど、人が集まる場所に導入されています。

また、最近は除菌に加え脱臭にも効果があることが分かってきており実験をしております。アンモニアやタバコの臭い成分であるピリジンにも効果があり、大手ホテル様とも話し合いを進めてさまざまな実証実験も行っています。今後は、ホテルや介護施設などに導入していきたいと考えています。

環境対策に取り組む中小企業をサポート

―今後注力したいことや新たに始めたいことについて、計画や目標があれば教えてください。

南谷:中小企業のGX推進支援においては、まず自社のCO2排出量を把握していただき、削減に取り組んでいくなかでLEDや太陽光パネルの活用につなげていければと考えています。

以前は太陽光設備を設置して生み出した電気を販売する企業も多くありましたが、現在は自分たちで発電した電気を消費して電気代を削減する動きが増えてきています。環境事業への関心も高まり、当社へのお問い合わせも多くなってきました。

環境事業は、大手からすると顧客に対してのPRにもなりますので、今後も積極的に働きかけを行っていきたいと思います。

また、環境事業に関心を持っていただいた企業様には「環境対策に取り組んでいることをツールで可視化し、必要に応じて開示を行うことで、顧客から選ばれる企業になれるように」とお話をさせていただいています。若い世代の方々はSDGsに対する関心が非常に高く、企業を選ぶうえでSDGsや環境への貢献を最も重視していることがアンケートからもわかっているので、人材採用にもつながります。

少子高齢化の中で良い人材を確保するためにも選ばれる会社となるよう、環境対策への取り組みを当社から働きかけていきたいです。


―SDGsや脱炭素に関心のある読者へのメッセージをお願いします。

南谷:当社の商品はSDGs目標に合致する点が多くありますが、メーカーとして12番の「つくる責任つかう責任」という目標に対しては特にしっかり取り組んでいきたいです。リユースなどの取り組みも先駆けて行い、市場に新たな価値をもたらすことを目指しています。


―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。