受動喫煙を防ぐには?その影響と、個人ができる対策を解説

近年、タバコへの規制が強まっていますが、その背景には「受動喫煙」という問題があります。受動喫煙は非喫煙者にも数多くの健康リスクをもたらすので、分煙化などの対策が欠かせません。
また、個人でも対策に取り組めるため、喫煙者・非喫煙者ともに実践したいところです。
本記事では、受動喫煙の基礎知識と影響を踏まえて、受動喫煙を防ぐための取り組みや個人ができる対策について解説します。また、対策に役立つ喫煙ブースも紹介するので、ぜひご一読ください。
受動喫煙が及ぼす影響
受動喫煙とは、他人が吸っているタバコの煙を吸ってしまうことです。「二次喫煙(セカンドハンド・スモーク)」「間接喫煙」とも呼ばれます。
タバコの煙は大きく分けると、以下の3種類に分類できます。
● 主流煙:喫煙者本人が吸い込む煙
● 副流煙:タバコの点火部から立ち上る煙
● 呼出煙:喫煙者が吐き出した煙
タバコの煙にはニコチン・タール・一酸化炭素などの有害物質が含まれていますが、これらの有害物質の含有量は、主流煙より副流煙のほうが多いことがわかっています。
また、呼出煙にも有害物質が含まれ、日頃から受動喫煙にさらされている場合、タバコを一切吸わない方であっても健康被害が発生しかねません。
受動喫煙と因果関係がある、またはあると推定される病気の例は、以下のとおりです。
● がん:肺がん、鼻腔・副鼻腔がん、乳がんなど
● 循環器疾患:虚血性心疾患、脳卒中など
● 呼吸器疾患:喘息、呼吸機能低下、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など
● 妊婦の病気:乳幼児突然死症候群(SIDS)、低出生体重児、胎児発育遅延など
● 子どもの病気:乳幼児突然死症候群(SIDS)、虫歯、中耳炎など
● 糖尿病
● メタボリックシンドローム
● 精神疾患:うつ病など
● 認知機能低下
日常的に受動喫煙にさらされると、上記のような病気にかかるリスクも高まります。
◇三次喫煙とは?
三次喫煙とは、タバコの火を消したあとに残った化学物質を吸ってしまうことです。「サードハンド・スモーク」「残留受動喫煙」ともいいます。
タバコの火が完全に消えても、タバコの煙に含まれる化学物質は喫煙者の衣類や髪、家具・家電や自動車のシートに付着する形で残留しています。それが揮発すれば、気体となって空気中に再遊離するため、誰もタバコを吸っていない状況でも健康被害を誘発しかねません。
三次喫煙は新しい概念であり、健康面への影響はまだ明らかになっていません。しかし、健康リスクの可能性は無視できないため、受動喫煙防止対策の際は意識に入れておきましょう。
受動喫煙を防ぐための取り組み
2018年(平成30年)に健康増進法が改正され、それにともない、望まない受動喫煙を防ぐための取り組みが「マナー」から「ルール」へと変わりました。
改正健康増進法は2020年(令和2年)4月に施行され、以下のルールが適用されています。
ルール | 概要 |
原則屋内禁煙 | 多くの人々が利用する「第二種施設(※1)」は原則屋内禁煙に。 (※1)オフィス、飲食店、ホテル、運動施設など 公共性の高い「第一種施設(※2)」は敷地内禁煙に。 (※2)学校、病院、行政機関の庁舎、介護老人保健施設など |
20歳未満の人は喫煙エリア立ち入り禁止 | 20歳未満の人は従業員であっても、喫煙エリアに立ち入ることは一切禁止に。 |
屋内で喫煙する場合、喫煙室を設置 | 第二種施設内でタバコを吸うためには、一定の基準を満たした喫煙室を設置しなければならない。 第一種施設は喫煙室を設置できないが、条件によっては屋外喫煙所を設置できる。 |
喫煙室がある場合、標識を掲示 | 喫煙室を設けた場合、施設の主たる出入口および喫煙室の出入口に標識を掲示しなければならない。 喫煙室の種類により、標識の内容は変わる。 |
参考:屋内は原則禁煙!受動喫煙防止のルールを守りましょう|政府広報オンライン
また、喫煙室を設置したら約3ヵ月ごとの風速計測、3年間のレポート保管が望ましいとされています。機器の故障の修理や、改正健康増進法の要件変更で再工事が必要になる場合があるためです。
これらのルールに違反した場合、何らかの罰則が科される可能性もあるので、あらかじめ注意しましょう。
◇事業者は助成金の活用も検討を
企業や店舗を経営する事業者の場合、受動喫煙防止対策を講じるにあたって助成金を活用できるケースがあります。
事業者が助成金を受け取るには、以下に挙げた要件をすべて満たす必要があります。
1. 労働者災害補償保険の適用事業主である
2. 健康増進法が規定する既存特定飲料提供施設を営んでいる
3. 中小企業事業主である
なお、要件2の「既存特定飲料提供施設」とは、以下の3つの要件をすべて満たす飲食店のことです。
● 2020年4月1日時点で営業している
● 資本金が5,000万円以下
● 施設内の客席面積が100㎡以下
要件3の中小企業事業主とは、以下の表で示している「労働者数」もしくは「資本金」のどちらか一方の条件を満たす事業主をさします。
