大阪府での喫煙所において助成金を活用!受動喫煙防止対策助成金とは?

2025年4月からは大阪府受動喫煙防止条例の施行により、飲食店ではより厳しい受動喫煙対策が必要になります。おもな対策は喫煙ブースの設置ですが、金銭的な負担を懸念している方も多いのではないでしょうか。
ただし、喫煙ブースを設置する際に一定の要件を満たせば、返済不要の「受動喫煙防止対策助成金」が支給されるため、喫煙ブースの設置の際に活用すると良いでしょう。
本記事では、受動喫煙防止対策助成金の概要を踏まえたうえで、助成金の対象者や要件などを解説します。また、受動喫煙防止対策助成金を受けられる喫煙ブースも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
助成金とは?
助成金とは、給付金や協力金、融資とは異なり、企業などの事業活動をサポートするため、使った経費の一部を国や地方自治体が交付する返済不要のお金です。担保や保証人は不要で、利息も発生しません。
国が交付する補助金は、事業の内容や将来性を重視した厳格な審査が行われますが、助成金は要件を満たしているかの確認が中心です。そのため、補助金と比べて受給しやすい傾向があります。
受動喫煙防止対策助成金とは?
受動喫煙防止対策助成金とは、事業者が受動喫煙防止の対策を行なうためにかかる費用の一部を補助する制度です。一定の基準を満たす喫煙ブースなどの設置に要する工費、設備費、機械装置費、備品費などの経費に対して助成金が交付されます。
申請受付には期限があり、令和7年度の情報は4月以降に発表となる予定です。支給条件などは適宜見直されることがあり、支給額の減額や助成金制度の廃止などはいつ起こるかわかりません。
そのため、喫煙ブースの設置を検討している場合は早めに申請するとよいでしょう。
なお、国の「受動喫煙防止対策助成金」令和6年度の申請はすでに締め切り、令和7年度の申請は令和7年4月以降に公表予定です。
◇助成金の対象者は?
助成金を受けるには以下の条件を満たしている必要があります。
1. 雇用保険の適用事業の事業所であること
2. 以下に当てはまる中小企業事業主であること
業種 | 常時雇用する労働者※ | 資本金※ | |
小売業 | 小売業、飲食店、配達飲食サービス業 | 50人以下 | 5,000万円以下 |
サービス業 | 物品賃貸業、宿泊業、娯楽業、医療・福祉、総合サービス(例:協同組合など) | 100人以下 | 5,000万円以下 |
卸売業 | 卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
その他業種 | 農業、林業、漁業、建築業、製造業、運輸業、金融業、保険業など | 300人以下 | 3億円以下 |
※「労働者数」か「資本金」のどちらか一方の条件を満たせば、中小企業事業主となる
参照:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)」
3. 対象となる事業場が既存特定飲食提供施設として次の要件を満たしていること
● 2020年4月1日時点で営業が行なわれている飲食店
● 資本金5,000万円以下
● 客席面積100㎡以下
参照:厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。法改正のポイント」
◇助成対象の喫煙室は?
改正健康増進法の施行により、灰皿を設置したりパーテーションで区切ったりするだけの簡易的な分煙対策では、受動喫煙防止対策として不十分と判断されるようになりました。
現在、国の受動喫煙防止対策助成金の対象となる喫煙室は、「喫煙専用室」と「指定たばこ専用喫煙室」の2種類で、それぞれ一定の技術的要件を満たす必要があります。
【助成金対象の内容と要件】
助成対象喫煙室 | 要件 | 喫煙以外の使用 |
喫煙専用室の設置・改修 (既存特定飲食提供施設) |
・入口における風速が毎秒0.2m以上 ・煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井などによって区画されていること ・煙を屋外または外部の場所に排気すること |
不可 |
指定たばこ専用喫煙室の設置・改修 (既存特定飲食提供施設) |
・入口における風速が毎秒0.2m以上 ・煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井などによって区画されていること ・煙を屋外または外部の場所に排気すること |
可 |
参照:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)」
◇助成内容は?
