受動喫煙防止対策助成金とは?喫煙ブース設置で活用できる制度について解説
改正健康増進法の施行により、職場でも義務として受動喫煙防止対策を講じる必要があります。おもな対策は喫煙ブースの設置ですが、金銭的な負担を懸念している方も多いのではないでしょうか。
しかし、喫煙ブースを設置する際に一定の要件を満たせば、返済不要の「受動喫煙防止対策助成金」が支給されます。
本記事では、受動喫煙防止対策助成金の概要を踏まえつつ、助成金の対象者や要件、助成金申請の流れなどについて解説します。また、受動喫煙防止対策助成金を受けられる喫煙ブースも紹介するので、ぜひご一読ください。
受動喫煙防止対策支援とは?
受動喫煙防止対策支援とは、事業者の受動喫煙防止対策をサポートする取り組みです。2020年4月の改正健康増進法施行にともない、ほとんどの職場が原則屋内禁煙になったことから、この制度が設けられました。
受動喫煙防止対策支援の代表的な取り組みは、「補助金」「助成金」が挙げられます。
補助金はおもに経済産業省の管轄下にあり、一定の要件を満たし、審査を通過した事業者に支給されるものです。一方、助成金は厚生労働省が管轄しており、一定の要件を満たした事業者に対して必ず支給されます。
補助金・助成金はどちらも借金ではないため、原則として返済義務はなく、担保や保証人も一切不要です。「融資」や「協力金」とは異なり、事業活動を進めるための取組経費の一部を助成金額として確定し、取組完了後に返済不要の資金として、あと払いで交付がなされます。
受動喫煙防止対策助成金とは?
受動喫煙防止対策助成金とは、事業者が受動喫煙を防ぐための対策を講じる際に、その費用の一部を助成する制度です。一定の基準を満たす喫煙ブースなどの設置にかかる工費や設備費、人件費などに対して助成金が支給されます。
なお、この助成金は厚生労働省が主体となって提供していますが、支給条件などは適宜見直される可能性があります。支給金額が減ったり、制度そのものがなくなったりすることもあり得るため、喫煙ブースなどの設置を検討しているなら、早めに申し込みたいところです。
◇受動喫煙防止対策助成金の対象者
事業者が助成金を受け取るには、以下に挙げた要件をすべて満たす必要があります。
1. 労働者災害補償保険の適用事業主である
2. 健康増進法が規定する既存特定飲料提供施設を営んでいる
3. 中小企業事業主である
なお、要件2の「既存特定飲料提供施設」とは、以下の3つの要件をすべて満たす飲食店のことです。
● 2020年4月1日時点で営業している
● 資本金が5,000万円以下
● 施設内の客席面積が100㎡以下
要件3の中小企業事業主とは、以下の表で示している「労働者数」もしくは「資本金」のどちらか一方の条件を満たす事業主をさします。
業種 | 常時雇用する労働者数 | 資本金 | |
小売業 | 小売業、飲食店、配達飲食サービス業 | 50人以下 | 5,000万円以下 |
サービス業 | 物品賃貸業、宿泊業、娯楽業、医療・福祉、複合サービス(例:協同組合など) | 100人以下 | 5,000万円以下 |
卸売業 | 卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
その他の業種 | 農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業、保険業など | 300人以下 | 3億円以下 |
つまり、受動喫煙防止対策助成金の対象となるのは、「本業の業種を問わず、飲食店を運営している中小企業」のみ、と考えると理解しやすいでしょう。
◇受動喫煙防止対策助成金の対象となる喫煙室
法改正にともない、灰皿やパーテーションを設置するだけの簡易的な措置は分煙対策として認められなくなりました。助成金の対象は、一定の要件を満たしている「喫煙専用室」もしくは「指定たばこ専用喫煙室」の設置・改修のみです。
喫煙専用室はたばこを吸うためだけのスペースで、飲食など喫煙以外のサービスを提供することは禁止されています。なお、たばこの種類は問わないため、紙たばこでも指定たばこでも喫煙可能です。
一方、指定たばこ専用喫煙室は、指定たばこ(加熱式タバコ)を吸うためのスペースであり、紙たばこの喫煙は禁止されています。喫煙専用室とは異なり、飲食など喫煙以外のサービスを提供することも可能です。
受動喫煙防止対策助成金の対象となる要件は、下表の通り定められています。
助成対象 | 要件 |
喫煙専用室の設置・改修 | ● 室内へと流入する空気の気流が0.2m/秒以上 ● 煙の流出を防ぐため、壁や天井などで区画されている ● 煙が屋外もしくは外部の場所に排気されている ● 飲食など喫煙以外の行為は不可 |
指定たばこ専用喫煙室の設置・改修 | ● 室内へと流入する空気の気流が0.2m/秒以上 ● 煙の流出を防ぐため、壁や天井などで区画されている ● 煙が屋外もしくは外部の場所に排気されている ● 指定たばこのみ喫煙可(紙たばこは不可) ● 飲食など喫煙以外の行為でも利用可 |
