喫煙ブースの設置に必要なものは?消防法の留意点と施工前にやっておくべきこと
2020年4月1日に施行された改正健康増進法により、施設管理者が喫煙所を設置するためには、遵守すべきさまざまなルールが設けられました。
屋内に喫煙ブースを設置する際には、設置場所がテナントなどである場合は、管理会社やオーナーへの連絡、消防法に基づく消防署の許可が必要です。
本記事では、喫煙ブースの設置にあたって必要なものをご紹介します。設置の際の注意点も解説するので、喫煙ブースの導入を検討されている場合は、ぜひ参考にしてください。
喫煙ブースとは?
喫煙ブースとはその名のとおり、喫煙ができる設置型のブースのことです。大きな喫煙室に対して、比較的省スペースな喫煙のためのブースを指すケースもあります。
喫煙ブースには、「屋外排気型」と「屋内排気型」があります。
◇屋外排気型の喫煙ブースの特徴
屋外排気型とは、ダクトを介してたばこの煙を屋外に排気するタイプの喫煙ブースのことです。
定期的なフィルター交換といったメンテナンスが不要で、導入完了後のランニングコストが安い点がメリットです。
ただし、屋外排気型の喫煙ブースを新たに設置するには、換気扇や排気ダクトを設置する大規模な工事が必要で、時間的・金銭的なコストがかかります。
また、自社ビルではない場合、入居施設の契約内容や建物の構造などを確認し、建物工事の可否を確認しなければなりません。さらに、建物所有者への報告も必要です。
◇屋内排気型の喫煙ブースの特徴
屋内排気型とは、たばこの煙を清浄して、その後屋内に排出・循環させるタイプの喫煙ブースのことです。
導入に際して大規模な工事などは必要なく、電源とブースを置くスペースを確保できれば設置できます。
ただし、たばこの煙を屋内に排出するその性質上、屋内排気型の喫煙ブースには、以下のような厳しい品質基準が設けられています。
屋内排気型の喫煙ブースの技術的基準
● 総揮発性有機化合物(TVOC)の除去率が95%以上であること
● 当該装置より浄化され、室外に排気される空気における浮遊粉じんの量が0.015㎎/㎥以下であること
出典:職場における受動喫煙を防止するために|厚生労働省
喫煙ブースを設置する前に準備すべきこと
喫煙ブースを設置する際は、書類の提出や消防署への確認などの準備が必要になる場合があります。
ここでは、喫煙ブース導入前にすべき準備について解説します。
◇消防署への確認
喫煙所を設置するには、まず消防署に確認を取りに行かなければなりません。
喫煙ブースを設置する際には、消防法に基づいて、スプリンクラーや自動火災報知機、消火器などの消火設備や排煙設備の設置を求められるケースもあります。
消防署を訪れる際には、参考資料として、施設の平面図や天井伏図(てんじょうふせず:天井に設置する設備の位置などを表した図面)、検討中の喫煙ブースの資料などを持参するとよいでしょう。
また、消防署に提出が必要な書類は以下3点です。各書類は提出期限が異なるので、事前に確認しておきましょう。
書類の名称 | 用途 | 提出期限 |
防火対象物工事等計画届出書 | 建物や建物の一部を工事する場合に必要な書類 | 工事開始の7日前までに、管轄の消防署に提出する |
防火対象物使用開始届出書 | 建物や建物の一部をこれから使用しようとする場合に必要な書類 | 使用開始の7日前までに、管轄の消防署に提出する |
禁止行為の解除承認申請書 | 不特定多数の人が出入りする一定規模の場所において、喫煙、裸火の使用、危険物品の持込みなどの禁止行為の規制解除を依頼する場合に必要な書類 | 禁止行為を行なうおおむね3日前~10日前まで(※)に、管轄の消防署に提出する (※)自治体によって異なる |
◇ビルの管理会社またはオーナーへの連絡
ビルのなかにある店舗、またはオフィスに喫煙ブースを設置する際には、管理会社やオーナーに連絡する必要があります。
設置時期、喫煙ブースの種類などをあらかじめ伝えておくことで、施工後のトラブルを回避しやすくなるため、忘れずに行ないましょう。そして、販売会社やメーカーを決めて見積もりをとったら、念のためその結果も連絡しておくと安心です。
なお、喫煙ブースを設置する建物が自社ビルなど自身の所有物である場合には、この手続きは必要ありません。
喫煙ブースを設置する際の条件
「望まない受動喫煙」をなくすべく、2020年4月に健康増進法の一部を改正する法律が全面施行され、原則、すべての屋内が禁煙となりました。ただし、一定の条件を満たすことで、オフィス・商業施設・宿泊施設などの屋内に喫煙スペースを設けることができます。
喫煙ブースをはじめとする喫煙室を屋内に設置するには、以下の技術的基準を満たす必要があります。
● 喫煙室の出入り口における外部から内部への風速が、上中下で毎秒0.2m以上であること
● 壁・天井などによって区画分けがされており、たばこの煙が外部に漏れないこと
● たばこの煙が屋外または外部に排気されていること
出典:職場における受動喫煙防止のために|厚生労働省
上記の条件を満たすことで、喫煙専用室(飲食店・オフィスなどに設置可能な喫煙室、喫煙以外のサービスは提供不可)や、加熱式たばこ専用喫煙室(飲食店・オフィスなどに設置可能な加熱式たばこ専用の喫煙室、喫煙以外のサービスも提供可能)を設置できます。
なお、喫煙ブースは屋外排気型が基本とされていますが、法律の経過措置により、建物の建築時期に応じて、一部の施設では屋内排気が許可されています。
さらに、技術的基準を満たすとともに、事業者は以下のようなルールを遵守しなければなりません。
● 20歳未満は立入禁止
● 喫煙可能な場所であること、20歳未満は立入禁止であることを示す標識を掲示
● 3ヵ月毎の計測と性能評価に基づき、レポートを作成
喫煙ブースを設置するなら、クリーンエア・スカンジナビア
クリーンエア・スカンジナビアでは、分煙化を進める企業・店舗向けに後付け型の喫煙ブース「分煙キャビン」を提供しています。
クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンは、独自開発の高性能フィルターによって、捕集が困難とされるたばこ粒子をほぼ100%捕集できます。また、100V電源と小さなスペースがあれば設置可能で、大規模な設置工事なども必要ありません。
前章で紹介した喫煙室の技術的基準を満たしているのはもちろん、性能の計測・レポート作成などの法定手続きにも対応しているため、導入後の手間もほとんどかかりません。
さらに、専門のサービス・スタッフが定期的に訪問し、フィルターの点検・交換などを行なうため、常に快適な空気環境を維持できます。
まとめ
屋内に喫煙ブースを設置する際は、消防署への確認および書類提出などが必要な場合もあります。設置場所の見取り図や設置する喫煙ブースなどの資料も必要なので、スムーズに申請できるよう事前に準備しておくと安心です。
また、喫煙室の技術的基準を漏れなく満たすとともに、望まない受動喫煙を予防するためのルールを遵守しなければなりません。
喫煙ブースの導入にあたって、「どの会社・メーカーを選べば良いかわからない」「導入後の法定対応が不安」といったお悩みがある場合には、ぜひクリーンエア・スカンジナビアにご相談ください。
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