製造業こそSDGsの推進は必要。グリーンアルミを製造する加藤軽金属工業株式会社にインタビュー

製造業こそSDGsの推進は必要。グリーンアルミを製造する加藤軽金属工業株式会社にインタビュー

クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。

持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。

この記事では、同様にSDGsの取り組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。

加藤軽金属工業株式会社は、愛知県に本社を置くアルミの製造会社です。丸バイプなどの汎用形状だけでなく、精密な形状を実現することができます。

アルミの製造に多くの電気を必要とするため、SDGsを推進することは社会的責任として必要だと考え、できることはすべて取り組むと話されていた同社では、グリーンアルミの製造をはじめとした、さまざまな取り組みをおこなっています。

今回は加藤軽金属工業株式会社の代表取締役社長、加藤大輝さんにお話を伺いました。

グリーンアルミは多くの二酸化炭素を削減できる



―本日はよろしくお願いします。まずは御社の沿革や主な事業内容を教えてください。

弊社は1961年に創業し、愛知県に本社を置く会社です。元々はアルミ線の商社として始まりましたが、アルミの押し出し機を譲り受けたことをきっかけに、アルミ押出製品の製造を主力事業とするメーカーとなりました。

それから現在までの約60年、製造会社として事業をおこなっています。


―ありがとうございます。グリーンアルミの製造について詳しく教えていただけますか?

前職での経験から、「アルミ業界のカーボンニュートラルやSDGsの推進に対してまだまだやれることがある」という認識があったので、まずは弊社から取り組み始めようと考え、2020年ごろから始めた取り組みがグリーンアルミの製造です。

グリーンアルミとは、二酸化炭素の排出量が抑えられているアルミのことを指しています。実は、具体的な定義は決まっておらず、「二酸化炭素の排出量が、アルミ1tあたり4t以下」という一般的に言われている基準しかありません。

グリーンアルミではない一般的なアルミの製造過程では、二酸化炭素が15tほど排出されてしまいますが、グリーンアルミの製造では5tほどの二酸化炭素しか必要としないので、10tほど削減できるのが特徴です。


―グリーンアルミはどのように製造されているのでしょうか?

アルミの製造には多くの電力を必要とします。そのため、使用する電力を太陽光発電や風力発電といった自然由来のものに置き換えることで、二酸化炭素の削減を実現し、グリーンアルミは製造されています。

品質に違いはなく、通常のアルミと同様の品質を実現しているため、安心して使用いただけますが、需給バランスの都合によって現在の価格は高くなってしまいますね。

問い合わせの数も増えており、グリーンアルミに関心のある企業様は増えている印象です。


―反響があったのですね。

そうですね。アルミのサスティナブルな取り組みに関心を持っている方がたくさんいらっしゃるようで、弊社のホームページに「グリーンアルミの製造ができる」と掲載したところ、問い合わせの件数が10倍になりました。

次第に、検索ワードとして「グリーンアルミ」「低炭素 アルミ」「SDGs アルミ」と入力すると弊社が2.3番目に出てくるようにもなりました。

たくさんの方にホームページを見ていただいた影響から、現在では「愛知県 アルミ」と検索しても上位に出てくるなど、複合的な効果もあったので、弊社としてもうれしく思っています。

製造業の社会的責任として、できることはすべて取り組む



―グリーンアルミのほかにも、SDGsの推進として取り組まれていることはありますか?

弊社では、グリーンアルミのほかにも複数の取り組みをしています。今回は、そのなかから3つの取り組みを紹介します。

まず1つ目は、共同運行便の取り組みです。アルミの配送を1社だけでおこなうと、時には低い積載率で運ぶことがあります。積載率が低い際に他社の荷物を積んで運ぶことで、積載率を上げることができ、お互いに無駄な出荷を減らすことができます。

長期的に考えると大きな効果を見込める取り組みのため、今後も継続して取り組んでいく予定です。

2つ目の取り組みとして、レドックスフローバッテリーという大容量の蓄電池を開発しているベンチャー企業の支援をおこなっています。太陽光発電は日本にも普及してきましたが、昼間しか発電できないという難点もあります。

そういった自然現象に左右されてしまうエネルギーを、持続可能なものとして活用するために、大容量の蓄電池は必要不可欠です。

この開発を支援することで、再生可能エネルギーの割合を増やすだけでなく、昼に安く夜に高い電気料金のバランスを整えていくこともできればと考えています。

3つ目の取り組みは、作りすぎないものづくりです。初歩的な取り組みではありますが、計画的に製造することで、必要な量だけ製造するということも意識しています。

弊社は製造業のため、製造過程で多くの電気を使います。製造会社の社会的な責任として、SDGsを推進する取り組みはすべてやるというスタンスで、こういった取り組みもおこなっています。

リサイクル可能な結合の開発に取り組む



―SDGsに関する取り組みにおける今後の展望を教えください。

現在は、新しくリサイクルが可能な結合方法の開発に取り組んでいます。

金属を接着剤でとめてしまうと結合部分が分解できず、産業廃棄物になってしまうので、リサイクルが可能になる接合方法を開発し、部品がリサイクルできるようにしていきたいですね。

それが可能になると、アルミはアルミ、樹脂は樹脂としてリサイクルができるようになるので、資源として再利用することが実現できます。


―完成の目処は立っていますか?

技術的には90%ほど完成しています。お客さまによって使っている樹脂の種類が変わるので、それぞれに適したものを開発して使っていくことが必要になるため、もう少し時間がかかりそうですね。


―SDGsに関心のある読者の方に向けて、メッセージをお願いします。

社内の取り組みから始めることも一つの手段ですが、1社だけで取り組めることは限られているので、自社だけで考えず、社外のステークホルダーと連携してSDGsの取り組みを進める方法は、知識を共有し、広く取り組むことができるので個人的におすすめです。

それぞれの会社に合った方法を探して、できることから取り組みを進めていきましょう。


―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。