受動喫煙防止対策助成金では、喫煙室の設置などにかかわる経費のうち、備品費、機械装置費、工費、設備費などの3分の2(主たる業種の産業分類が飲食店以外は2分の1)が対象となり、上限は100万円です。
申請の際は、喫煙室の設置計画が技術的・経済的にも妥当なものでなければなりません。目安として、以下のような「単位面積当たりの助成対象経費の上限額」が定められています。
【単位面積当たりの助成対象経費上限額】
交付対象 | 設置を行なおうとする喫煙専用室等の 単位面積当たりの助成対象経費上限額 |
喫煙専用室の設置・改修 (既存特定飲食提供施設) |
60万円/㎡ |
指定たばこ専用喫煙室の設置・改修 (既存特定飲食提供施設) |
例えば、飲食店以外の事業場で、3㎡ の喫煙専用室を設置しようとする場合、合理的な理由が認められるケースを除き、助成対象経費は3㎡ ×60万円 /㎡ =180万円までです。実際の助成額は90万円となります。
参照:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)」
大阪府受動喫煙防止条例が全面施行
大阪府では、2025年4月から府内で営業する飲食店などを対象に、「大阪府受動喫煙防止条例」が全面施行されます。
大阪府受動喫煙防止条例は、2025年4月に開催される大阪・関西万博を見据え、国際的な都市として全国に先駆けた受動喫煙防止対策を講じるために制定されたものです。
府民の健康を「望まない受動喫煙」から守るため、政令指定都市・中核都市も含む府内全域で環境整備や周知・啓発に取り組んでいます。この条例により、大阪府ではほかの都道府県よりも厳しい受動喫煙対策を求められるようになります。
具体的に、これまでは客席が100平方メートル以下の店舗であれば、排気面などの条件を満たしたうえで喫煙可能でした。ただし、2025年4月から大阪府受動喫煙防止条例が全面施行された場合、30平方メートルを超える店舗では原則喫煙禁止となります。
改正健康増進法 | 大阪府受動喫煙防止条例 (2025年4月から施行) |
【既存特定飲食提供施設における屋内禁煙の条件】 | |
2020年4月1日時点で営業 | 2020年4月1日時点で営業 |
個人経営もしくは資本金が5,000万円以下であること | 個人経営もしくは資本金が5,000万円以下であること |
客席面積が100平方メートル以下 | 客席面積が30平方メートル以下 |
参考:吹田市|改正健康増進法及び大阪府受動喫煙防止条例の概要
参考:大阪府|たばこのルール(学校・病院・行政機関の庁舎等)
大阪府受動喫煙防止条例に違反した場合、罰則として5万円以下の過料が科されるため注意が必要です。
◇2025年1月27日には大阪市内全域路上喫煙禁止
2025年1月27日からは大阪市内全域で路上喫煙を禁止する新たなルールが施行されました。それにともなう分煙対策として大阪市では、誰もが利用できる「大阪市指定喫煙所」を140ヵ所整備することを掲げています。
大阪市のホームページ上では、市内の喫煙可能な場所の情報提供がされており、指定喫煙所のほか、飲食店や商業施設など、法令を遵守した喫煙可能な場所を「情報提供喫煙所」として掲載するなど、整備を進めています。
しかし、万博の会期中にはおよそ2,820万人の来場が想定されており、喫煙所の数は現状十分とはいえず、市は「大阪市喫煙所情報提供登録制度」へ登録事業者の募集をするなど、さらなる増設が期待されています。
また、大阪市は、民間事業者への新たな助成拡大が必要とされ、飲食店事業者には従業員が路上喫煙しないよう、さらなる指導が求められます。
助成金の対象となる喫煙ブースを設置する際の条件
改正健康増進法の施行により、灰皿を設置したりパーテーションで区切ったりするだけの簡易的な分煙対策では、受動喫煙防止対策として不十分と判断されるようになりました。
飲食店や商業施設などに喫煙ブースを設ける場合、受動喫煙防止対策にかかわる法律に則した形で設置しなければなりません。
【喫煙専用室・加熱式たばこ専用喫煙室を設置するための技術的基準】
1. 喫煙所入口の外部から内部への気流が上中下で毎秒0.2m以上であること
