電子部品と自然エネルギーでSDGsに貢献。株式会社マックスにインタビュー

電子部品と自然エネルギーでSDGsに貢献。株式会社マックスにインタビュー

クリーンエア・スカンジナビアは、SDGsに関する取り組みとして、サステイナブル・カンパニーを目指しています。

持続可能な発展への貢献。環境負荷削減のための責任ある行動。そして自社のバリューチェーンにおいて人々へのポジティブな効果を高めていくこと。私たちクリーンエアでは、こうした活動に取り組んで参ります。

この記事では、同様にSDGsの取り組みを行っている企業をインタビュー形式で紹介します。

株式会社マックスは、2012年に設立された半導体などの電子部品を扱う商社です。電子部品事業と自然エネルギー事業のそれぞれにおいて、同社はSDGsへ貢献する取り組みを実施しています。

今回は株式会社マックス代表取締役の丹野 誠さんにお話を伺いました。

半導体商社として始まった株式会社マックス




―本日はよろしくお願いします。まず、御社の事業内容を教えてください。

当社は半導体・受動部品・コネクタ等、130メーカー以上の電子部品全般を取り扱う商社です。主に産業機器メーカー向けの卸業となります。

私は大学卒業後、当時はあまり聞き慣れなかった電子部品である半導体の商社に入社しました。12年前の2012年に独立し、立ち上げたのが当社です。

コネクタや受動部品など、電子部品全般を扱う商社として活動してきて、2020年から自然エネルギー事業も始めました。

この自然エネルギー事業では、自然環境に優しい製品の販売や活動を行っています。製品の例は「自家消費型太陽光発電システム MacSun®」、「エネルギーマネジメントシステム Nacoa-EMS®」などです。

活動としては、自然エネルギーによる新電力への切り替えに関するアドバイスや情報のご提供を無償で行っており、「再エネ100宣言RE Action」に加盟して再エネ100%利用を促進する活動も行っています。

有害物質や紛争鉱物に関する調査にも対応

―御社では、電子部品事業と自然エネルギー事業のそれぞれでSDGs貢献を目指した取り組みをされています。まず、電子部品事業での取り組みを教えてください。

まず、「RoHS指令制限物質」に関する調査依頼や「chemSHERPA(化学物質含有調査)」に対応しています。

「RoHS」は「ローズ」と読み、電気・電子機器における特定有害物質の使用制限を指す言葉です。鉛やカドミウム、水銀など、使用が制限または禁止されている物質があり、ヨーロッパが中心となって厳しく取り締まっています。

お客様から当社には、部品を作る過程において環境や人体に有害な物質が使われていないかという問い合わせがきますので、素材まで詳しく調査して開示しています。

「chemSHERPA」は「ケムシェルパ」と読み、一般社団法人産業環境管理協会内の組織が運営する含有化学物質の情報伝達スキームを使用して調査をするものです。

これらの調査で除外対象となる物質は、例えば家電製品に使われると、廃棄される際に土壌や水源に影響を与える可能性がありますので、重要な調査です。


―紛争鉱物に関する調査もされているそうですね。

アフリカのコンゴ共和国などにある鉱山では、半導体をはじめ電子部品に使われる希少な鉱物が採掘されています。

しかし、それらは紛争地帯で採掘されていることから「紛争鉱物」と呼ばれており、紛争鉱物によって得た資金が武装勢力の手に渡ると、紛争の長期化につながる恐れがあります。

また、紛争地帯の子どもたちが劣悪な環境で採掘労働を強いられるなど、人権侵害や地域の経済的発展が進まないといった問題もあるため、各国が紛争鉱物の禁止に向けて取り組んでいる状況です。

当社でも、扱う電子部品に紛争鉱物が含まれていないか、調査依頼に対応しています。

余った部品の買い取り・再販が企業のピンチを救うことも

―余剰在庫の買い取り・再販も行っているそうですが、どのような例がありますか?