◇受動喫煙防止対策助成金の内容
受動喫煙防止対策助成金の助成率は、喫煙室の設置などにかかる工費・設備費・備品費・機械装置費などの3分の2です。ただし、主たる業種の産業分類が飲食店以外だと2分の1になります。
また、助成額の上限は100万円です。申請の際は技術的および経済的な観点から見て、喫煙専用室の設置などに関する事業計画の内容が妥当であることが求められます。
単位面積当たりの助成対象経費上限額は、下表の通り定められています。
助成対象 | 単位面積当たりの助成対象経費上限額 |
喫煙専用室の設置・改修 | 60万円/㎡ |
指定たばこ専用喫煙室の設置・改修 |
助成金申請の流れ
受動喫煙防止対策助成金を申請する場合、以下のような流れで準備や手続きを進めます。
1. 事前準備
厚労省の公式サイト「受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)」で交付要綱を確認したり、申請書を入手・作成したりするなど、事前準備を進めます。不明点があれば、相談窓口などに問い合わせましょう。
2. 申請書の提出
申請書を2部ずつ用意し、所轄の労働局に提出します。審査期間は原則1ヵ月以内です。
3. 交付決定通知
審査を通過すると、労働局から助成金の交付決定通知書が届きます。これを受領してから、施工業者との契約手続きを進めましょう。
4. 契約・発注・施工
契約・発注の手続きが完了したら、交付決定の内容に沿って工事を実施します。事業内容を変更する場合、所轄の労働局に交付決定内容変更承認申請書を提出し、承認を得なければなりません。
5. 工事費用の支払い
工事完了後は費用を支払い、領収書および明細を受領する必要があります。なお、分割払いやリース契約、レンタルによる支払いの場合、助成金は交付されません。
6. 実績報告書の提出
報告書を2部ずつ用意し、所轄の労働局に提出します。交付決定の際に報告期日が指定されているので、あらかじめ注意しましょう。
7. 交付額確定通知
助成金の交付が正式に認められると、労働局から交付額確定通知書が届きます。
8. 請求書の提出
所定様式の請求書に助成金の振込先口座などを記載し、所轄の労働局に提出します。
9. 助成金の受領
振込先口座に助成金が入金されていることを確認し、受領します。
10. 仕入控除税額の確定にともなう助成金の返還
助成金にかかる仕入控除税額が確定したら、助成事業完了日に属する年度の翌々年度の6月30日までに消費税の調整手続きを行ないます。
11. 現状報告
毎年、設備の運用状況などを所轄の労働局に報告します。
◇申請に必要な書類
助成金申請において必要な書類は、おもに以下の3つです。
● 申請時に必要な様式など(交付申請書、事業計画、交付用件等確認申立書)
● 実績報告時に必要な様式など(事業実績報告書、事業結果概要報告書)
● その他の書類(施設全体の見取り図、施工スケジュール表など)
ほかにも書類を求められる可能性があるため、詳細は自分の申請したい助成金のサイトや交付要綱をチェックしてください。
分煙化のために喫煙ブースを設置するなら、クリーンエア・スカンジナビア
クリーンエア・スカンジナビアでは、オフィスや店舗の分煙化を促進する喫煙ブース「分煙キャビン」を提供しています。
当社の分煙キャビンは屋内で100V電源があれば、どのような場所にも設置可能です。厚生労働省が定める「脱煙機能付き喫煙ブース」の技術的基準に対応しているうえ、独自開発の高性能フィルターを搭載しているので、高い浄化効果が期待できます。
さらに、導入後は当社専門スタッフが定期メンテナンスを行なっているため、常に快適な空気環境を維持できます。くわえて、性能の計測・レポート作成などの法定手続きにも対応しているため、導入後の手間もほとんどかかりません。
事業所の分煙対策にお困りの企業担当者様は、ぜひクリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンをご検討ください。
なお、喫煙ブースの導入が受動喫煙防止対策助成金交付の対象となるかは、さまざまな条件によって異なるため、個別に問い合わせることをおすすめします。
まとめ
受動喫煙防止対策助成金の交付が決定すると、最大100万円もの資金を返済義務なしで受け取ることができます。さまざまな要件を満たす必要はありますが、喫煙ブースの設置を検討しているなら、ぜひ活用したいところです。
「受動喫煙防止対策助成金を利用して、分煙化にかかるコストを軽減させたい」という事業者の方は、ぜひこの記事を参考に、自社に最適な方法を模索してみてください。
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