2. 壁・天井などによる区画分けにより、タバコの煙が喫煙所の外へと漏れないこと
3. タバコの煙は屋外に排気されること
喫煙室は屋外排気型が基本とされていますが、喫煙ブースは法律の経過措置により、建物の建築時期に応じて、一部の施設では屋内排気が許可されています。
また、20歳未満は従業員であっても喫煙可能な場所への立ち入りはできません。そのため、喫煙室とわかるような標識の掲示や、「20歳未満は立ち入り禁止」の表示を行なわなければなりません。
喫煙ブースの設置後も技術的基準が保たれているかを約3ヵ月ごとに計測し、レポート作成を行なう必要があるなど、細かいルールが設定されていることにも注意しましょう。
飲食店に喫煙ブースを設置するならクリーンエア・スカンジナビア
クリーンエア・スカンジナビアの喫煙ブースは、「限られたスペースを利用して基準を満たした喫煙ブースを設置したい」「営業に支障がないよう、大がかりな工事は避けたい」などの飲食店におすすめです。
1人用~8人用までが利用できるタイプがあるため、設置スペースや飲食店の規模に合わせて最適な製品をお選びいただけます。
また、クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンは、100Vの電源があれば、屋内のどこにでも設置可能です。導入にあたって、大規模な設置工事が不要であるため、喫煙室設置にかかる時間的・金銭的コストを削減できます。
さらに、高性能フィルターを搭載し、従来は困難とされていた有害なタバコ粒子を、ほぼ100%キャッチできます。導入後は専門スタッフによる定期メンテナンスと法律要件の計測・レポート作成代行を実施するため、手入れの手間なく、常に快適な空気環境を維持できるでしょう。
【クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンの導入事例】
◇和食えん 汐留店
これまでは、喫煙の際はお店の入り口のウェイティングエリアへご案内していましたが、その付近ではタバコの煙やニオイがひどく、髪や衣類に付着してしまう点が課題でした。
分煙キャビンを導入してからは、タバコのニオイが一切漏れず、非喫煙者の方も安心してご来店いただけるお店になっています。
メンテナンスは3ヵ月に1回のペースで依頼しており、普段はスタッフが分煙キャビン内の灰皿の周りを拭く程度で済むため手間もかからず助かっています。
◇和来路
当店は住宅街の1階にあり、お客様がお店の前で喫煙されると近隣の方や通行人の方にご迷惑となってしまうため、喫煙ブースの設置を検討していました。
近隣企業がクリーンエア・スカンジナビアの喫煙ブースを導入していたため、実際に体験したところ、煙やニオイ漏れ、清掃の手間もないことに感動し、導入に至りました。
喫煙されるお客様からは「人目を気にせず安心してタバコを吸える」、非喫煙者のお客様からは「タバコのニオイが気にならず、食事やお酒が純粋に楽しめる」とご好評をいただいています。
喫煙ブースの導入によって、すべてのお客様に快適な環境を提供できるようになりました。
まとめ
大阪・関西万博の開催に向け、大阪府では国際都市としてより厳しい喫煙ルールを設けました。また大阪市では路上喫煙も禁止となり、公共の喫煙所だけでなく喫煙可能な飲食店などの需要も高まっています。
助成金を利用した喫煙スペースの増設も進められていますが、喫煙者数に対して十分な数とはいえません。また、助成金は打ち切りとなってしまうこともあるため、喫煙ブースを検討の際は早めに申請するのがおすすめです。
■監修者情報
岡崎 壮史(おかざき まさふみ)
社会保険労務士・1級FP技能士・CFP
マネーライフワークス代表。
助成金申請代行・活用コンサルとして、キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金、業務改善助成金などの企業様の助成金の申請代行や活用に向けたサポート業務を中心に行う。
また、金融系サイトなど多くの記事を執筆・記事監修を担当。
HP:https://moneylifeworks.jimdosite.com/
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