頻繁に生じるものではありませんが、例えば数年前にメディアで半導体不足のニュースがよく報じられたと思います。

通常ならメーカーに発注した半導体が1~2か月で入荷するはずが、半年~1年もかかるような状況が続きました。

しかし、メーカーで過去に使われた部品の余りを買い取って在庫として持っておくと、こうした状況に対応して、部品を必要とする会社に販売できます。

例えば、エアコンを1万台作る場合、必要な部品をきっちり1万台分だけ用意するということはないでしょう。予備として、1,000台分の部品を余分に買っておくといったことはよくあります。

しかし、翌年にはモデルチェンジされるため、もう同じ部品を使えなくなってしまいます。そうした場合、買い取ってほしいという需要にもお応えできるのです。

自家発電にわくわくする。「再エネ」が世に広まる前から着手




―御社では、太陽光発電による電力を使用されているそうですね。

はい。「再エネ100宣言RE Action」には発足時の2019年から加盟しているのですが、この団体を通じて再生可能エネルギーについて学び、2020年1月には自社使用電力の100%再生可能エネルギーへの転換が完了しました。

オフィスはマンション内にあるため、ベランダに太陽光パネルを置くといった方法では必要な電力を賄えません。

しかし、再生可能エネルギーによって発電をしている電力会社さんに契約を切り替えることで、簡単に再生可能エネルギー導入100%にできます。

ちなみに、私は個人的に以前から自家発電に興味があったので、今から17年前の2007年には自宅に太陽光パネルを載せて、太陽光発電をしています。

余った電気は電力会社に買い取ってもらっていたのですが、2024年の7月からは蓄電池も導入したので、電気が蓄えられるようになりました。


―「SDGs」という言葉が登場する前から、自家発電をされていたのですね。

環境に優しい、持続可能であるといった見方を知ったのは後でしたね。太陽光発電だけでなく、自宅のベランダにプロペラを設置して風力発電ができるというキットを知ったときも興味が湧きました。

太陽や風の力を電気に変えられるという仕組みにすごく魅力を感じていて、最近も晴れた日にお日様が出ていると幸せな気持ちになります。

自分が好きな自家発電が「再生可能エネルギー」と呼ばれていて、それが地球のために役立つのならもっとやっていこう、周囲にも広めていこうと考えたのが、推進活動に注力し始めた理由です。

「幸せの虹色乾電池」で子どもたちへワクチンを寄附




―SDGsに配慮した部品供給、再生可能エネルギーの使用のほかに、どのような活動をされていますか?

国連で採択されたSDGsを知ったとき、世界の貧困地域では、未だにポリオなどの病気が蔓延していることを知りました。

当社では「幸せの虹色乾電池」という製品を扱っており、1セット(10本入り)の販売ごとに、NPO等の人権・環境団体への寄付を通じて、途上国の子どもたちへワクチン2本を届けています。

これまで4年間この取り組みをしてきて、1,000個の「幸せの虹色乾電池」を販売できましたので、2,000人分のワクチンが寄付されたことになります。

見た目もカラフルで明るい気持ちになるこのエレクトロニクス製品の販売を通じて、これからも子どもたちの笑顔を守ることに少しでも貢献できたらと思います。

中小企業でも、得意とすることでSDGsに取り組んでほしい




―今後の事業、ご活動について展望をお聞かせください。

まず、半導体の需要と供給のバランスを良くするという長年の課題があります。

当社のような商社は、メーカーとお客様の間に入ってそのバランスをうまく取りながら供給をするのが役割ですので、今後も向上させていきたいです。

SDGsへの貢献については、再生可能エネルギーの普及を促進できるよう、「再エネ100宣言RE Action」での活動を通じて情報発信できたらと思います。

同団体へ加盟した当初は、加盟者数が30団体ほどでしたが、2024年12月時点では388団体になりました。

「再生可能エネルギー導入は大手企業がやればいい」「中小企業がやっても環境問題がそんなに変わるわけじゃない」といった考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、小さな力でも、集まれば大きな力になると思います。

また、私は発電がもともと好きでしたので、再生可能エネルギーの導入も楽しんで取り組めました。

義務感のみで何かに取り組もうとすると大変ですし、長続きさせるのも難しいと思いますから、SDGsの17のゴールと169のターゲットのうち、どれかご自身が興味のあること、自社が得意とすることを見つけるのもいいのではないでしょうか。

個人事業主でも中小企業でも、大手企業でも、楽しみながらSDGs実現の輪に参加していただけたらと思います。


―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。