業種 | 常時雇用する労働者数 | 資本金 | |
小売業 | 小売業、飲食店、配達飲食サービス業 | 50人以下 | 5,000万円以下 |
サービス業 | 物品賃貸業、宿泊業、娯楽業、医療・福祉、複合サービス(例:協同組合など) | 100人以下 | 5,000万円以下 |
卸売業 | 卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
その他の業種 | 農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業、保険業など | 300人以下 | 3億円以下 |
つまり、受動喫煙防止対策助成金の対象となるのは、「本業の業種を問わず、飲食店を運営している中小企業」のみ、と考えると理解しやすいでしょう。
一例として、大阪府における2024年度(令和6年度)の助成金の概要を一部ピックアップしたので、ぜひ参考にしてください。
【補助対象となる事業者の要件】
● 大阪府内で2020年(令和2年)4月1日以前から継続して営業している飲食店である
● 個人経営または中小企業経営(資本金等5,000万円以下)である
● 補助対象とする飲食店の客席面積が100平米以下である
(ただし、従業員を雇用しない客席面積が30平米以下の飲食店は除く)
【補助限度額・補助率】
● 喫煙専用室等設置事業:300万円(3/4)
● 全面禁煙化事業:100万円(3/4)
参考:大阪府受動喫煙防止対策補助制度|大阪府
助成金の要件や対象は細かく規定されているため、詳細は募集要項などで確認しましょう。
個人ができる受動喫煙への対策
法改正をきっかけに、多くの人々が利用する飲食店やホテルなどの施設が原則屋内禁煙となりました。一定の基準を満たす「喫煙専用室」もしくは「加熱式たばこ専用喫煙室」があり、その出入口に標識が掲示されている場合のみ、室内で喫煙できます。
また、喫煙者と非喫煙者、両者が積極的に対策を講じることで、受動喫煙の防止につながります。個人でできる対策の事例をそれぞれ紹介するので、ぜひご確認ください。
◇喫煙者ができる対策
受動喫煙を防ぐためには、何よりマナーを守ることが大切です。喫煙ブースの利用はもちろん、喫煙できる場所でも煙の流れに注意したり、人が多い場所での喫煙を避けたりするなど、周囲への配慮を欠かさないことが重要です。
また、近年はタバコの値上がりが続いているため、経済的な負担を考慮して禁煙にチャレンジするのも一案です。医療機関で禁煙治療を受ける場合、特定の要件を満たすと健康保険が適用されます。
◇非喫煙者ができる対策
非喫煙者であれば、周囲に「タバコは避けたい」という意思表示をすることが大切です。例えば、家族や友人に喫煙者がいるなら、近くでタバコを吸って欲しくない旨をきちんと伝えましょう。
また、店舗などでタバコの煙やニオイを避けたい旨をスタッフに伝えると、座席の変更などに対応してくれる可能性があります。
そのほか、保健所などが配布している受動喫煙防止のメッセージカードを使うのも一案です。タバコの煙で困った際にカードをそっと机に置いたり、施設のスタッフに渡したりすることで、意思表示がしやすくなります。
受動喫煙のリスクを考慮して喫煙ブースを設置するなら、クリーンエア・スカンジナビア
受動喫煙防止対策の一環として喫煙ブースを設置するなら、クリーンエア・スカンジナビアの「分煙キャビン」がおすすめです。
クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンは、屋内で100V電源があれば、場所を選ばず設置できます。高性能フィルターを搭載しており、有害なタバコ粒子とガス状成分の両方をほぼ100%捕集・除去できるため、受動喫煙の予防に大きく役立ちます。
導入後は専門スタッフによる定期メンテナンスサービスがあるため、日々の手入れの手間がなく、常に快適な空気環境を維持できます。
また、以下のような法律要件の計測やレポート対応もすべて任せられるため、時間と費用を大きく節約できます。
● 総揮発性有機化合物の除去率が95%以上であること
● 当該装置によって浄化され、室外に排気される空気における浮遊粉じんの量が0.015mg/m3以下であること
「受動喫煙防止のために、機能性・利便性に優れた喫煙ブースを設置したい」とお考えの企業担当者の方は、法令基準を満たしたクリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンをご検討ください。
まとめ
タバコの煙は強い毒性を持っているため、受動喫煙がもたらす健康リスクは軽視できません。また、有害物質の含有量は、主流煙より副流煙のほうが多いことがわかっています。
受動喫煙の影響をふまえて、事業者は法改正後のルールを確認したうえで、適切な対策を講じる必要があります。
また、喫煙者・非喫煙者一人ひとりが実施できる対策もあるため、積極的に協力し合い、両者にとって快適な環境の維持に努めましょう。
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