分煙対策したいけど基準ってあるの?分煙における基準を解説
2020年の健康増進法改正案施行を控え、分煙化を検討している店舗や企業も多いでしょう。しかし、分煙に関する明確な基準に則って分煙化をおこなわなければ、法に基づいた分煙化がなされていないと判断されてしまう可能性もあります。
そこで今回は、分煙における基準についてくわしくご紹介します。最新の情報を参考にし、法令遵守するとともに実際の受動喫煙防止効果も見込める分煙化をめざしましょう。
分煙の基準について
ここでは、厚生労働省によって詳細に定義されている分煙の基準についてご紹介します。
・分煙効果判定基準策定検討会報告書(平成14年6月・厚生労働省)による分煙基準とは?
分煙を実施する施設が増えていますが、その形態はさまざまです。より効果的に受動喫煙対策を実施できるよう、新しい分煙の効果判定基準が設けられました。
1.たばこの煙を屋外に排出する方式の喫煙対策を推奨
受動喫煙を防止するとともに、空気をきれいに保つことを目的とし、屋内に喫煙場所を設置する場合には喫煙場所の空気を屋外へ排出する方法がもっとも効果的であると判断し、この方法を推奨しています。
2.空気清浄機はガス状成分の除去が十分におこなえないため、使用の際は換気に配慮
受動喫煙防止及びきれいな空気を保つという観点から、たばこの有害成分をすべて除去できる空気清浄機の利用が望ましいとしています。しかし、それを実現できる空気清浄機は現状ないため、喫煙場所の換気にも十分な配慮が必要としています。
3.非喫煙場所から喫煙場所へ一定の空気の流れ(0.2m/s)を確保
空気清浄機によって喫煙場所とそれ以外との分煙を図る場合には、喫煙場所の空気が非喫煙場所に流れていかないよう、非喫煙場所から喫煙場所へ向かう空気の流れを確保しなければならないとしています。
4.喫煙場所の空気環境基準を設定
喫煙場所においても、喫煙者の受動喫煙を可能な限り防止する取り組みが必要です。そのため、喫煙場所ではデジタル粉じん計による測定で時間平均浮遊粉じんの濃度が0.15 mg/m3以下に保たれていること、検知管測定による一酸化炭素濃度が10 ppm以下であることが望ましいとしています。
新しい分煙効果判定の基準
ここでは、厚生労働省による新しい分煙効果判定の基準についてご紹介します。分煙化しているといっても、喫煙場所・非喫煙場所のそれぞれで受動喫煙が効果的に防止されていなければなりません。
・屋内での有効な分煙条件とは?
1.排気装置(屋外への強制排気)を用いる場合
【喫煙所と非喫煙所との境界】
デジタル粉じん計で定期的に浮遊する粉じんの濃度を測定し、非喫煙所に漏れていないかどうかを確認します。その結果、非喫煙場所の粉じん濃度が喫煙場所での喫煙によって増加しないことを確認できれば有効と判断します。
また、非喫煙場所から喫煙場所に向かって、一定の空気の流れを設けることも求められます。具体的には、風速が0.2m/s以上の空気が流れていることが望ましいでしょう。
【喫煙場所】
デジタル粉じん計での測定で時間平均の浮遊粉じん濃度が0.15mg/m3以下となることが、また検知管で測定した一酸化炭素濃度が10ppm以下であることが望ましいとされています。それに加え、たばこの煙に含まれるガス状成分について適した方法で濃度を測り、その値が一定以下であることが望ましいですが、現状ではその手法はまだ確立されていません。
2.空気清浄機による場合
【喫煙所と非喫煙所との境界】
デジタル粉じん計による測定で、定期的に浮遊する粉じんの濃度の変化を測定し、漏れていないか確認します。非喫煙場所の粉じん濃度が、喫煙場所での喫煙によって増加しないことが確認できれば、分煙は有効です。
また、非喫煙場所から喫煙場所に向かって、0.2m/s以上の空気の流れが設けられていることが望ましいでしょう。これらに加え、たばこの煙に含まれるガス状成分の濃度を適した方法で測り、喫煙所からの漏れについて確認が必要になりますが、現状でその手法がまだ確立されていません。
【喫煙場所】
デジタル粉じん計での測定で時間平均の浮遊粉じん濃度が0.15mg/m3以下となることが、また検知管で測定した一酸化炭素濃度が10ppm以下であることが望ましいとされています。
それに加え、たばこの煙に含まれるガス状成分について適した方法で濃度を測り、その値が一定以下であることが望ましいのですが、現状ではその手法はまだ確立されていません。
まとめ
分煙の基準は、厚生労働省によって詳細に設けられていることが分かりました。とはいっても、施設や店舗単位で常時デジタル粉じん計を用いて定期的に測定をおこなう方法はあまり現実的ではないでしょう。現状のところは「喫煙場所から禁煙場所に向かっては空気が流れないようにし、喫煙場所に空気清浄機を設置するなどで禁煙場所から喫煙場所に常時空気が流れるようにする」方法や、「壁などで完全に喫煙場所と禁煙場所を分断する」方法がもっとも有効と考えられています。
実際に、空気清浄機がたばこの有害物質を除去できる効果についてはまだ立証されていない状況です。そのため、分煙化のトレンドも「同じ室内で空気の流れや空気清浄機で受動喫煙を防止する方法」から、「完全に壁などで仕切って各箇所の空気を遮断する」方法へ移行しつつあるのが現状です。
より受動喫煙を効果的に防止できる方法で、企業や店舗の分煙化を検討しましょう。
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